スタビライザーのルブとHolee MODの方法を解説
メカニカルキーボードの打鍵感を改善するルブカスタマイズ。以前キースイッチについては解説しましたが、今回は同じくらい重要なスタビライザーの改善についてです。
スタビライザーのルブの他、バンドエイドの切れ端をステムの中に入れて隙間を埋めるHolee MODについても説明していきます。
スタビライザーって何?
スタビライザーはキーボードの大きめなキーについている補助機能のことです。
スペースバーやエンターといった大型のキーはスイッチ単体だと左右の支えがないため打鍵した時にグラついてしまいます。
そういったグラつきを抑えるために必須なのですが、このスタビライザー、キーを押し込んだ時にカタついたりうるさい音を立てたりする曲者でもあります。
そういったカタつきや擦れ、ノイズなどを抑制するのが今回のルブの目的となります。
スタビライザーを分解する
今回分解するのは「Glorious GMMK Pro」のスタビライザー。スタビライザーは何種類か取り付けスタイルがありますが、これはスクリューイン型です。
キーボードを全部分解しないと取り外せないのでまずは分解。そしたらスタビライザーを留めているネジを外していきます。
本キーボードは75%サイズですが、スペースバー用の6.25uが1つ、エンターなどの2uが3つあります。
PCBから外したら、さらに細かく分解していきます。
ステムの十字側を上にして右手でハウジングを持ち、左手はワイヤーを持ちます。
ワイヤーを上方向に90度曲げるとスナップと共に外れてくれます。
これをもう片方のステムにも行ってワイヤーを完全に取り外してしまいます。
全部で3つのパーツに分かれました。
さらに分解します。これはスポッとハウジングからステムを抜くだけ。
これで準備完了です。
ルブされていたら洗う
もしすでにルブされていたとしたら一回洗っておきましょう。これはHolee MODを行う時に重要で、潤滑剤が残っているとテープの張り付きが悪く苦労します。
小皿に適当に水と洗剤を入れてジャバジャバ洗います。
それだけだと足らないので歯ブラシでステムの中をこすって綺麗にします。
洗い終わったらティッシュの上などで乾かします。私の場合これだけだとちゃんと綺麗になってくれなかったので、さらに掃除しました。
ピンセットとティッシュを使ってステムの内部をゴシゴシと掃除します。
極端な話、この内部のオレンジ線の面だけ綺麗になればテープが張り付くのでOKです。
Holee MODの方法
Holee MODでは布タイプのバンドエイドを使います。
私は家にたまたまあったので使いましたが、Amazonとかなら上記みたいなのがいいかも。あくまで「布」タイプが良いです。
裏のテープは半分だけ剥がします。こうすることで剥がしていない方を持って作業できます。
まずテープをステムに入るような細さで切ります。最初の曲がっている部分は切り落としてしまってOKです。
細かい切れ端を扱うのでピンセットは必需品です。なるべく先の尖った細いものがおすすめ。
ピンセットを使ってステムのこの部分にテープを通します。粘着側を画像でいう下側にしましょう。
飛び出している余りの方は1/3ほど切ってしまいます。
テープが余ったら折り返して下側の天井に貼り付けるようにします。
ステムには入り口が2つあるサイドと1つのサイドがあります。2つの口の方で折りたたむように貼り付けます。
ざっくりこんな感じで完成形です。上記画像は悪い例として見てもらいたいのですが、なるべくはみ出さないように、しっかりくっつけるようにしてください。全然くっつかないのであればルブが残ってしまっていた可能性が高いです。
と言ったものの、最悪しっかりくっつかなくてもどうにかなるといえばなるのでそこまで神経質にならなくても良いです。
これらを全てのステムで同様に作業を繰り返します。
スタビライザーをルブする
次にスタビライザーをルブしていきます。
ハウジングの内壁をルブしていきます。今回使ったのは「Trybosis 3203」。「Krytox 205g0」があればそれがベストでしょう。
塗布するルブの量はなるべく少なく、薄くのばします。白い塊が見えないようにします。終わったらステムを中に戻しておきましょう。
次にワイヤー部分をルブします。
ワイヤーは白い塊が見えていても良いので厚めに塗ってあげます。
曲がり角ちょっと先まで塗っておきましょう。スタビライザーに戻した時にこの曲がり角までが摩擦点となります。とりあえず塗るのは片側だけ。
ハウジングを逆さに持ちます。つまりステムの十字が下を向いている状態です。
ワイヤーを奥側の入り口にいれて、隙間部分にワイヤーがスナップするように少し持ち上げながらはめてあげます。分解する時は90度曲げれば簡単に外れたはずですが、戻す時はこの隙間にしっかり戻そうと意識しないと上手くいきません。
片方がスタビライザーに取り付けられたら、もう片方を塗って…とやるとアクシデントで汚れる可能性が少し低くなります。
これでMODは終わりですので、PCBに取り付けて組み立ててしまいます。
MOD前と後の比較
今回の動画では、スタビライザーが搭載されている大型キーを3つのパターンで比較します。
- ルブも何もされていない状態
- キースイッチはルブ済み、Holee MODなしの状態
- 最後はルブもHolee MODも行われた状態
ルブ済みでも音は改善されていますが、まだうるさい音が鳴っていました。しかしHolee MODまで行うと不快な打鍵音が結構減った印象です。
左SHIFTキーはめちゃくちゃ音が改善していますが、スペースバーはもっと静かになっても良いのかなと思いました。
1度また分解して、Holee MODでバンドエイドを2枚張りを試してみましたが、さすがに厚すぎるみたいでスタビライザーが定位置に戻ってきてくれなくなったので断念しました。
この辺はスタビライザーの限界もあるとは思いますが、MODしている私の腕のせいでもありそう。
さいごに
キーボードのスタビライザーをルブしてHolee MODする方法でした。
スペースバーやエンターって最も多く打鍵する大型キーなので、これがうるさかったりカタついたりするとタイピング感が大きく損なわれます。
一度やったらもう戻れません
ややトリッキーではありますがそんなに難しいことでもないため、チャレンジしてみてほしいです。