Razer DeathAdder V3 Pro レビュー
Razerから発売されているロングセラーマウスDeathAdderシリーズの最新作「DeathAdder V3 Pro」。
発売は2022年夏頃ですが、2023年の2月15日に価格の下方改定が行われ買いやすくなりましたのでレビューしていきます。
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スペックと同梱物
「Razer DeathAdder V3 Pro」の基本スペックと同梱物を確認していきます。
マウス | DAv3 Pro |
---|---|
カラー | 黒・白 |
接続 | 2.4GHz無線 |
シェイプ | エルゴ |
センサー | Razer FOCUS Pro |
DPI | 30,000 |
ポーリングレート | ~1,000Hz |
寸法 | 128 x 68 x 44 mm |
重さ | 61g |
ボタン数 | 5 |
ライティング | なし |
ケーブル | 布巻き 1.8m |
オンボードメモリ | プロファイル x 1 |
ソフトウェア | あり |
- マウス本体
- USBレシーバー
- USB延長アダプター
- USB-Cケーブル
- グリップテープ
- クイックガイド
- ステッカー
4Kドングル
マウス単体でのポーリングレートは1,000Hzですが、別売りのRazer Hyperpolling Wireless Dongleを使うと4,000Hzでの使用が可能です。
バッテリー寿命は減りますが、1,000Hzの4倍になる滑らかなトラッキング体験ができます。
マウスの購入先
Amazonをはじめ、購入できる場所は多岐にわたります。
Razer DAv3 Proの概要
「Razer DeathAdder V3 Pro」はロングセラーとなっている左右非対称型DeathAdder(デスアダー)シリーズの最新作。長いので以降DAv3と称します。
第3世代オプティカルスイッチや最新のFOCUS PROセンサーを携え、前作よりも大幅に軽量化されるなど全体的にハイエンドスペックへと更新されています。
よくあるマイナーチェンジではなく、DAv2と比べてシェイプ全体に変更が入ったのが最大の注目点。
再設計された新デザインのシェイプは海外レビュー界隈でも2022年ベストマウストップ5に名を連ねており、最も有望なエルゴワイヤレスマウスです。
無線にこだわらない場合、有線版で8Kポーリングレートの「Razer DeathAdder V3」も発売されていますのでチェック。
デザイン
カラーは黒と白の2色展開ですが、Fakerモデルの赤色も限定販売されました。どれを選んでも表面特性上あまり汚れは目立たないはずなので、好きな色を買いましょう。
マット表面で、グリップ力のあるコーティングではなくサラサラと滑ります。グリップ力が欲しいのであればグリップテープ推奨です。
ただし付属のものはソコソコなのでLizard Skinsとか切って使ったほうが幸せかも。
前作DAv2ではサイドにグリップ加工が施されていましたがDAv3ではなくなりました。むしろグリップ加工がない方がさわり心地良いです。
強めに握っても軋みはなく、スイッチが誤動作することもありません。メインボタンのかたつきなし、振ってもマラカス音なし。
ビルドクオリティで気にかかったのはただ1つだけ、私の個体だとホイールが横にややカチッとズレる遊びがありました。ゲームプレイ中にそこまで気になるようなレベルではありませんが、これがなかったらパーフェクトでした。
マウスフィートはフロント側に小さいものが2枚、リア側に細めのU字タイプが1枚、センサー周りに1枚のトータル4枚です。滑りは良いです。
マウスフィートの厚みは約0.83mmでした。これは底の粘着素材も含めた厚みです。エッジは丁寧に丸め処理されていて引っかかりは感じません。
底面のセンサーすぐ左にあるのが電源とDPIがセットになったボタン。長押しで電源のオフ・オン、短い押し込みでDPIのサイクルです。
DPIをサイクルさせるとホイール前にあるLEDインジケーターの色が対応するものに光ります。デフォルトでは確か5つのステージが用意されていて、以下のようになっています。
- 赤:400DPI
- 緑:800DPI
- 青:1600DPI
- 水:3200DPI
- 黄:6400DPI
充電端子はUSB-Cです。入り口がやや狭めに見えますが、汎用ケーブルでも問題なくささります。
主な性能について
サイズ
DAv3のサイズは128x68x44(LxWxH)mmです。高さの実測は何回測っても43mmで、グリップ幅の実測は62~63mmでした。公称値の68mmというのは後方の最も膨らんでいる部分のことです。
前作のDAv2は127×61.7×42.7mmが公称値。この辺はブランドでもマウスによって計測方法がマチマチなのでアレですが、実測だと高さは合っていて、グリップ幅は64mmくらいでした。
他のエルゴマウスと比較
- Pulsar Xlite V2 Wireless
- Razer DeathAdder V2 Pro
- Razer DeathAdder V3 Pro
- Elecom V-Custom VM600PE
- Xtrfy M4 Wireless
当然といえば当然ですが、DAv2と似たトップカーブでまさにエルゴシェイプという傾斜。
シェイプ
右側に向けてトップが緩やかに傾斜していくエルゴノミクスシェイプ。
アイコニックであったDAv2までのうねりのあるようなデザインから一新され、モダンな見た目になっています。
手の力を抜いてぶらんとさせた状態でマウスに手を乗せると気持ち良いフィット感を得られる形状。
DAv2に比べると明らかにDAv3の方がグリップ幅がスリムになっています。v3では左サイドのカーブがフラット気味になり、さらに逆台形っぽくなっているので持ち上げやすくなっています。
私の場合つかみ持ちしようとすると薬指と小指が底のエッジ部分にかかることがありますが、この感触は好き嫌い分かれそうな気がします。
DAv2のときは気にならなかったのですが、2つ並べて見てみるとDAv3の方が底上げが1mm高いことが影響しています。
マウスボタンは中央のくぼみが深い波打ちタイプからややフラット寄りなシェイプへと変更され、指をどこに置いても押しやすくなりました。
マウスサイズ自体は大きめなのに、掴んで力を伝えやすいし持ち上げやすいので個人的にはかなり満足感のある握り心地です。久しぶりにエルゴマウスの快楽を味わってます。
かぶせとの相性が抜群で、つかみ持ちも良いです。つまみ持ちはエルゴのシェイプ的に力が逃げやすいのとサイズが大きめなのでやや持ちにくいと感じました。
重さ
重さは実測で61g。Viper V2 Proも似たような重さですが、サイズがだいぶ大きいのにこの軽さにできているのは素晴らしいです。
DAv2が88gくらいだったので、なんと約27gも軽量化されています。持ち比べると断然違います。
- ホイール後ろのボタンがなくなった
- グリップテクスチャがなくなった
- レシーバー入れをなくした
- 底面のボタン数を減らした
- Bluetoothなし
- 充電機構を取り除いた
- ライティングなし
上記のようにかなり本気で軽量化してきました。むしろDAv2無駄な機能多すぎたなって感じちゃいましたケド。
DAv2は重さもあってポジションリセットのために持ち上げるのがちょっとしんどかったのですが、DAv3はびっくりするくらい軽くなっているので全く苦じゃありません。
センサー
搭載されているセンサーは記事執筆時点では最新となる「Razer FOCUS Pro」です。最大DPIは30,000でモーションシンク機能搭載。
付属のケーブルと延長ドングルを使ってUSBレシーバーを机の上に置き、マウスから約50cmほどの距離にしながらMouseTesterでセンサーテストを行いました。
400 / 800 / 1,600 / 3,200 の4種類でテストした結果は以下の通りです。ポーリングレートは1,000Hzでテスト。いずれの画像もクリックで拡大可能。
xCounts
xSum
モーションシンク機能の影響でxCountでも点群が綺麗にラインに収束しています。一部xCountで線が折れている箇所が見受けられましたが、xSumのセンサー読み取りでは問題ありませんでした。
USBレシーバードングルはマウスから離れると電波干渉などによって通信状況が悪化し、トラッキングに影響を及ぼすことがありますのでなるべく近くに置くことが推奨されます。
モーションシンクはデフォルトでオンになっており、任意ではオフにできないみたいです。できそうだったら教えてください…。
センサー位置
センサー位置はほぼセンターで、ほんの少しだけリア寄り。
LOD
ソフトウェアではまずプリセットとして低・ミディアム・高の3つに分類されており、初期段階ではミディアムに設定されています。
設定 | 実測値 |
---|---|
低 | 0.8mm |
ミディアム | 0.9mm |
高 | 1.8mm |
低とミディアムに大きな違いはありませんでしたが、いずれも短めで優秀な数値です。高モードはちゃんと機能しているので、LODが長い方が好きな方のニーズは満たしています。
非対称カットオフという機能を有効化するとLODをさらに細かい数値で微調整可能ですが、最も低い値にしても0.7~0.8mmくらいでした。最も高い値でも2.0mmを越えなかったので、プリセット範囲内での調整幅となりそうです。
DPIズレ
DPIズレをBenQ ZOWIE G-SR-SEの上で計測してみました。
ターゲット | 実測値平均 | 乖離値 |
---|---|---|
400 | 405.6 | +1.40% |
800 | 812 | +1.50% |
1600 | 1624.4 | +1.53% |
乖離値は一貫して1.5%前後で、ほぼ問題ないレベルです。
直前に使っていたマウスに大きなズレがない限りあまり気にならないはず。
マウスボタン
それぞれのマウスボタンについて見ていきます。
メインボタン
Razerの高速応答する第3世代オプティカルスイッチを搭載しています。押してみてびっくり、メカニカルに近いタクタイル感になってきましたね。まだクリスピーさは足りないものの、Viper Ultimateの第1世代スイッチと比べると天地の差です。
グレーのシェルにパープルスイッチ。金属接点がなく赤外線でアクチュエートするため、デバウンスタイムが存在しません。そのため応答速度が非常に高速です。さらにチャタリングの心配もなく、ライフサイクルは9000万回。
DAv2はクリックが軽くてストローク浅めでしたが、DAv3では硬めになってフィードバックが強くなりました。クリック感としてはv3の方が優れています。
一体型ではなくセパレートタイプにデザインが変更されましたが、浅く持って手前側をクリックしてもクリック感はほぼ変わらず、持ち方を制限しない優秀なボタンです。
メインボタンのクリック応答速度
オプティカルスイッチにはデバウンスタイムが存在しないため、変更できる設定はありません。
ポーリングレート1,000Hzで計測した結果、80個ほどあるマウスの内10位となりました。メカニカルよりは圧倒的に速いですが、他のRazerシリーズのオプティカルスイッチに比べると中~下程度の速度。それでもめちゃ速です。
ポーリングレートを4,000Hzにして計測したところ、ランクは1位となってぶっちぎりの速さを誇りました。もはや私のメソッドでは計測できない域に突入しつつあります。遅延を入れて計測してるのに1ms以下の反応速度です。
有線Viper 8Kの方が速いはずでしょとは思いましたが、この辺は誤差レベルで同率1位と考えて良いです。
サイドボタン
飛び出しはほどほどで平べったくて大きいのが特徴のサイドボタン。指を添え続けても違和感はなく、押しやすい形をしています。
クリックのストロークはやや浅め、やや歯切れの良い軽めなスイッチです。
DAv2と比べるとサイズ感がだいぶ小さくなっています。歯切れ良さではv2の方がやや上。
スクロールホイール
ノッチ感はやや弱めで軽く回転するホイール。粘り気はあまりなく高速回転させやすいです。たぶん軸部分がルブされているっぽかったです。
ホイールクリックは軽い方ですが、軽すぎて誤爆するほどではなく絶妙な調整がされています。
私の個体問題の可能性が高いですが、左右にちょっと遊びがあってビルドクオリティはここだけイマイチという印象。
どうもオレンジの丸部分の隙間が悪さしているようです。細い糸巻き付けたり何かしらのリングをはめれば改善できそうですが、良い素材が思いつかない…。
バッテリー
バッテリーは薄型の300mAhを搭載しています。
寿命は1,000Hzでの使用で最長90時間。4,000Hzにすると最長24時間です。
4,000Hzはオプションドングルが必要なのに、技術仕様欄にちゃんと表記されているのありがたい。4Kにしてるとバッテリーの減りはそこそこ速く感じます。
ソフトウェア上では残容量を数値で確認できます。
残り容量が5%をきると定期的にLEDインジケーターが赤で2回点滅するようになります。まぁまぁ鬱陶しいので充電しちゃいましょう。
0%まで使い切り、PCから付属ケーブルで充電して100%になるまでの時間を計測してみたところ2時間10分ほどかかりました。
ケーブル
ケーブルは布巻きタイプでそれなりに柔らかく優秀です。
グリップテープ
付属するグリップテープはボタン用2枚とサイド用2枚のトータル4枚。結構ゴム臭いですが、ダイヤ柄でほどほどグリップ力があります。
厚みは約0.49mmでした。
ソフトウェア
Razer Synapse 3をダウンロードすることで様々な設定変更が可能です。
変更可能な項目 | 内容 |
---|---|
ボタン割り当て | 5ボタン |
マルチデバイスペアリング | 複数デバイス接続設定 |
DPI | 50刻みで調整 ステージは2~5 |
ポーリングレート | 125 / 500 / 1,000 2,000以上はオプションドングルが必要 |
LOD | 低 / ミディアム / 高 または非対称カットオフ |
ワイヤレスパワーセーブ | 1分~15分 |
低電力モード | 0%~100% ※ 4,000Hzだと設定不可 |
プロファイルに保存してしまえば以降ソフトを起動しなくても設定はマウス本体で保持されます。
価格について
販売開始時は円安物価高だったとはいえ24,970円と非常に高価なマウスでしたが、2023年2月15日の下方修正を受けて定価で21,780円(記事執筆時点)になりました。
3,000円以上の値引きがされましたが、それでもまだ高額なマウスであることには変わりありません。しかしマウスの完成度はとても高いので、この機会に是非手にとってみましょう。
ちなみに2023年2月28日に発売された有線版は8Kポーリングレート機能を有していながら1.1万円程度とワイヤレスマウスよりもぐっと買いやすい値段設定です。
有線マウスとしてはやや高い設定ですが有線でも気にならない人でパフォーマンスを追求する人には良い選択肢となります。
レビューまとめ
- 大きめサイズなのに61gと軽量
- フィット感抜群で手との一体感
- 押し心地が改善された光学スイッチ
- オプションで4Kポーリングレート
- USB-C充電端子
- クリック応答速度最速
- 価格が高い
- ホイールにかたつきがあった
- グリップ力は弱い
以上「Razer DeathAdder V3 Pro」のレビューでした。
DeathAdder V2 Proからモダンなデザインに進化し、細部に至るまで様々な部分が改善・軽量化されていて極めて優秀なマウスになりました。
比較的大きめなのに61gという軽さで、手へのフィット感は抜群…というか一体感すらあります。腕の延長線上になった感じ。これが小さいマウスだとやっぱりつまんでる感じが強いので、サイズが大きめだからかも。
オプションで4Kポーリングレートへも対応し、クリック応答速度は当サイトでの計測上最速。エルゴマウス狙いなら現状DeathAdder V3 Proが最適解です。
価格が3,000円安くなったとはいえまだ高いですけどね、買って損はしないでしょう。