ゲーミングマウスの2.4GHzワイヤレスって本当に遅延が少ないの?検証してみた
最近のゲーミングマウスはワイヤレスモデルの種類がかなり増えてきました。有線で人気だったものを無線化するブランドを数多く見かけます。
最初の頃はLogicool G Pro WirelessやRazer Viper Ultimateあたりがフラッグシップとして無線界を牛耳っていた印象ですが、今ではさまざまなブランドから発売されていますね。
どのワイヤレスも低遅延無線をうたっていますが、気になったことありませんか?
それ、本当に低遅延なんですか?
もちろん体感できるようなラグがあったらすぐに分かると思いますが、仮に分からないレベルの差だとしても本当に遅延が少ないのかどうか調べてみることにしました。
遅延の調べ方
遅延はクリックの応答速度で調べます。というかこの方法しか思いつかなかった…。
- マイクでクリック音を録音できるように音声ソフト起動
- マウスをクリックした瞬間にタイムラインにマーカーが打たれるように設定
- 10回クリックする
- 音の出始めとマーカーの位置がどれだけズレているかを1ms単位で計測
- 平均値を算出
- 有線を基準とし、無線と差が出るか見る
- 有線接続状態・2.4GHzワイヤレス状態・Bluetooth接続の3つで確認
ざっくり書くとこんな感じ。詳しい調べ方はクリック応答速度の記事で解説しています。
マイク入力のBuffer sizeを最低の16bitまで落として、最もレイテンシーが小さい状態で計測します。
今回デバウンスタイムは特に気にしていません。
音の出始めは必ずしもクリックが押された瞬間とは限らないため誤差はあります。また、同一のマウスで相対的な評価をしているだけですのでご了承ください。
遅延計測結果
いろんなブランドから選んだマウス10種類で計測してみました。単位は全て1ms(0.001秒)です。
マウス | 有線 | 2.4GHz | Bluetooth |
---|---|---|---|
Logicool G303SH | 2.1 ms | 2.7 ms | |
Razer Viper Ultimate | 1.7 ms | 1.9 ms | |
ROCCAT Kone Pro Air | 1.9 ms | 3.0 ms | 23.6 ms |
Glorious Model O- Wireless | 2.5 ms | 4 ms | |
ASUS ROG Keris Wireless | 2 ms | 3 ms | 12.7 ms |
Pulsar Xlite Wireless | 3.1 ms | 4.6 ms | |
SteelSeries Prime Wireless | 6.1 ms | 6.7 ms | |
Xtrfy M4 Wireless | 4.3 ms | 5.6 ms | |
G-Wolves HT-S 3370 Wireless | 3.0 ms | 4.8 ms | |
Finalmouse Starlight-12 Phantom | 3.1 ms | 3.7 ms |
このような結果になりました。
それぞれ有線と無線でどれだけ差があるのかを、昇順でグラフにしてみました。
今回検証したほぼ全てのワイヤレスマウスにおいて有線接続状態と2.4GHz無線状態の応答速度差は2ms以下にとどまりました。
ブランドごとかマウスごとか、 いずれにせよ搭載されているワイヤレス技術によっては微妙な差が発生してるのかなという印象です。
Razer Viper Ultimateが最も遅延が低く優秀でした。Logicool系もG303SHの他にPro X Superlightをテストしましたがかなりの低遅延でした。
GloriousやPulsar、G-Wolvesあたりは中でも最も遅いですが、それでも240Hzモニターでプレイしていたら0.5フレーム以下の差異となります。240フレーム中の0.5フレームはさすがに気づけない…と思います。
Bluetooth接続に関して
そもそもBluetoothも搭載しているワイヤレスマウスって少ないんですけど、かなり遅延してますね。
もし240Hzでゲームをプレイしている場合、1フレームあたり4.17ms(0.0047秒)となります。これを前提知識とします。
では今回検証したASUS ROG Keris Wirelessを例にとってみてみましょう。
平均値として有線で2ms、2.4GHzで3ms、そしてBluetoothでは12.7ms。
有線と2.4GHzは1フレーム以内におさまっているものの、Bluetoothにおいては3フレームほどの遅延が発生します。
さらに、遅いだけでなく速度が安定しないのも微妙なポイント。例えば5msとかなり速いときもあれば、30msと極めて遅い時がありました。
240フレーム中の8フレーム(30msの場合)なんて分かるわけない、と思う方はBluetoothでFPSやってもいいと思いますし、ハードウェア的な敗因要素を極限まで排除したいなら絶対2.4GHzでプレイすべきです。
ちなみに240フレーム中の8フレームは、60フレーム中の2フレーム、30フレーム中の1フレームになります。分母が小さくなるとけっこう大きい影響力持ってそうな感じしますよね。
ポーリングレートによる遅延の違い
ポーリングレートはマウスがPCと通信する回数をさします。
一般的には125Hz / 250Hz / 500Hz / 1,000Hzあたりから選ぶことができますが、ポーリングレートによっても遅延速度が変わります。ポーリングレートに関する詳しい解説はこちらを参考にしてください。
ここではLogicool G303SHを例に、ポーリングレートの違いによる遅延変化について見てみます。
無線状態で計測しました。全て10回クリックした平均値です。
この結果から見ると500Hzは1.5フレ、1,000Hzは0.6フレの応答速度となります。
特に強いこだわりがあって500Hzにしているわけでないのなら1,000Hzの方がおすすめです。
遅延が極めて少ないワイヤレスマウス
Razer Viper Ultimate
Razerの左右対称形フラッグシップワイヤレスマウスである「Razer Viper Ultimate」。
オプティカルスイッチを搭載しており、クリックの応答速度は数あるマウスの中でも最高クラス。若干クリック感は劣化しているのがたまにキズ。
そして有線状態とワイヤレス状態の遅延差がほぼ見られなかった、実質ラグフリーのワイヤレスです。
Logicool G303SH
Logicoolのライトスピードワイヤレス搭載「G303SH」、さすが老舗だけあってかなりの低遅延技術です。
G303SHは0.6msほどの差がありましたが、その後テストしたG Pro X Superlightではそれよりも速い結果が出ました。
メカニカルスイッチのクリスピーさが好みならたとえRazerよりも遅延があろうとこっち。ほとんど体感できない遅延差ですしね。
さいごに
最近の無線マウスではどれもがうたっているラグフリーワイヤレス。果たして本当に低遅延なのかどうか検証してみました。
今回の検証結果から言うと、有線と2.4GHzの遅延差0.002秒以下と実際に嘘なき低遅延であることが確認できたと思います。
有線の方が確実に速いことは速いので、こだわる人は有線の方が良いかもしれません。