Razer Orochi V2 レビュー。電池駆動の小型ワイヤレスマウス、実はかなり高性能
Razerから発売されているワイヤレスゲーミングマウス「Razer Orochi V2」のレビューをしていきます。
動画で見てみる
概要とスペック
「Razer Orochi V2」はその名の通り以前発売されたOrochiの後継機にあたるマウス。昔はメカメカしいシェイプをしていましたが、すっきりとミニマルな普通のマウスへと洗練されました。
微妙なエルゴシェイプで小型サイズ感。2.4GHzとBluetoothの両無線に対応しています。バッテリーではなく電池での長時間駆動。公称の重さは60g未満ですが、電池入れたら重くなるのですごい軽いというより「それなりに軽い」という評価です。
最近のRazer製品では標準装備となっているオプティカルスイッチではなく、メカニカルスイッチとなっています。オプティカルのクリック感に馴染めない人にとっては嬉しいデザインですね。
カラー | 黒 / 白 / カスタム |
接続 | 2.4GHz / Bluetooth |
シェイプ | エルゴ |
センサー | Razer 5G |
DPI | 18,000 |
ポーリングレート | ~1,000Hz |
寸法 | 108 x 60 x 38 mm |
重さ | 60g未満 |
ボタン数 | 6 |
ボタン | Kailh GM 4.0 |
ライティング | なし |
ケーブル | なし |
バッテリー | 単3 / 単4電池 |
オンボードメモリ | プロファイル x 1 |
ソフトウェア | あり |
同梱物
外箱と梱包はこのようになっています。
- マウス本体
- リチウム単3電池
- USBレシーバー
- クイックガイドなど
同梱物は以上です。
USBレシーバーは本体内部のソケットに入った状態で梱包されてきます。
デザインと性能
「Razer Orochi V2」はフロントセンサー&電池駆動という、最近のRazerワイヤレスマウスとしては珍しい設計。
エントリーレベル向けというほどの安さでもありませんが、低遅延なHyperSpeedワイヤレス技術を搭載したマウスとしてはRazer製品の中で最安となります。
シェルの素材はきめ細かなテクスチャが見えるタイプで、ほどほどグリップ力はあります。
後方にはRazerのロゴが刻印されていますが、目立ちにくいステルスデザインとなっています。本マウスはライティングがないためロゴが光ることはありません。
ちなみに本マウス、海外公式サイトではカスタムデザインの上に文字を刻印するカスタマイズが可能です。コミュニティのデザインがかなり秀逸です。値段がちょっと高くなるのと、日本では未対応なのが悲しいところ。
どうもRedditで見た話だと、ステッカーみたいな安っぽい感じじゃなくてちゃんとプリントされてるのでクオリティが高いみたいです。
サイズは実測で 108(長さ)x 60(グリップ幅)x 38(高さ)mm です。
Sサイズに分類されるマウスよりも長さはかなり短め。ですが高さはほどほどあるのと、グリップ幅がかなり広めです。
電池とレシーバーを抜いた状態の実測は 57.2g でした。これだけで見ると超軽量なワイヤレスマウスですが、実は電池駆動なためここにさらに電池の重さが足されます。
そういう意味では60g未満を売り文句にするのはちょっとなぁと感じます。
付属してくるリチウム単3電池を入れると 72.3g でした。決して重くはないですが軽いかと言われると最近のスタンダードとしては普通くらい。
充電式の単4電池を入れたら 69.1g でした。単3電池とはたった3g程度しか違いません。バッテリー容量は当然それよりも少なくなりますので、重さとのトレードオフでどちらがいいか選ぶと良いです。
ほとんど左右対称。ですが、左側のサイドだけ内側にくぼんでいて、右側は外側へ飛び出ています。なので一応エルゴシェイプと分類しましたが線引きが難しい。正直かなりフィット感はいいです。
トップのピークは中央あたり。通常のマウスだと、そこからフロントにかけてなだらかな傾斜になるのに対し、本マウスは割と角度がついたまま。これがこのマウス最大の特徴的なシェイプだと思っているのですが、とても持ちやすいです。
バッテリー
マウス後方の溝に指を引っかけて持ち上げるとトップシェルがツールレスで簡単に取り外せます。
トップシェルが外れた状態です。マウス後方の銀色のマグネットとネジで吸着しているだけ。ですが、逆さまにして強く振っても落ちないくらいにはしっかりくっつきます。
本マウスは充電式バッテリーではなく乾電池で動きます。
AAというのが単3電池、AAAというのが単4電池のこと。どちらでも使える設計となっていますが、使うのはどちらか1本のみを推奨しています。
電池は重心が左右で偏らないように斜めに入ります。ただし前後のバランスに関しては多少変動しますので、どちらのサイズの電池を使うか選ぶ基準になるかも。
こんな風に使うバッテリーを選べるマウスってこれくらいしか思い付かないのですが、汎用性に優れていて使いやすいですね。余ってる電池が単4しかなかった!ってなっても全く問題ないわけですから。
電池寿命
リチウム単3電池で運用した場合、Bluetooth接続で最大950時間、2.4GHz接続で最大425時間となっています。
電池がリチウムかアルカリか、単3か単4かでも寿命は異なります。最も長持ちさせたければリチウム単3電池がベストです。
公式サイトの計算機で見てみると、2.4GHz接続で毎日5時間ゲームし続けても82日間持つようなので結構長く使えますね。電池も充電池を買えば必要なのは初期コストくらいなので、電池駆動だから・・といって敬遠することもないと思います。
ビルドクオリティ
ビルドクオリティですが、トップシェルが取り外し可能にもかかわらず全体的に堅牢です。
サイドやトップを強く押し込むとボタンが反応しますが、普通に使用する分には全く問題ありません。
これは私のコピーのみかもしれませんが、スクロールホイールが横に動いてしまうのがちょっと気になる部分。気にしなければ大丈夫ですが、なんとなく違和感があったので書いておきます。
他のマウスと比較
似たような部類のマウスと比較してみます。
まずは「Logicool G304」との比較。
Orochi V2 | G304 |
---|---|
108 x 60 x 38mm | 116.3 x 62.3 x 37.3mm |
72.3g | 96.6g |
同じようなサイズ感かと思っていたのですが、 長さはG304の方が全然ありますね。高さは僅差。グリップ幅はボトム側でいうとOrochi V2の方が断然太いです。
重量は両方とも単3電池を入れた状態での計測で、Orochi V2が圧倒的に軽いです。
値段はG304の方が半額以下なのでライバルかというと微妙。シェイプはOrochi V2の方が好きですが、コスパで考えたらG304には負けると思います。
次に「Razer Viper Mini」との比較。
Orochi V2 | Viper Mini |
---|---|
108 x 60 x 38mm | 118.3 x 53.5 x 38.3mm |
72.3g | 60.5g |
Viperの小型バージョンで、その秀逸なシェイプとサイズ感から評価の高かったマウス。長さはViper Miniの方が長く、グリップ幅は細い。高さは同じくらいです。
重量はViper Miniの方が軽いですが、これは有線だからという理由もあります。
センサー
かなりフロント寄りのセンサー。
これは好き嫌いが分かれる位置だなと、どセンター派の私としては敬遠しそうになったのですが、しばらく使ってみるとこのシェイプにはフロントセンサーがベストな気がしてきました。何故かというとシェイプ的にリストエイムしやすい持ち方になるからですね。
とはいえやっぱりフロントすぎるのでは?と思う部分もあります。悩ましい。
センサーは「Razer 5G」で最大DPIは18,000。
センサーテスト
ポーリングレート1,000Hzで、それぞれDPIが400、800、1,600の時のセンサーテストを行いました。
400DPI
800DPI
1600DPI
xCounts、xSum両方ともに波形は良好です。
USBレシーバーからの距離は重要
2.4GHz帯は電波が弱いので、ちょっとした障害物を挟んだり距離が遠くなったりするとすぐに挙動がおかしくなりますので注意です。
2mほど離れて障害物を挟んでテスト。xCountsではポジティブアクセルが発生していますが、xSumを見ると割とセンサー的には正確に反応しています。
マウスフィート
マウスフィートは前方と後方に大きめなものが貼られており、センサー周りにはスクエアタイプのものが貼られています。
いずれもPTFE100%で滑りは良いですが、エッジの丸め処理はちょっと鋭角な気がします。前方のマウスフィートの形が少しいびつになっているのが気になりましたが、滑りには影響ありません。
LOD
LODは 1.4mm でした。標準的な短さで問題ありません。
マウスパッドに使用したのは「Artisan NINJA FX ヒエン SOFT L」です。LODはマウスパッドによって変動することがあります。
LODが長いとマウスを浮かせてポジション移動しようとした時にカーソルが勝手に動いてしまう可能性が出てきます。所感では1.0mm前後だと優秀で、2.0mm前後までいくと長いと感じます。
電源ボタン
底には電源スイッチ。真ん中がオフ、左が2.4GHz、右がBluetooth接続です。
ゲームをプレイするなら2.4GHzが基本です。Bluetoothにすると遅延が多くなります。Bluetoothの方がバッテリー持ちは良いので、ゲーム以外はBluetoothで接続するなど使い分けると電池が長持ちします。
マウスボタン
メインボタン
トップシェル一体型のメインボタン。押し心地はほんの少しだけ硬めで、跳ね返りは普通。プリトラベルとポストトラベルはややあります。
メインボタンには第2世代Razerメカニカルマウススイッチが採用されていますが、実のところ中身は Kailh GM 4.0 です。クリスピーなクリックフィーリングと音で満足感の高いスイッチ。
最近のRazerで主流なオプティカルスイッチは反応が速い反面、クリック感がイマイチなのとコスト自体が高いため値段に影響します。
メカニカルスイッチは経年劣化によるチャタリングみたいなデメリットもありますが、音やフィーリングはやっぱり良いですね。
サイドボタン
小ぶりでやや高めに配置されたサイドボタン。押し心地は割と軽めで押しやすく、パキッとしたフィードバックの良さは好印象。プリトラベルとポストトラベルはややありますが特に気になりません。かなり良いです。
スクロールホイール
スルスルと軽めの回し心地なスクロールホイール。軽い分タクタイル感は薄め。
クリック感は丁度よい硬さで押しやすいです。クリック時につまるようなこともありません。
これはビルドクオリティの項でも書きましたが、ホイールを横に押すと押された位置で止まってしまうのがちょっとイマイチな点。プレイには影響ないですし、そのせいでボタンに擦れるなんてこともありませんが、なんとなく気になりました。
DPIボタン
ホイールちょっと後ろに位置するDPIボタン。クリックすると下のLEDインジケーターの色がDPIに準拠したものに変わるので視覚的に分かりやすい。
ソフトウェア
Razer Synapse 3 をダウンロードして使用します。
ボタン機能のアサイン、DPIの変更、ポーリングレートの変更、スマートトラッキング、そしてスリープまでの時間などを設定できます。
さらにOrochi V2はマルチドングル対応です。
マルチドングルというのは1つのドングルで複数のRazerワイヤレス製品に対応するというかなり嬉しい機能。ワイヤレス製品が一般的になってきている中、ドングルが増えすぎて困りますよね。これはさすがRazer。
接続できるのは1つのマウスと1つのキーボードのみ。現在対応している製品は少ないのですが、今後増えていくと思われます。私はRazerのワイヤレスキーボードを持っていないので試せないのが口惜しいところ。
できればマウスも1つのドングルで複数接続できるようになってくれたら最高なんですが、求めすぎかな。他の大手でワイヤレス製品を多数発売しているところは後に続いてほしいですね。1つのブランドで統一する利便性も増えるわけですし。
持ち方と使用感
一般的な持ち方とされる「かぶせ持ち」「つかみ持ち」「つまみ持ち」の3つで持った使用感について見ていきます。
これらは個人的な感想で、持ち方や感じ方は人それぞれ違いますので参考程度にお願いします。
かぶせ持ち | つかみ持ち | つまみ持ち |
---|---|---|
◎ | ○ | ◯ |
かぶせ持ち
サイズは非常に小型なのですが、トップシェルのアーチ形状がかなり良い仕事をします。指の関節部分にしっかり馴染みむので、小さいのにフィット感を感じる不思議なシェイプです。
また、左サイドは緩やかにくぼんでいるため親指の収まりが良いです。
つかみ持ち
マウス中央から前方にかけてやや高めなのですごいフィットするわけではありませんが、これも相性はほどほどといったところ。
長さが短いため後方をやや包み込むように持つことになると思いますが、悪くないです。
つまみ持ち
短めの全長を活かすためにはつまみ持ちも良いです。
左右対称なマウスではありませんが、両サイドとも緩やかなカーブなので持ちにくさは感じず、ちゃんとコントロールできます。
レビューまとめ
- 良いところ
-
- 歯切れの良い優秀なメカニカルスイッチ
- 低遅延2.4GHzとBluetoothの両無線対応
- コンパクトなサイズ
- それなりに軽量
- どんな持ち方にも順応
- 単3電池でも単4電池でも使える
- 2.4GHzで最大425時間と長寿命
- マルチドングル対応
- イマイチなところ
-
- フロントセンサーは好き嫌い分かれそう
- 値段は安くない
- カスタムデザインは日本未対応
- ホイールのビルドクオリティが微妙
以上「Razer Orochi V2」のレビューでした。
2.4GHzとBluetoothの両無線対応、重くても70gちょっと、サイズは小型ですが持ち手を選ぶシェイプではなくかなり使いやすい、クリスピーなメカニカルスイッチと、結構良い印象があります。
最初はセンサーがフロントに寄りすぎているのでうーんと思いましたが、全長が短い割にはかぶせ持ちのフィット感が非常にあるため、意外とフロントセンサーが合っている気もしています。
さらに乾電池スタイルにすることによって携帯性に優れ、ノートPCを使ったり出先でゲームすることが多い人にはとても相性が良いですね。
ただ値段はちょっと高い気がします。5〜6,000円くらいかなと思っていたら8,000円オーバーだったので。日本でも近々発売する予定みたいなので、楽しみに待ちましょう。
似たようなマウスである「Logicool G304」から買い換えるのはありだと思います。ですがどちらを買おうか迷っている場合、まず値段が倍以上違うので、これらが比較するようなライバル製品かと言われると微妙な気もしています。
性能としては基本的にOrochiの方が全体的に勝っているので、余裕があるならOrochi V2、コスパが最優先ならG304という選択肢になりそうです。