ZOWIE EC3-CW レビュー
ZOWIEから発売されているワイヤレスゲーミングマウス「EC3-CW」をレビューしていきます。
前回レビューしたEC2-CWのスモールバージョンということで、基本的なデザイン・性能などはほとんど変わらないため、似たような解説も多くなるかと思います。EC2-CWとの比較も行っていきますので見ていって下さい!
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概要
ZOWIE EC3-CWは長らく待たれていたZOWIEの初ワイヤレスマウスシリーズの1つです。
EC-CWシリーズにはEC1-CW(L)/EC2-CW(M)/EC3-CW(S)の3種類が展開されており、自分の手の大きさに合わせてサイズを選べます。
今回私の手元にあるのはEC3-CWなのでスモールサイズという分類です。単純に小型された…というわけではなく、やや縦方向にギュッとして後方の幅は広めのままなので、選択肢の幅が広がったとも捉えられます。
スペック
マウス | EC3-CW |
---|---|
カラー | 黒 |
接続 | 2.4GHz無線 |
シェイプ | 左右非対称 |
センサー | PixArt PAW 3370 |
DPI | 19,000 |
ポーリングレート | ~1,000Hz |
寸法(実測) | 118.8 x 60.5 x 41.3 mm |
重さ | 75g |
ボタン数 | 5 |
メインスイッチ | HUANO Black Shell Blue Dot |
サイドスイッチ | HUANO Black Shell Red Dot |
ホイールスイッチ | HUANO Black Shell Red Dot |
ライティング | |
バッテリー | 最大70時間/300mAh |
ケーブル | 1.8m |
オンボードメモリ | プロファイル x 1 |
ソフトウェア |
同梱物
- マウス本体
- USBエンハンストレシーバー
- USBレシーバー
- USB延長アダプター
- USB-Cケーブル
- 予備マウスソール
- クイックガイド
マウスの購入先
Amazonや公式サイトから購入できる予定です。
性能
デザイン
右手用の左右非対称型マウス。
コーティングはそれなりのグリップ感と引き換えにベタベタと脂汚れがついてしまう諸刃の剣。汚れないけどグリップガン無視とどっちが好みかですね。私は最近は多少汚れてもグリップある方が好きです。
ケーブルがなくなるわけなのでUSB-C端子になっています。ナイス。コレmicroUSBだったらズッコケてましたよ。
端子に向かって右側に見えている赤いラインはエンハンストレシーバー用のアンテナだそうです。
ケーブルを接続するとやや上側に角度がついていることが分かります。これはめちゃくちゃZowieっぽい。
ボタンの隙間にLEDランプがつきました。真っ直ぐ見ないと見にくいです。このランプでは充電状況やバッテリー残容量を確認可能。
充電用の金具がついています。これの影響でフロント側のマウスソール形状が変化しました。つまりフロントに関しては今までのソールが使えないということです。リア側は以前と同じサイズ。
ソールの厚みは約0.57〜0-58mm程度。昔から馴染み深い黒色で傷つきやすいテフロンソール。
サイズ
サイズを測ったところ118.8 x 60.5 x 41.3(LxWxH)cmでした。
EC2-CWと比較
左がEC2、右がEC3。
高さは割と一緒くらいです。サイドボタンの形が若干違うのがパッと見の判別ポイント。
底面を見ると、EC3-CWの方がグリップ幅的にふくよかに見えます。
シェイプ
基本的にZOWIE EC3-Cのワイヤレスモデルですからそのシェイプやカーブを継承しています。角がなく、丸みを帯びた形状でZOWIEらしいシェル一体型ボタンを採用。
サイドカーブは後方からフラットになったらフロントにかけてまた外に軽く開いていきます。つまみ持ちすると力がフロント側に逃げがちですが、かぶせやつかみならがっちりホールドできます。
右サイドへの傾斜はそれなりにきつめのカーブです。
EC3はEC2と比べて縦方向に短くなっていますが、後方のグリップ幅はむしろやや広くなっています。持った時の手のひらへの当たり方がだいぶ違うフィーリングに。
Outset AXのように強い膨らみを感じるわけではなく、でしゃばりすぎない自然なフィット感が得られます。
EC2-CとEC2-CWではサイドのシェイプに変更がありましたが、EC3を比較して見たところ全く同じでした。
この形状はEC3-Cから導入されたっぽいですね。
重さ
実測で76gです。EC2-CWが78g弱なので、2gほど軽いです。
これは最近のワイヤレスゲーミングマウスとしては重めの部類。確かにややズシッとしていますが、つかみもちでガッチリホールドしてるとほとんど気にならないです。
なんかちょっと前重かな〜と感じましたけど、パフォーマンスに影響するほどではありません。
エンハンストレシーバーの方が98gと重い。
ビルドクオリティ
剛性は高くどこを押しても軋みません。強く振ってもラトル音なし。スイッチのかたつきやサイドへのヨレもなし。優れたビルドクオリティです。
センサー
搭載されているセンサーは「PixArt PAW 3370」です。
MouseTesterでエンハンストレシーバーを使ってセンサーテストを行いました。400 / 800 / 1,600 / 3,200 の4種類でテストした結果は以下の通りです。いずれもクリックで拡大可能。
xCount
xSum
xCountsでたまにスパイクしますがxSumでの挙動は問題なく、センサー挙動は良好です。
通常レシーバーとの比較
エンハンストレシーバーがあるくらいだから、普通のUSBレシーバーと比べて電波状況変わるのかと思って試してみました。
エンハンストの方がややスパイクが小さくなりました。いずれもマウスとレシーバーの距離は~50cmです。
EC2-CWで試した時はそんなに差はなかったので、まぁ多少なりというか振れ幅があるとは思います。
センサー遅延
センサー遅延は有線のZOWIE EC2と比べると~1.0msでとどまります。実際には0.5msくらいなことが多く、めちゃくちゃ優秀です。無線でもラグフリーといって良いでしょう。
接続 | 遅延 |
---|---|
有線 | ~1.0ms |
無線 | ~1.0ms |
特に何か新しい面白さみたいなのはないマウスですが、安定性と遅延の低さはさすがというところ。今まで有線を敬遠してきたプロもZOWIEならって言ってスイッチするんじゃないかな。たぶん…。
通常レシーバーとエンハンストレシーバーで差異はありませんでした。
センサー位置
センサー位置はほんの少しフロント寄りです。
LOD
設定 | 実測値 |
---|---|
低 | 1.1mm |
中 | 1.4mm |
高 | 1.8mm |
特に理由がなければ低設定がおすすめです。
変更するにはマウスの電源を一度オフにしてから以下の通りに行います。
設定 | ボタン |
---|---|
低 | 左MB+ボタン4+電源ON |
中 | 左MB+ボタン5+電源ON |
高 | 左MB+右MB+ボタン4+電源ON |
DPIズレ
ターゲット | 実測値平均 | 乖離値 |
---|---|---|
400 | 419.0 | +4.75% |
800 | 837.4 | +4.68% |
1600 | 1674.6 | +4.66% |
乖離値は+4.7%前後で結構大きめ。
特にDPIズレがあるからといってマウスに問題があるわけではありません。ただしマウスを変える場合、ゲーム内センシを微調整しないとDPIのズレによってエイムに変化が現れる可能性があります。
マウスボタン
それぞれのマウスボタンについて見ていきます。
メインボタン
由緒正しきシェル一体型のボタンで、ZOWIEらしさのあるとても軽いクリック感。適切なプリトラベルと跳ね返りで素早くスパムも可能。ストロークはやや深め、どこを押してもバコつかずに一定の歯切れの良さを誇ります。
スイッチはHUANO Black Shell Blue Dotです。
メインボタンのクリック応答速度
高速の状態で7.6msとやや遅め。低速だと10.6msでかなり遅いです。ZOWIEマウスでいうと標準的な速さ。
設定 | 実測値 |
---|---|
高速 | 7.6ms |
低速 | 10.6ms |
高速・5秒静止後 | 7ms |
5秒間何もせずに待ってからクリックすると、一部のマウスではアイドルに入ってクリックに大きな遅延が入りますが、EC3-CWでは遅延は確認できませんでした。置きエイム問題なし。
ちなみにデバウンスタイム設定の変更は以下の通りです。
設定 | ボタン |
---|---|
高速 | ボタン4を押しながら電源ON |
低速 | ボタン5を押しながら電源ON |
サイドボタン
位置はやや高めですが面積が広く大きな平べったいサイドボタンなので押しやすいです。押し心地はちょっと硬めですが、いずれもプリトラベルは適正でそこそこの歯切れ良さがあります。
スイッチはHUANO Black Shell Red Dotです。
スクロールホイール
過去のZOWIEマウスに比べてタクタイル感とガリガリ音が抑えられた24ステップのスクロールホイール。
強めのノッチ感を残しながらも以前ほどうるさくないため使いやすいと思います。以前の幅広ステップやガリガリタクタイルが好きだった場合物足りなく感じる可能性も。
クリックはほんのちょい硬めで、スパムは若干しにくいです。
スイッチはサイドスイッチと同じくHUANO Black Shell Red Dotです。
ホイールのガリガリが嫌な場合はベアリングを抜けば無反動回転状態にできます。改造は自己責任で。
ポーリングレートボタン
- 125Hz
- 500Hz
- 1000Hz
DPIボタン
- 赤色:400
- 桃色:800
- 青色:1600
- 緑色:3200
電源ボタン
左に倒すと通常のレシーバーでの接続、右側に倒すとエンハンストレシーバーでの接続になります。いずれも2.4GHz。
エンハンストレシーバー
圧倒的壁感を誇るドデカいワイヤレスレシーバー。ウォールマリア。充電ドックシステムも兼ねています。
他のUSBレシーバーと比べるとサイズ感の違いがわかります。モニターにギリギリかかりそうだけど大丈夫でした。
ちなみに電波を受ける角度があるみたいなので、充電金具がついている方をなるべくマウス側に向けないといかんそうです。
ここの金具にマウス先端を載せることで充電可能。
机の上で充電するとややマウスが斜めになりますがそれでも充電可。マウスパッドの上にマウスを置いて充電すると少しだけ並行になります。マウスパッドにマウス載せたまま充電する想定ですが、レシーバーはなるべくマウスの近くに置くべきですし理に適っていると思います。
充電するとマウストップのLEDランプが点滅します。
通常のUSBレシーバーと延長アダプターも付属してきます。とはいえエンハンストを使った方が安定するならエンハンスト使うべきですね。
バッテリー
バッテリーは300mAhを搭載しており、最大連続使用時間は70時間とされています。
昨今のワイヤレスマウスとしては普通くらいの長さ。充電ドックつきレシーバーのおかげで頻繁に充電しますから問題ないでしょう。むしろ200mAhくらいにして軽量化しても良さそうな気がするくらい。
内部構造
ネジは後方マウスソールの直下に1本だけ。
上部のドーターボードにケーブルが5本ほど繋がれていました。メインスイッチとサイドスイッチ、そしてバッテリーは全てトップシェル側。
MCUはnRF52833。ハイエンドらしい。
ソフトウェア
ZOWIEマウスにソフトウェアはありません。全てマウス本体で設定を行います。
レビューまとめ
- 由緒正しきZOWIEワイヤレス
- 遅延の低さと安定性
- 軽く歯切れの良いスイッチ
- 高いビルドクオリティ
- グリップ力のあるコーティング
- やや静かになったホイール
- ドライバーレス
- USB-C端子
- やっぱり本家の密度感良い
- 76gと重い
- 脂汚れが目立つ
- エンハンストレシーバーでかすぎ
- テフロンマウスソール
- 価格が高い
以上「ZOWIE EC3-CW」のレビューでした。
ホントに、良くも悪くもZOWIEのワイヤレスマウスだなって感想です。クローンじゃなくてZOWIEのマウスが良いって人はまさに待ち望んでいたマウスです。
確かに重いな〜とか高かったな〜とかレシーバーデケェな〜とか思うんですけど、元祖ECの握り心地と密度が高い感じをワイヤレスで使えるのなかなか良いです。
特段目にた見えて新しく驚きのある機能はありませんが、昔から安定性を大事にするZOWIEとしては当然の展開かも。エンハンストレシーバーがどれだけ我々一般ゲーマーの環境に影響するかよく分かりませんけど、大会会場など無数の電波が飛びまくる場所でならもしかすると真価が発揮されるかもしれません。
ですが、遅延がほぼないなど目に見えない部分はしっかり作り込まれていることはお伝えしておきます。ECファンは値段が高くても買いですね。