THX Onyx レビュー。小型なのに超パワフルなMQA対応高音質DAC
THXから発売されているポータブルDAC「THX Onyx」のレビューをしていきます。
概要とスペック
映画でも有名なTHXが初めてコンシューマー向けに発売した製品である「THX Onyx」。非常に小型なUSB DACですが、イヤホンやヘッドホンを接続するのに使うとハイレゾ音源が聴けるようになります。
ボリュームをノイズなくクリアなまま引き上げてくれます。スマホでもパソコンでも使える便利なアンプです。
カラー | 黒 |
入力 | USB-C / USB-A |
出力 | 3.5mm |
インピーダンス | 22Ω – 1,000Ω |
出力インピーダンス | 0.25Ω |
ダイナミックレンジ | 118dB |
品質 | -110dB |
出力 | 180 mW |
USB DAC | ESS ES9281PRO |
AMP | THX AAA-78 |
プラットフォーム | モバイル / Windows10 / Mac |
ハイレゾ音源とかについてめちゃくちゃザックリ説明するので、さっさとOnyxの話が読みたい方飛ばしてください。
ハイレゾって何?
ハイレゾとは「High Resolution Audio」のこと。直訳すると高解像度音源。
ざっくり説明すると、音をデジタル化する時のサンプリングレートと量子化ビット数がCDよりも上の音源。CDの44.1kHz/16bitよりも情報量が多く、音の密度がきめ細かいものです。
これはどういうことかというと、スタジオでレコーディングした音に近しい状態の音楽が楽しめるというわけです。
しかしハイレゾ=高音質とは必ずしもならないようです。それは何故かと言うと、サンプリングレートと量子化ビット数が一定値を超えていればハイレゾといえるため、それと音質の良さは比例関係にないからです。
この辺難しいんですよね・・
ハイレゾ音源は色んな音楽ストアで購入できますが、単価が高いです。一曲あたり500円とか。アルバムだと3,000〜5,000円くらいします。
最近では月額払いのハイレゾストリーミングサービスも色々展開されていて、そちらの方が個人的にはおすすめです。
MQAって何?
スタジオでアーティストがレコーディングしたそのままのマスタークオリティ音源を楽しめるというMQA(Master Quality Authenticated)。
「音質が良い」「サイズが小さい」というのが特徴。ファイルサイズが小さいためストリーミングなどにも向いているとされ、海外ではTIDALというサービスが有名です。日本では未展開。
「ミュージック折り紙」という独自技術によって高域のデータを折り畳み、ファイルサイズを小さくしています。この高域データは通常の機器で再生される時は無視され、MQA対応機器で展開されることによって豊かな音を楽しむことができます。
ただ個人でファイル変換するようなことは難しいっぽくて、互換性という点ではいまひとつな印象。いつかflacに淘汰されるような気もするけど、現状ではまだまだ最前線って感じですね。
同梱物
ここからは「THX Onyx」をレビューしていきます。
外箱は小さい。フタの内側には接続方法の解説がのっています。
- THX Onyx 本体
- USB-C→A変換
- 多言語説明書など
同梱物はシンプルにこれだけ。
WARNINGと書いてあった紙の裏側はこんな説明書きに。重要なので見ておきましょう。THX Onyxを初めて機器に接続すると音量が100%になるため、爆音になります。
なのでまずは音楽などをストップしてから接続。機器がOnyxを認識したらボリュームが100%になっているはずなので数値を10%程度まで落としましょう。2回目以降は機器を自動で認識するのでこのような手間はありません。
Onyxは音量を増幅するアンプの役目もしているため、マジのマジでめちゃくちゃ爆音になります。鼓膜のためにも必ず従った方がいいです。
デザインと性能
「THX Onyx」は小型のポータブルDAC。単純に言うと、PCやスマホなどで再生する音楽を手軽にアップグレードしてくれる携帯アンプです。
細身のUSBメモリサイズ。耐久値抜群な金属シャーシで高級感があります。黒いボディにTHXのメタルプレートがアクセント。
3.5mmミニプラグがささります。
DACとコネクタを繋ぐケーブルは太めだけど柔らかいシリコンタイプ。短いこともあって絡まるなんてことはありませんし、取り回しも良いです。
根元部分もちょっとやそっとじゃ破れそうにないのでポケットに入れても心配なさそうです。
反対側はUSB-Cコネクタ。
USB-Cコネクタがない人向けに、USB-C→A変換アダプターが付属します。これもOnyx本体と一緒でメタルな質感で頑丈。
本体の根元にはマグネットが内蔵されているため、ケーブルをくるっとまるめてコンパクトにして持ち運ぶこともできます。
重量は実測で17.2gでした。
Onyxには3つのLEDインジケーターが存在します。これらは現在再生している曲の音質を表すため重要です。
ステータス | サンプリングレート | 品質 |
---|---|---|
●●● | 44.1 / 48 kHz | 標準 |
●●● | 48 kHz PCM以上 | 高品質 |
●●● | DSD | Direct Stream Digital |
●●● | MQAレンダラ | MQA品質 |
このように光ります。ピンク色になるにつれて高音質です。
THX Onyxの再生機能
「THX Onyx」はドライバーレスデバイスなので、機器に接続すればそのまま使えます。一体どのような性能なのか、ざっくり見ていきます。
THX AAA アンプ
ノイズや歪みを除去し、そして消費電力を抑えたまま大音量にする THX AAA(Achromatic Audio Amplifier)を搭載。
とにかくめちゃくちゃ音がでかくなります
ヘッドホンの音量半分、プレイヤーの音量半分くらいでいつもは丁度良いなくらいに思ってたのが、ヘッドホン(Onyx)の音量10%、プレイヤーの音量10%くらいで同じレベルになります。
これ100%で聞いたら耳が壊れかねないので、同梱物の章で書いたとおり最初に接続する時は必ず注意して下さい。
音量が大きくなるとやっぱりパワフルになるっていうのは当然あるんですけど、Onyxは耳に聞こえるホワイトノイズみたいなものだけでなく、聞こえないレベルのノイズまで除去するらしく、聞き疲れがしにくくなるというのがポイント。
スマホもパソコンもどちらも基本ノイズだらけの環境です。そこから音楽だけを抽出してノイズ除去しているというわけですね。
ESS ES9281PRO DAC
ES9281PRO DAC(デジタル-アナログ変換器)は最大384kHz/32bitでの音楽を再生可能です。ぶっちゃけ、そこまで行くと聞いてもよく分からないレベルの違いじゃないかな・・。
TIDALの96kHz/24bitですらストリーミングでは最高品質ですからね。
ダイナミックレンジは118dBとかなり広く、小さな音は小さく、大きな音は大きく表現できます。
このDACの大きな特徴はMQAレンダラーとして機能すること。先にもMQAについてはちょっとだけ説明しましたが、MQAをフルデコードしてスタジオマスタークラスの音質を楽しめます。
マイク入力にも対応しているため、ヘッドセットを使っても問題ない設計となっています。これはゲーマーには嬉しい部分ですね。
ただし、ライトニング端子でiPhoneに接続した状態ではマイクを認識しないので注意です。
iPhoneで音楽を聞く
iPhoneで音楽を聞くためには「USBカメラアダプター」が必要になります。
この細いやつじゃないとダメです。純正でかなり高かったんですけど、失敗するのも嫌なので変なブランドは避けました。
「USB3カメラアダプター」というUSB-Cも入るワイドなタイプはダメみたいですね。公式サイトに書かれています。
カメラアダプター側はUSB-Aなので、THX OnyxにUSB-C→A変換アダプターを取り付けてから接続します。アダプターだらけでなんか不格好ですね。
これ、オプションで買えるライトニング変換端子みたいの作って欲しい。正直かなり長くなるのでポケットも膨れてしまうし、何よりダサいです。
最終的にヘッドホンを繋ぐとこんな感じ。ゼンハイザーHD598は3.5mmミニプラグ変換も必要なので、かなり長いことになってしまいました。
これで接続自体は完了です。
パソコンで音楽を聞く
パソコンで音楽を聞くには、OnyxをUSB端子に接続すればOK。ヘッドホンをつなげて接続自体は完了です。
ケースによってはマグネットでペタッとくっついてくれるのがいいです。
パソコンのサウンドデバイスでOnyxがちゃんと選ばれていることを確認しましょう。
ゲームコンソールには対応していませんので注意してください
MQA音質を楽しむ方法
なにはともあれ、これで高音質!
ノイズ除去やアンプなどが入りますので、ある程度はそうなります。しかし、Onyxの真価を発揮できているかというとそうではありません。
詳しくは「MQAを楽しむ方法について」という別の記事にまとめます。
Onyxの音質について
今回は長年愛用している「ゼンハイザー HD598」と「Razer Blackshark V2」で試しました。
最初は完全になんとなくポチっただけの「THX Onyx」でしたが、実際使ってみるとアンプとしてめちゃくちゃ優秀なことが分かりました。
音質がクリアなまま、ノイズとかなしに音量がとてつもなく大きくなります。普通に聞く分にはかなり音量を下げて丁度良いってくらい。
「Razer Blackshark V2」って結構好きなゲーミングヘッドセットなんですけど、若干音量が小さいことが弱点でした。しかしこのOnyxと組み合わせることで全く心配いらなくなります。
MQA音源を通常品質と聴き比べてみたところ、MQAは音の階層が分かりやすくなってボーカルが周りの音に埋もれなくなると感じました。
1つ1つの音がしっかり聞き分けられる感じで、色んな音が入っている曲を聴くとよく分かります。
ゲームで使う分にもディテールの細かい音になったような感じもしますが、そこまで大きく違いが分かったわけではありませんでした。ちなみにゲームはMQAではありません。
この辺は完全に耳によって違いが出ると思います。また、最終的なアウトプット(ヘッドホンやスピーカー)でも違いが出るでしょう。
レビューまとめ
- 良いところ
-
- 細身でスタイリッシュな見た目
- 金属シャーシで高級感がある
- 柔らかいラバーケーブルは頑丈
- クリアなまま音量を増幅するアンプ
- MQAレンダラ搭載
- マイクも接続可能
- スマホも使用可能
- イマイチなところ
-
- 価格はやや高め
- MQAを楽しむには敷居が高い
以上「THX Onyx」のレビューでした。
個人的にはノイズの少ないアンプ+MQAレンダラとして、見た目もおしゃれなOnyxは良い買い物だったなと思います。値段はちょっと高いですけどね。
flacじゃなくてMQAってのが日本の普及率的に微妙なところですが、THXがオススメしている通りTIDALと組み合わせると化けます。
今まで音楽ストリーミングサービスって契約してこなかったんですけど、MQAアルバムが1枚3,000円~って考えると月に2,000円ちょい払って7,000万曲だか聴き放題の方が全然理にかなっているなって感じです。
日本ではサービス展開してませんが、日本の有名なアーティストたちの曲をMQAで聞くことができます。TIDALへの登録方法については次の記事で解説していますので参考にしてみてください。
iPhoneと一緒に持ち歩くにはUSBカメラアダプター分がほんといらないなって感じで、お願いだからUSB-C→ライトニング変換をTHXから出して下さいと思ってます。絶対買いますから。