VAXEE PB Black レビュー。高品質なぶ厚いコントロールマウスパッド
VAXEEから発売されているゲーミングマウスパッド「VAXEE PB Black」をレビューしていきます。
VAXEE PB Blackの概要
「VAXEE PB Black」はソフトタイプのコントロール寄りに属する布マウスパッド。ぶ厚いシリコンベースで、止め性能が高いのが特徴です。
同社から発売されているPA Mousepadと同等の素材を用いていますが、表面の昇華熱方式を採用していないこともあり滑走速度が遅めです。ざっくり言うと、PAにぶ厚いベースがたされて、滑りがコントロール寄りになったのがPBです。
マウスパッドの品質は良いと思いますが、果たして消耗品であるマウスパッドに送料込みでトータル8,000円となる価値を見出せるのかどうかチェックしていきましょう。
ちなみに昇華熱方式というのは、インクフリーに触れていることから察して昇華転写印刷のことだと思われます。昇華インクを使って熱でデザインを転写する方法で、これをすることにより表面特性が変わるようです。PAは昇華熱方式、PBはそのまま。
VAXEE PB Blackの同梱物
上にのってるのは「Razer BlackWidow V3 Mini」という65%キーボード。箱の大きさが分かるかと思います。めっちゃでかい。
さらにこのようなダンボールに梱包されています。巻グセをつけないために丸めないで発送…というArtisan仕様の送り方ですね。
これありがたいんですけど、前述の大きい箱もあってか送料が1,200円と高いのがやや難点。
ホコリを防ぐための黒い袋で保護されてきます。同梱物はマウスパッドのみ。
VAXEE PB Blackのデザイン
色は黒のみ。一般的かつシンプルなものの、最近ではデザインに富んだマウスパッドが多いので物足りないと感じる面も。ただし、グラフィックをプリントしないことでPAと滑り性能を差別化しています。
大きさは1サイズとなっています。470 x 390 x 4.5 mmとなっていて、それなりに大きめなL~XL相当サイズです。
厚みが4.5mmと、マウスパッドで一般的な3mm前後よりも厚くなっています。
3層に分かれており、表面がクロスファイバー、中間が高密度ミッドソール、そして底面がシリコンベースです。
硬さはちょい硬くらい。厚みがあるためPAよりも沈み込みはありますが、柔らかくて沈むというよりは意識的に力を加えると沈むという印象。
右下にはVAXEEの金ピカロゴがプリントされていますが、マウスパッド表面とは異なる素材なので、ここをマウスが通過するとかなりスローダウンします。
比較的大きめなロゴなので、マウスパッドの手前側もしっかり使う人だと干渉する可能性が高いです。これはもっと小さくするかギリギリ隅っこにしてほしかったですね。
触り心地は毛羽立ちを少し感じる、よくあるクロスファイバー素材。
エッジはスティッチ加工がされておらず、段差や縫い目による凹凸などはありません。しかし、経年劣化でほつれていく可能性が高いですし、ゴミも付着しやすいという側面があります。
裏面はどっしりとしたシリコンベース。
このマウスパッド、持った瞬間にかなり重いことがわかりますが、シリコンベースがそのほとんどの比重を占めていると思われます。他のマウスパッドにはない重量感です。
写真だと白っぽく写りがちなんですが、実際のところグレーです。
遠目では全く気づけませんが、目を凝らしてよく見ると気孔、いわゆる小さな穴が等間隔であいています。これによって防滑性を高めています。
そのグリップ力はかなりのもので、両手で強くゆすっても動きませんでした。片手でマウスを操作していてズレることは少ないでしょう。
フルフラットがウリですが、端っこはやや浮いてしまうことがあります。ベースを反対に少し折り曲げてあげたり、重しをのせておくとおさまりますが、気づいたらまた浮いてるんですよね…。
端っこなので個人的にプレイに影響することはないから問題には感じていません。
VAXEE PB Blackの使用感
よくあるソフト系の布パッドなんですが、ずっしりしたシリコンベースの感触もあって高級感があります。そもそも値段が税込み6,690円という高額なのもあって丁寧に扱っちゃいますね。
操作感としてはコントロールタイプのバランス寄りといったところ。当サイトの計測ではRazer Gigantus V2と似たような数値になっています。VAXEE PA Mousepadに比べると滑りません。
しかし初動の軽さはPAとほとんど同じくらいかむしろそれよりもちょっと軽めといった結果で、35枚以上あるマウスパッドの中では中間あたりという位置づけになりました。
止め性能がけっこう高いので、狙ったところでちゃんと止められます。中間フォームはちょい硬ですが、PAよりも沈むので小型系のマウスフィートなら力による沈み込み制御はしやすいと思います。
トラッキングがしにくいわけではないですが、どちらかというと点でエイムするようなゲームや瞬発力で勝負するスタイルに合っていそうです。
右下のロゴが思いの外大きい上に素材が異なるため、マウスパッドを端から端まで使う方は干渉して鬱陶しく感じるでしょう。
マクロレンズで撮影してみました。横方向に流れる一般的なクロス表面。
編み目は一見SteelSeries QCKシリーズに似ているのですが、PBの方が繊細なさわり心地してます。
静摩擦と動摩擦をチェック
「静摩擦」は静止した状態からマウスが動き出すのに必要な力を計測します。最初の滑り出しもそうですが、この値は低い方が微細なコントロールはしやすいです。
「動摩擦」はマウスの滑走を維持するために必要な力となります。この値は低い方がマウスが素早く滑ります。
静摩擦
結果は 59.7g でした。
当サイトで持っている35枚オーバーのマウスパッドの中では20位あたりと、中間~ごくわずかに重めかなといった計測結果です。
使っている感じ、特に重いような感覚はなく、力を込めなければスッと動いてくれます。
動摩擦
結果、2.66秒となりました。
私が所持しているマウスパッドの中ではコントロール寄りで、あまり滑らない部類です。特にPA Mousepadとの差は顕著。
採用している表面は同じなのに、昇華熱方式を採用するかどうかでこれだけの違いが出るようです。PBはソフトな布の上を走らせている感じですが、PAは少しそれよりもハードな表面という感覚をうけます。
PAよりも滑らない、加えて初動の軽さは同じくらいが良いという方にはおすすめ。
撥水性をチェック
ザ・布マウスパッドなので撥水性には乏しく、湿気には弱い構造です。
左から水をたらした直後、30秒後、そして1分後です。普段は3分後まで測るのですが、意味がなさそうだったのでやめました。
水をたらした瞬間に吸い始めたので慌ててシャッター切ってます。30秒経過くらいにはほぼ染み込んでおり、水にはかなり弱いことが分かります。
手汗をかく人はアームカバーとか使うと汚れをある程度抑えられるかも。
PA MousepadとPB Blackの比較
本文中にもPA Mousepadとの比較はしていましたが、ここで改めてPA MousepadとPB Mousepadの違いについて書いておきます。
まず大きな違いはベース。PA Mousepadにそのままシリコンベースを足したのがPB Mousepadだと思って良さそうです。たぶんPBからベース部分はがしたらほぼPAになるんじゃないかと。
厚みがPAの3.5mmから4.5mmになりました。上から押し込んだ感覚としてはボトムのシリコンベース分PBの方が柔らかく感じ、クッション性と止め性能が優れています。さらに防滑性能が高まっています。
表面素材は同じクロスファイバーを採用していますが、PAの昇華熱方式を施していないため、滑りが遅めなコントロールタイプになっています。PAの滑りが速いと感じているならちょうどよいかも。
マクロで見た感じ、PAの方が編み目が潰れ気味に見えます。
そして値段。PAの3,690円に対してPBは6,690円と、2倍まではいかずとも布系マウスパッドとしてはかなり高額な製品になっています。XLサイズで考えるとArtisanよりもちょっと高いかな。
製造工程が複雑でコストがかかっているようなので、PAの滑りや厚みにどうしても満足できないわけじゃないならPA使い続けた方がいいですよって公式で言ってるくらいです。
PAもPBもそうですが、マウスパッドはあくまで消耗品なのでコスパは良くないです。ことFPSをゴリゴリプレイする方からすると、耐久面で不安があるかもって感じです。
VAXEE PB Blackのレビューまとめ
以上「VAXEE PB Black」のレビューでした。
- PAに比べ厚みが増し、クッション性と止め性能が向上
- 防滑性が高くズレない
- PAよりも滑らないコントロールタイプ
- 初動の軽さは普通くらい、重くはない
- 撥水性は皆無で湿気に弱い
- エッジは切りっぱなしでほつれそう
- デザイン性には乏しい
- コスパは良くないが品質は高い
PAよりも滑らず止め性能が高いことにPAとの差額3,000円を見出せなければ、PAの方が良いかもですね。
まぁ高いとはいっても送料込みで考えてもArtisanよりも1,000円高いくらいなので、高品質なマウスパッドに出費を惜しまない人には良さそう。
それだけの値段を思わせるシリコンベースの重量感はありますし、マウスパッド自体は品質が良いと思います。一方、寿命がそこまで長いとは思えないし、気軽に買い替えられないのがネック。
コスパが良いとはとても言えないマウスパッドですが、買ったらそれはそれで破れるまで使ってやるか、と考えさせるくらいにはいいかなと思ってます。
あとは供給が追いつけばいいんですけどね…。