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ゲームギーク
デバイスレビュアー
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無線マウスと有線マウスはどっちが速いの?それって体感できるの?

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こんにちは、マウスは無線派ゲームギークです。

最近無線マウスvs有線マウスっていうショート動画がたくさん見られてて、多くのコメントをいただくんですね。

その中で気になったのが「最近の無線は有線より速い」というコメントがいくつかあったこと。

そして次いで気になったのが「無線は遅延が気になる」でした。

ゲームギークは検証するためにマウスを持ち出すのであった…。

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無線って有線より速くなったの?

これどこ情報なんだろう?って思ったんですよね。

どうやらロジクールの低遅延無線であるライトスピードの説明書きが誤解を生んでいるとかいないとか。

ライトスピードの説明書き

© Logicool

ロジが説明しているライトスピードの「有線をも上回るスピード」という表記が一部誤解を招いているのではないかと。

© Logicool

グラフを見てみるとクリック応答速度(時間)を元にした計測であることが分かります。

クリックの応答速度って無線・有線以外に様々な要因に左右されるんですよ。

  • 光学スイッチかどうか
  • ポーリングレートの数値
  • デバウンスタイムの設定
  • ファームウェア

こういった他の要因が存在します。

ロジクール製のライトスピード搭載ワイヤレスマウスはいずれも光学ではないマイクロスイッチですが、クリック応答速度は速い方で、特にLogicool G Pro X Superlight」はかなり高速です。

65マウス中の12位にランクインしており、多くの有線マウスよりも反応が速いことは間違いありません。

つまり、グラフは正しいけど説明不足って感じです。

まぁあのグラフ、バーのサイズ感がちょっとやりすぎじゃない?って気もしないでもないですが。

繰り返しになりますが、クリック応答速度は無線と有線の関係性といったシンプルなものではなく、他の要因が強く影響しているわけです。

参考

他のマウスの応答速度を知りたい方はこちら。今回のぶんは再計測しているので値が微妙に違うのはご勘弁…!

Razerの無線マウスは最速か?

例えばワイヤレスマウスである「Razer Viper V2 Pro」はクリック応答速度でいえばトップに入る速さです。

むしろRazerのマウスは無線・有線とわず軒並み上位です。

これはなぜかというと、光学スイッチを搭載していることが大きな理由の1つです。

© Razer

光学スイッチはその名の通り光で動作を検知しており、通常のマイクロスイッチに比べて格段に速い応答速度を可能にします。

クリック応答速度だったら無線かどうかだけでなく、スイッチの差もあるでしょ?という話なのです。

じゃ全部光学スイッチにすればいいじゃんって話でもなくて、光学スイッチはやっぱりまだクリック感がもっさりしてるんですよね。

少しずつ改善されているとはいえ、カチッとしたクリスピーな押し心地が好きな人からすると微妙に感じます。

また、光学スイッチだから無条件に速いわけでもなくて、同じく光学スイッチとされるSteelseries Prime WirelessCoolerMaster MM720などは遅いです。

ファームウェアが影響してるのかなって感じです。たぶんね。

無線マウスを有線接続して検証する

無線マウスはほとんどが有線接続できるようになっています。

なので、無線接続時と有線接続時でクリック応答速度に違いが現れるか検証します。

計測方法

オーディオインターフェースに繋いだマイクでマウスのクリック音を録音します。Inputは遅延を少なくするためASIOにし、バッファーサイズは64で固定。

X-mousebuttonというアプリを起動し、左クリックに「M」を割り当てます。

Reaperで左ボタンをクリックすると、音の波形が見えるとともに「M」によってマーカーが打たれます。

音の出始めとマーカーが打たれた位置の差を0.001秒単位で測ります。

10回クリックし、最初と最後の1回ずつを排除した8回で平均値をとります。

ポーリングレートは1,000Hzに固定、デバウンスタイムは設定できる最短値にし、なるべく遅延を最小限に抑えます。

スイッチが押された瞬間が記録始めになるため、マウスボタンのプリトラベルは考慮されていません。

ですので、プリトラベルが大きい場合、遅延が少なくても押してからクリックがレジスターされるまで遅く感じる場合があります。

メモ

これはrtings.comが以前採用していた方法です。

音で計測したらデータとしては微妙なのでは?と思われるかもしれませんが、相対的な評価としては役立つかなと思ってます。

何より機材がほぼいらないので安上がりに計測できるのが強い。

Logicool G Pro X Superlightの計測結果

Pro X Superlightのクリック応答速度を測ってみます。

10回中最初と最後のクリックを除外した中央8回の結果の平均値を出します。

3+3+2+2+2+3+2+2=19 → 19÷8=2.375

約2.375msでした。

次にマウスのUSBレシーバーを外し、ケーブルで接続して全く同じテストを行います。

2+2+2+2+2+2+2+2=16 → 16÷8=2

2.0msでした。

Pro X Superlightの遅延比較
無線モード
2.375ms
有線モード
2.0ms

比較するとこんな感じで、有線モードの方が0.375ms速いという結果に。

誤差と言えなくない範囲ではありますが、記録としては有線の方が速いとなってます。

他のマウスの計測結果

1つだけじゃ信憑性に欠けるので、他のマウスでも計測してみました。

マウス無線時の遅延有線時の遅延
Razer VV2P1.5ms1.3ms
Finalmouse SL123.2ms2.6ms
Glorious MOP WL4.0ms3.2ms
Pulsar X24.8ms3.8ms
Xtrfy M4W6.0ms4.8ms
Steelseries Prime WL7.0ms6.8ms
HyperX Pulsefire Haste8.4ms8.0ms

このような結果になります。

他全ての条件が同じだと、無線マウスでも有線接続した方が遅延がほぼ同じか少ないという結果になりました。

結局無線と有線はどっちが速いの?

散々無線と有線の遅延差について話してきていますが、その差はごくわずかです。

使用していて遅延を感じることはないと思います。

あったらプロが大会で使うはずがありませんし。

もうちょっと分かりやすく、フレームに換算してみましょう。

モニター1フレームあたりの秒数
144Hz1/144 = 6.9ms
240Hz1/240 = 4.2ms
360Hz1/360 = 2.8ms

このように、モニターが144Hzだと1秒間に144枚の画像が流れます。

1÷144=0.0069秒で、1フレームあたり6.9msとなります。

240Hzや340Hzだと1フレームあたりの秒数はさらに小さくなります。

1msは0.001秒です

最速vs最遅

例えばですが、私が計測したクリック応答速度の中で最速だったViper 8Kと最遅だったRealforce Mouseを比べてみます。

Razer Viper 8K
1.4ms
Realforce Mouse
24.2ms

さて、ここで計測したその差は22.8msです

x/22.8として、xにはモニターごとの1フレームの秒数を代入します。

モニター1フレームあたりの秒数
144Hz6.9ms3.3フレーム
240Hz4.2ms5.4フレーム
360Hz2.8ms8.4フレーム

なんかミリ秒で言われると「ふ~ん、でもそれ分からないでしょ」ってなるんですけど、フレームに換算するととちょっと分かりやすい気がする。

まぁここまで大きい差があれば分かるかもしれませんが、これはあくまでおおげさな例。

ほとんどのマウスは10ms以下、多くは4~6msくらいが相場です。

最強に速いViper 8KやCorsair M65とくらべても1~2フレームしか変わりません。

1/360フレームなんて分からないと思います

ただ、今回の計測値は相対評価がメインなので、現実にこの通りの遅延になっているとは限りません。たぶんもうちょい遅いっぽい。

いずれにせよ、プロの場合はともかく、マウスの応答速度にこだわるよりもエイム練習した方がよっぽど撃ち勝てると思います。

でも、ハードウェア的な要素の懸念を一切取っ払いたい人は有線ですね。

無線vs有線

今一度、ライトスピードの速さについて確認してみましょう。

Logicool G Pro X Superlight(無線)Endgame Gear XM1r(有線)を比較します。

Logicool G Pro X Superlight(無線)
2.4ms
Endgame Gear XM1r(有線)
3.8ms

その差は1.4ms。なので360Hzモニターで確認したとしても、遅延は1フレームにもなりません。

それでも無線であるロジのマウスの方が速いです。

ただしこれは先にも言った通り、有線か無線かという話だけではなく、それに加えてデバウンスタイムの設定などが関係しています。

ロジクールの方が調整が上手すぎるってことで、この観点から見ると「有線よりも速いパフォーマンス」っていうのは嘘じゃないんですよ。

でもそれは無線vs有線っていう単純な話ではありません。

デバウンスタイムについて

デバウンスタイムの話は複雑で長くなりすぎるので省略しようと思っていましたが、面白いRedditの投稿がありました。

初期信号をレジスターするかどうかがクリック遅延に影響するようです。

MCD(最低クリック時間)という時間が設けられています。

最初のインプットがあった時にこのMCDに満たないクリックは無視されるのが Defer Debounce

最初の信号をレジスターして残りをMCD分マスクしてしまうのが Eager Debounce

とうぜん最初の信号をレジスターするEagerの方がクリック遅延は少ないです。

ロジクールがこの方法を採用しているのかは私は検証していないので憶測の域を出ませんが、クリック応答速度にはデバウンスタイムも大きな要因となります。

さいごに

今回は無線マウスと有線マウス、どちらが速いのかについてクリック応答速度の観点から検証しました。

ロジのマウスは外観だけでなく内側も作りが職人レベルなので、無線でも他の有線をも上回るクリック応答速度を誇ります。

「有線をも上回るスピード」というのも間違ってはいないのですが、他の要因も多分に絡むことが説明されていないので間違った情報として伝わっちゃってるなと思います。

実際に無線マウスを有線接続してクリック応答速度を計測するとわずかながら遅延が少なくなります

その遅延差は微々たるものなのでプレイに影響を与えるような数値には思えません。

なので心配せずに無線を選んでいいです。

Bluetoothはポーリングレートが制限されることもあり遅延はひどくなりますので、2.4GHzのみの話となります。

読んでくれてアリガトウ!

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