ROCCAT Kone Pro Air レビュー。大型エルゴ+光スイッチのワイヤレスマウス
ROCCATから発売されているワイヤレスマウス「ROCCAT Kone Pro Air」をレビューしていきます。
Kone Pro シリーズには有線版と無線版の2種類が存在します。今回ご紹介するのは無線版です。
概要とスペック
「ROCCAT Kone Pro Air」はKone Proシリーズのワイヤレスモデルで、2.4Ghzの低遅延無線 Stellar WirelessとBluetoothの両方に対応。
よくあるECクローンとは一味違ったシェイプの大型エルゴで、大きいけれど穴抜きなしで実測約72gと丁度良い重さです。
マイクロスイッチとは異なるオプティカルスイッチを採用。クリック感はそこまでカチッとしていませんが、摩耗がほとんどないため耐久値は高め。
マウスボタンが光る独特なライティングをしています。個人的にはあんまり好きじゃない。そもそも最近はワイヤレスにライティングいらない派になりつつあります。
カラー | 黒 / 白 |
接続 | 無線 2.4Ghz / Bluetooth |
シェイプ | エルゴ |
センサー | Owl-Eye 19K |
DPI | 19,000 |
ポーリングレート | ~1,000Hz |
寸法 | 126 x 60 x 40 mm |
重さ | 実測 72g |
ボタン数 | 5 |
メインボタン | Titan Switch Optical |
ライティング | あり |
ケーブル | PhantomFlex 1.8m |
オンボードメモリ | プロファイル x 5 |
ソフトウェア | あり |
有線版のKone Proのレビューは以下から。
同梱物
外箱。
無線マウスには珍しいことにUSBレシーバー用の延長アダプターが付属しません。
マウスとレシーバーの距離はなるべく近い方が電波が良いため、USB-CケーブルにUSBレシーバーをさせるような変換アダプターが欲しいところ。他のワイヤレスマウスの付属品を流用できればベスト。
もし持っていなければ類似品をAmazonなどで買うか、PCにレシーバー直繋ぎで電波問題がないかチェックするのが良いです。
マウスフィートには青い保護フィルムが貼られていますので、はがすのを忘れないように。
有線版では予備のマウスフィートが付属しましたが、ワイヤレス版にはありませんでした。
外観と性能
「ROCCAT Kone Pro Air」は右手用の左右非対称型ワイヤレスゲーミングマウスです。
カラーは黒と白の2色展開で、今回紹介するのは白色。黒の写真を見てみたい方は有線版Kone Proのレビュー記事をごらんください。
シェルはマット仕上げでサラサラタイプ。意外と汗をかいてもそんなに滑らなかったです。
ROCCATのロゴは光の反射でキラリと光ります。
ビルドクオリティはそれなりに良いです。握った時に軋みなどは感じませんでした。
サイドは強く押すとクリックが発生しますが、意図的に強く押したらの話なので普通に使う分には一切問題ありません。
底面にはレシーバーを収納するソケットがあります。収納できると持ち運び時やしまう時に便利です。
サイズと重さ
サイズは実測で126 x 60 x 40(長さxグリップ幅x高さ)mmです。分類的にはM寄りのLサイズ。
重さは実測で72.1gでした。有線版は約63gだったので、10gほど重くなっています。
重量比は 0.95:1 でした。このサイズにしては比較的軽めという評価。
バッテリー
バッテリーは3.7V/450mAhで結構容量大きめ。100時間以上の寿命です。
これはおそらくBluetoothモード+ライトオフでの計算だと思うので、2.4GHzの使用やライティングの輝度次第でもっと短くなります。
充電端子はUSB-Cです。特に急速充電対応というわけではありませんが10分の充電で5時間使えるとか。
センサー
センサーはPixArtとROCCATで共同開発した「ROCCAT Owl-Eye 19K」。ベースはPAW3370センサーで、最大DPIは19,000です。
センサーテスト
ポーリングレート1,000Hz、USBレシーバーとマウス本体の距離を40cmにしてセンサーテストを行いました。
400dpi
800dpi
1600dpi
xSumは綺麗な波を描いているのでセンサー的に問題はありませんが、xCountsは結構荒ぶってます。
センサー距離テスト
USBレシーバーとマウス本体の距離を変えながらセンサーテストを行いました。
多くのマウスでは50cm以下の距離にしないとトラッキングに影響が表れます。
30cm
50cm
100cm
50cmまでは安定していますが、100cmになるとxSumでもポイントが飛んでいます。
LOD
LODは 1.1mm でした。ほどほど短くて優秀です。
ソフトウェアではデフォルトで「最低」にセットされていますが、これを「低」にして測ったところ 1.9mm でした。
「カスタム」という選択肢もあって、これを選択するとマウスパッドの上で10秒間動かしてキャリブレーションを行います。ヒエンの上で試してみたところ、0.7mmとかなり短くなりました。
マウスフィート
マウスフィートは大きめサイズが前後に1枚ずつ。センサー周りにもO型のものがはられています。
熱処理されたPTFEソールで、よく見ると半透明です。滑りはかなり良いです。
エッジの丸め処理は丁寧で、マウスパッドに沈み込ませても引っかかりは感じませんでした。
マウスボタン
それぞれのマウスボタンについて見ていきます。
メインボタン
セパレートタイプのメインボタンにはTitan Switch Opticalが採用されています。光による高速アクチュエーションで、メタル接点がないためチャタリングとは無縁です。耐久値は1億回と高め。
あくまで光スイッチって感じの押し心地でもっさりしてます。歯切れの良さやクリスピーな音はメカニカルには及びません。
クリック感は軽めで、ストローク長めのポストトラベルおおめ。マウスボタンの手前側を押してもクリック感が変わらないのは評価。
サイドボタン
左サイドのくぼみのせいか、かなり高い場所にあるサイドボタン。親指の第一関節で押すには少し難しい位置。
ストロークは深めでカチッとした押し心地。光スイッチなのはメインマウスボタンだけなので、サイドボタンはマイクロスイッチです。
サイズは大きめだし押しやすいと思うので個人的には好き。
スクロールホイール
中が空洞になっているアルミ削り出しのホイール。横幅がけっこうあります。厚みは薄く見えますが剛性はかなり高く、強く押しても歪みません。
スクロールはやや固めで、速く回すとアルミのせいか金属音がたまに響きます。
ホイールクリックは軽め。連打しやすいとも言えますが、強くホイールを回す人だとかなりの確率で誤爆します。Kone Pro有線版でも同じことがあったので、個体差というよりはそういう設計っぽい。
電源ボタンとプロファイルボタン
上のボタンはプロファイルボタン。DPIボタンがないかわりにこのボタンです。
持ち運びを想定すると複数のプロファイルをオンボードメモリに保存しておいて、ボタン1つで切り替えられるのが強み。
そのかわりDPIは変更できません。DPIを適宜変更したい場合は、ソフトでキー割り当てを変更しておきましょう。
下のボタンはスライダースイッチになっていて、中央が電源オフ。上が2.4GHz Stellar Wireless、下がBluetoothです。
ソフトウェア
ROCCAT Swarmという専用ソフトウェアで多岐にわたる設定が可能です。
DPIステージの設定、ボタン割当変更、ライティング設定、ポーリングレート・LOD・デバウンスタイムの調整などが可能です。
なぜかBluetoothモードだとソフトウェアが認識してくれなかったので、USBドングル経由で接続する必要がありそうです。
Kone Pro Airの特徴
本マウスの特徴について紹介していきます。
2.4GHzとBluetooth対応
本マウスでは低遅延な2.4GHzのStellar Wirelessの他にBluetooth接続も用意されています。
2.4GHzを使用する場合はUSBレシーバードングルをPC側に接続します。
BluetoothはPCに内蔵されていればそのまま接続可能です。Bluetoothは遅延があるため、基本的にゲームで使うなら2.4GHzモード。加えてBluetoothで接続するとソフトウェアとリンクできませんでした。
有線状態と、2.4GHz接続と、Bluetooth接続。この3つで、それぞれ有線状態を基準としたときにクリック応答速度に遅延があるのかをチェックしてみました。
テスト方法に関してはこちらの記事で紹介。ASIOのBufferサイズは16と最小限に設定しており、レイテンシーは可能な限り抑えています。ただしそれでも絶対的な速度評価にはならないので注意。
ケーブルをさした有線状態がもっとも高速でクリック反応しました。2.4GHzもかなり近いレベルの速度で、0.7msは0.0007秒ですので知覚不可能な領域だと思います。
Bluetoothは2.4Ghzの5倍以上遅いため、競技系ゲームで使うのはうーんという感じ。カジュアルなゲームだったら特に問題なさそう。
大型で独特なシェイプ
真俯瞰でみると一見左手用にも見える本マウス、れっきとした右手用のエルゴノミクスシェイプです。
ROCCAT Kone Pureの時も「これ左手用では?」と見たまんまの感想を持ちましたが、実際に右手で持ってみるとかなり持ちやすい。
よくあるEC系クローンとは異なる独特なシェイプ。グリップ幅がかなり広いですね。
左サイドはくびれるというよりくぼみがあります。親指のフィット感が抜群によくて、そのくぼみの部分に乗るイメージ。
右サイドは左右対称型かのようにストンと縦に落ちていて、薬指と小指に力を入れてホールドするのにも向いています。
エルゴなのでトップ部分は右にかけて傾斜していきますが、割とゆるやかなカーブを描きます。
かぶせ持ちが持ちやすいか
一般的な持ち方とされる「かぶせ持ち」「つかみ持ち」「つまみ持ち」の3つで持った使用感について見たところ、個人的にはかぶせ持ちが最もフィットしました。
これらは個人的な感想で、持ち方や感じ方は人それぞれ違いますので参考程度にお願いします。
私の手のサイズは縦幅が18.5cm、横幅が10.5cmくらい。
かぶせ持ち
左サイドのくぼみが親指を寝かせるのに最適な形をしていて、かぶせ持ちはかなり相性が良いです。
右サイドのカーブもほどよく緩やかで、薬指と小指も無理のない形におさまります。
つかみ持ち
両サイドとも指を立てても握り込みやすいシェイプをしているので、つかみ持ちもけっこう良いです。
シェル後方と手の腹のフィット具合は良くて安定感がありますが、若干マウスボタンは高めな印象。
つまみ持ち
マウスが結構大きめなので私の手のサイズだとつまみ持ちはしにくいと感じました。
シェイプ的に持ちやすいには持ちやすいと思うので、手が大きい人には適正がありそうです。サイドボタンが高くて押しにくいのが気になるかもしれません。
穴抜きなしでほどほど軽量
そこそこ大きめなサイズ感、特にグリップ幅からシェル後方がワイドめですが、ハニカムなしで72.1gとほどほどの重さです。
やっぱり穴あいてるとどうしても手にその感覚が伝わりますから、穴がない方が好ましいと感じる方が多いと思います。
サイド部分とかは穴があった方が持ち上げやすいという意見もありますので、好みって感じですね。私はない方が好き。
Kone Proシリーズではサイドに水平方向の薄い溝が刻まれています。
指を置いてもその溝が気になることはありませんが、縦になぞると段々を感じます。グリップ力に少し寄与しているのかな。
耐久値の高い光スイッチ
従来の金属接点で信号を送るマイクロスイッチとは異なり、光を遮ることによって信号を送ります。そのため金属がぶつかることがなく、部品摩耗によって起こるチャタリングは発生しません。
また、応答速度が高速なのも売りの1つで、Razerには負けますがそれでもかなりのスピードなのは間違いありません。メカニカルタイプよりも速いです。
気になるポイントとしてはクリック感と音。これがマイクロスイッチに比べてもっさりとしています。カチッとしたクリックが好きなら微妙に感じるかもしれません。
これに関してはこのマウスのデメリットポイントだと思います。
マウスボタンが光る
一風変わったライティングで、マウスボタンの先端が光ります。
左右で色が変えられるのと、内部のハニカムが透けて見えるのが特徴。
ワイヤレスでライティングをオンにするとバッテリーにかなり影響するので、オンにするとしても輝度は25%とか低めに設定するのがおすすめです。一番はオフにしちゃう。
Kone Pro Air のレビューまとめ
以上「ROCCAT Kone Pro Air」のレビューでした。
- やや大きめサイズでちょうど良い重さ
- 低遅延無線でラグなし
- 独特なシェイプだけど持ちやすい
- ユニークなライティング
- 光スイッチで高速反応
- クリック感はもっさりめ
グリップ幅がけっこうあって形状がユニークなので、好き嫌いは人によりけりって感じですかね。個人的には全体的にクオリティの高いマウスだと思います。
ライティングの見た目は面白いと思うけど人によって好き嫌い分かれると思いますが。しっかりROCCATらしさは出ているマウスですね。
値段が高いと感じたら有線版はかなりお求めやすい価格なのでそっちもチェックしてみてください。