ZOWIE EC2-CW レビュー
ZOWIEから発売されているワイヤレスゲーミングマウス「EC2-CW」をレビューしていきます。
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概要
ZOWIE EC2-CWは長らく待たれていたZOWIEの初ワイヤレスマウスです。今まで多くのZOWIEクローンワイヤレスが新興ブランドから発売されてきましたが、遂に本家から登場したことによって勢力図が塗り替わるのか…果たして時はすでに遅すぎたのか…?
EC-CWシリーズにはEC1-CW(L)/EC2-CW(M)/EC3-CW(S)の3種類が展開されており、自分の手の大きさに合わせてサイズを選べます。今回私の手元にあるのはEC2-CWなのでミディアムサイズという分類です。
搭載センサーが最先端とは言えないこと、他のワイヤレスマウスに比べても値段がかなり高めな設定であることで微妙な盛り上がりになってしまった本製品。まだ日本で発売されていないため入手もややムズカシイのですが、MaxGamingで予約してたのが届いたので性能を見ていきます。
スペック
マウス | EC2-CW |
---|---|
カラー | 黒 |
接続 | 2.4GHz無線 |
シェイプ | 左右非対称 |
センサー | PixArt PAW 3370 |
DPI | 19,000 |
ポーリングレート | ~1,000Hz |
寸法 | 123 x 61 x 42 mm |
重さ | 77g |
ボタン数 | 5 |
メインスイッチ | HUANO Black Shell Blue Dot |
サイドスイッチ | HUANO Black Shell Red Dot |
ホイールスイッチ | HUANO Black Shell Red Dot |
ライティング | |
バッテリー | 最大70時間/300mAh |
ケーブル | 1.8m |
オンボードメモリ | プロファイル x 1 |
ソフトウェア |
同梱物
- マウス本体
- USBエンハンストレシーバー
- USBレシーバー
- USB延長アダプター
- USB-Cケーブル
- 予備マウスソール
- クイックガイド
マウスの購入先
Amazonや公式サイトから購入できる予定です。
性能
デザイン
右手用の左右非対称型マウス。
コーティングはいつも通りで、そこそこのグリップ感と引き換えにベタベタと脂汚れがついてしまう諸刃の剣。
ケーブルがなくなるわけなのでUSB-C端子になっています。ナイス。コレmicroUSBだったらズッコケてましたよ。
端子に向かって右側に見えている赤いラインはエンハンストレシーバー用のアンテナだそうです。
ケーブルを接続するとやや上側に角度がついていることが分かります。これはめちゃくちゃZowieっぽい。
ボタンの隙間にLEDランプがつきました。真っ直ぐ見ないと見にくいです。このランプでは充電状況やバッテリー残容量を確認可能。
思ったんですけど、やたらとでかいエンハンストレシーバーにOLEDだかランプつけて本体からこれ取り除けば軽量化に寄与したんじゃないでしょうか…。
充電用の金具がついています。これの影響でフロント側のマウスソール形状が変化しました。つまり今までのソールが使えないということです。
ソールの厚みは約0.58mm程度。昔から馴染み深い黒色で傷つきやすいテフロンソール。
サイズ
サイズを測ったところ123 x 60 x 42(LxWxH)cmでした。
シェイプ
基本的にZOWIE EC2-Cのワイヤレスモデルですからそのシェイプやカーブを継承しています。角がなく、丸みを帯びた形状でZOWIEらしいシェル一体型ボタンを採用。
サイドカーブは後方からグッとフラットになったらフロントにかけてまた外に開いていきます。つまみ持ちすると力がフロント側に逃げがちですが、かぶせやつかみならがっちりホールドできます。
右サイドへの傾斜はそれなりに強めのカーブです。
まぁみんな思ってるとおもうけど。
EC2の形状なんて今さらいいよ。
という感じだろうなということで有線版EC2-CとEC2-CWで実はちょっと違うところを紹介。
マウスボタンのエッジ部分の処理が変わってました。EC2-CWの方が薄い端っこになっていて、指が干渉しにくくなっています。
これは右側も全く同じ。薬指が干渉しにくくなったので持ち方の制限が減ったんじゃないかと思います。私はそもそも大丈夫でしたが、薬指がギリギリマウスボタンに引っかかりそうだったところに余裕ができました。
重さ
実測で約78gです。最近のワイヤレスゲーミングマウスとしては重めの部類。確かにややズシッとしていますが、つかみもちでガッチリホールドしてるとほとんど気にならないです。
重めなぶん滑走速度速め~バランスのマウスパッドと相性が良いかもしれません。
なんかちょっと前重かな〜と感じましたけど、パフォーマンスに影響するほどとは思いませんでした。
エンハンストレシーバーの方が98gと重い。
ビルドクオリティ
剛性は高くどこを押しても軋みません。強く振ってもラトル音なし。スイッチのかたつきやサイドへのヨレもなし。優れたビルドクオリティです。
センサー
搭載されているセンサーは「PixArt PAW 3370」です。
MouseTesterでエンハンストレシーバーを使ってセンサーテストを行いました。400 / 800 / 1,600 / 3,200 の4種類でテストした結果は以下の通りです。いずれもクリックで拡大可能。
xCount
xSum
xCountsでごくたまにスパイクしますがxSumでの挙動は問題ありません。
通常レシーバーとの比較
エンハンストレシーバーがあるくらいだから、普通のUSBレシーバーと比べて電波状況変わるのかと思って試してみました。
特に変わったようには見えません。いずれもマウスとレシーバーの距離は~50cmです。
250cmで比較してみる
この距離感でマウスを使うことはないと思いますが、250cmレシーバーから離れてセンサーテスト。
USBレシーバー
エンハンストレシーバー
通常のUSBレシーバーよりもエンハストレシーバーの方が多少xCountsが安定しました。
電波干渉についてはテストがムズカシイのですが、私のデスクでは常にワイヤレスマウス3波とかWi-Fi・Bluetoothが飛び交っているのでそれくらいだとあんまり影響受けないのかなと思います。
とはいえ、でかいという理由を除いてエンハンストレシーバーを使わない理由はないのでそっちを使います。
センサー遅延
センサー遅延は有線のZOWIE EC2と比べると~1.0msでとどまります。有線接続にしても特段速くなることはありませんでしたが、無線でもラグフリーといって良いでしょう。
接続 | 遅延 |
---|---|
有線 | ~1.0ms |
無線 | ~1.0ms |
特に何か新しい面白さみたいなのはないマウスですが、安定性と遅延の低さはさすがというところ。今まで有線を敬遠してきたプロもZOWIEならって言ってスイッチするんじゃないかな。もしいるならだけど。
通常レシーバーとエンハンストレシーバーで差異はありませんでした。
センサー位置
センサー位置はセンターです。
LOD
設定 | 実測値 |
---|---|
低 | 1.0mm |
中 | 1.2mm |
高 | 1.7mm |
特に理由がなければ低設定がおすすめです。
変更するにはマウスの電源を一度オフにしてから以下の通りに行います。
設定 | ボタン |
---|---|
低 | 左MB+ボタン4+電源ON |
中 | 左MB+ボタン5+電源ON |
高 | 左MB+右MB+ボタン4+電源ON |
DPIズレ
ターゲット | 実測値平均 | 乖離値 |
---|---|---|
400 | 414.4 | +3.60% |
800 | 829.2 | +3.65% |
1600 | 1657.4 | +3.59% |
乖離値は3.60%前後です。
特にDPIズレがあるからといってマウスに問題があるわけではありません。ただしマウスを変える場合、ゲーム内センシを微調整しないとDPIのズレによってエイムに変化が現れる可能性があります。
マウスボタン
それぞれのマウスボタンについて見ていきます。
メインボタン
由緒正しきシェル一体型のボタンで、ZOWIEらしさのあるとても軽いクリック感。適切なプリトラベルと跳ね返りで素早くスパムも可能。ストロークはやや深め、どこを押してもバコつかずに一定の歯切れの良さを誇ります。
EC2-Cと比べると音が静かになり、プリ・ポストトラベルが減って安定性が増した気がします。
スイッチはHUANO Black Shell Blue Dotです。
メインボタンのクリック応答速度
高速の状態で7msとやや遅め。低速だと10.2msでかなり遅いです。ZOWIEマウスでいうと標準的な速さ。
設定 | 実測値 |
---|---|
高速 | 7ms |
低速 | 10.2ms |
高速・5秒静止後 | 7ms |
5秒間何もせずに待ってからクリックすると、一部のマウスではアイドルに入ってクリックに大きな遅延が入りますが、EC2-CWでは遅延は確認できませんでした。
ちなみにデバウンスタイム設定の変更は以下の通りです。
設定 | ボタン |
---|---|
高速 | ボタン4を押しながら電源ON |
低速 | ボタン5を押しながら電源ON |
サイドボタン
位置はやや高めですが面積が広く大きな平べったいサイドボタンなので押しやすいです。押し心地はちょっと硬めですが、いずれもプリトラベルは適正でそこそこの歯切れ良さがあります。
スイッチはHUANO Black Shell Red Dotです。
スクロールホイール
有線版EC2-Cよりもタクタイル感とガリガリ音が抑えられた24ステップのスクロールホイール。
強めのノッチ感を残しながらも以前ほどうるさくないため使いやすいと思います。以前の幅広ステップやガリガリタクタイルが好きだった場合物足りなく感じる可能性も。
クリックはほんのちょい硬めで、スパムは若干しにくいです。
スイッチはサイドスイッチと同じくHUANO Black Shell Red Dotです。
ホイールのガリガリが嫌な場合はベアリングを抜けば無反動回転状態にできます。改造は自己責任で。
ポーリングレートボタン
- 125Hz
- 500Hz
- 1000Hz
DPIボタン
- 赤色:400
- 桃色:800
- 青色:1600
- 緑色:3200
電源ボタン
左に倒すと通常のレシーバーでの接続、右側に倒すとエンハンストレシーバーでの接続になります。いずれも2.4GHz。
エンハンストレシーバー
圧倒的壁感を誇るドデカいワイヤレスレシーバー。ウォールマリア。充電ドックシステムも兼ねています。
他のUSBレシーバーと比べるとサイズ感の違いがわかります。モニターにギリギリかかりそうだけど大丈夫でした。
ちなみに電波を受ける角度があるみたいなので、充電金具がついている方をなるべくマウス側に向けないといかんそうです。
ここの金具にマウス先端を載せることで充電可能。
机の上で充電するとややマウスが斜めになりますがそれでも充電可。マウスパッドの上にマウスを置いて充電すると少しだけ並行になります。マウスパッドにマウス載せたまま充電する想定ですが、レシーバーはなるべくマウスの近くに置くべきですし理に適っていると思います。
充電するとマウストップのLEDランプが点滅します。
通常のUSBレシーバーと延長アダプターも付属してきます。ただしエンハンストの方が安定するはずなのでよほどの理由がなければエンハンストが良いかと思います。
バッテリー
バッテリーは300mAhを搭載しており、最大連続使用時間は70時間とされています。
昨今のワイヤレスマウスとしては普通くらいの長さ。充電ドックつきレシーバーのおかげで頻繁に充電しますから問題ないでしょう。むしろ200mAhくらいにして軽量化しても良さそうな気がするくらい。
内部構造
ネジは後方マウスソールの直下に1本だけ。
上部のドーターボードにケーブルが5本ほど繋がれていました。メインスイッチとサイドスイッチ、そしてバッテリーは全てトップシェル側。
MCUはnRF52833。ハイエンドらしい。
ぱかっと開くスクロールホーイル可愛い。
ソフトウェア
ZOWIEマウスにソフトウェアはありません。全てマウス本体で設定を行います。
レビューまとめ
- 由緒正しきZOWIEワイヤレス
- 遅延の低さと安定性
- 軽く歯切れの良いスイッチ
- 高いビルドクオリティ
- フロントサイドの形状が変化
- グリップ力のあるコーティング
- やや静かになったホイール
- ドライバーレス
- USB-C端子
- 78gと重い
- 脂汚れが目立つ
- エンハンストレシーバーでかすぎ
- テフロンマウスソール
- 価格が高い
以上「ZOWIE EC2-CW」のレビューでした。
ホントに、良くも悪くもZOWIEのワイヤレスマウスだなって感想です。クローンじゃなくてZOWIEのマウスが良いって人はまさに待ち望んでいたマウスです。
確かに重いな〜とか高かったな〜とかレシーバーデケェな〜とか思うんですけど、元祖ECの握り心地と密度が高い感じをワイヤレスで使えるのなかなか良いです。
特段目に見えて新しく驚きのある機能はありませんが、昔から安定性を大事にするZOWIEとしては当然の展開かも。エンハンストレシーバーがどれだけ我々一般ゲーマーの環境に影響するかよく分かりませんけど、大会会場など無数の電波が飛びまくる場所でならもしかすると真価が発揮されるかもしれません。
というか一般ゲーマーにエンハンストレシーバーが必須かというとオプションでいい気がしたので、別売りにして本体の値段下げてくれたら良かった気がします。さらにあと1~2年早く出ていたら覇権マウスだったのかもしれない。いまだに日本で買えないし、ZOWIEって全体的に供給率悪いんですよね。いつでも買えるようにしてほしい。