Glorious Model D Wireless レビュー。安くて全体的に良いけどQCは怪しめ
Gloriousから発売されているエルゴシェイプのゲーミングマウス「Model D」がワイヤレスになって登場しました。
左右対称型であった「Model O Wireless」に引き続き、同社から発売される無線マウスとしては2作目。
今回はその「Glorious Model D Wireless」をレビューしていきます。
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概要とスペック
見た目やフィーリングは有線版である「Model D」とさほど変わらず、やや大型のエルゴシェイプマウス。
無線になったのに重さがほとんど変わっていない・・というかむしろ軽いくらいなのは感嘆すべき点。
ですが、軽量化に注力しすぎてクオリティコントロール(QC)にやや難あり・・という印象です。
私の個体はマウスクリックを強く押すと引っ掛かりが感じられて使いにくく、速攻で倉庫の奥深くに投げ込むところでしたが、一度分解してみたら改善しました。
解体方法についてはYouTubeに動画をアップロードしてありますので、同じ問題に直面したら試してみて下さい。
このQC問題さえクリアできていれば、普通にコスパは高くて推せるマウスです。第2・第3ロットになれば改善されているはずなので、日本で買えるようになるころには問題は少なくなってそう。
カラー | 黒 / 白 |
接続 | 無線 |
シェイプ | エルゴ |
センサー | BAMF |
DPI | 19,000 |
ポーリングレート | ~1,000Hz |
寸法 | 128 x 61 x 42 mm |
重さ | 69g |
ボタン数 | 6 |
マウススイッチ | Glorious Switch (Kailh) |
ライティング | あり |
バッテリー | 最大71時間 |
ケーブル | Ascended USB-C 2m |
ソフトウェア | あり |
さらに詳しい技術仕様に関しては公式サイトをご覧ください。
同梱物
外箱。背面にはスペックが表記されています。
- マウス本体
- USBレシーバー
- USB延長アダプター
- USB-Cケーブル
- 追加マウスフィート
- クイックガイドなど
無線マウスの命、小型USBレシーバー。トップ部分にGLORIOUSと書いてあります。
スリムなので割とどんなところにもささります。RazerのドックとかもOK。
おっさんの顔がでかでかと描かれた延長アダプター。
2.4GHz無線は電波が弱いので、このアダプターを使ってUSBレシーバーをマウスの近くに持ってきてあげると調子良いです。
ケーブルはUSB-Cタイプで布巻き。柔らかめで取り回しはほどほど。
先端が三叉状になっていて、しかも表裏があるため汎用性は低め。USB-Cの利便性潰しちゃってるし。
マウスにしっかりささってブレないのが強みだと思いますが、そもそもさしながら使うならちょっと休憩がてら充電した方がよっぽど良いかと。
追加のマウスフィート。予備ではなく、あくまで追加です。
「remove」の圧がすごい。絶対剥がさせるという意気込みを感じます。
デザインと性能
「Glorious Model D Wireless」は右手用の左右非対称型マウス。有線の「Model D」が待望のワイヤレス化です。
シェル後方はハニカムシェルになっています。全体はマットコーティングで、スルスルと滑りますが力を込めると比較的グリップ力を感じます。
サイズと重さ
サイズは実測で 128 x 61 x 42 mm でした。有線版「Model D」と同じサイズで、分類的にはやや大型なLサイズです。
重さは実測で 68.5g でした。有線版「Model D」と重さが変わらない、むしろ軽いくらいなのは素直にすごいと思います。
重量比は 0.89:1 でした。このサイズにしては非常に軽いマウスです。
各サイドから見たシェイプ
右側へ傾斜していくエルゴノミクス形状で、ほとんどZowie ECクローンです。
シェル後方はハニカム構造となっていますが、サイド部分はソリッドシェルとなっています。サイドに穴があいていると持った時の違和感が強いので、この設計はありがたいですね。
持ち方と使用感
一般的な持ち方とされる「かぶせ持ち」「つかみ持ち」「つまみ持ち」の3つで持った使用感について見ていきます。
これらは個人的な感想で、持ち方や感じ方は人それぞれ違いますので参考程度にお願いします。
かぶせ持ち | つかみ持ち | つまみ持ち |
---|---|---|
◯ | ◎ | △ |
かぶせ持ち
リラックスしたかぶせ持ちが可能です。サイズが大きめなのでフィット感は良いです。
トップ部分のカーブはきつくなく、関節部分が浮くようなことはありません。
つかみ持ち
つかみ持ちは個人的にかなり良いです。無理なくガッチリとホールドできます。
サイドはフロント側が細くなっていくので、ほんの気持ち手前に引いて持つと良いフィット感を得られます。
つまみ持ち
つまみはイマイチです。サイズが大きいので、手が大きめじゃないとサイドボタンを押すのが難しい。
また、サイドがフロント側に向かってすぼんでいくので力が逃げやすい。
私の個体では右クリックが硬くて、手前側で押すとあまりフィーリングが良くありませんでした。
有線版Model Dと比較
有線版の「Model D」と比較してみました。
見た目的にはほとんど一緒なのですが相違点は2点あります。
- ケーブルがなくなった
- マウスボタンの手前側のハニカム穴がなくなった
マウスボタン手前の穴はない方が好まれます。マウスを浅く持つ人だと干渉してしまう可能性が高いからですね。
ちなみに見た目以外ですと、スイッチがオムロン20MからKailhとコラボしたGlorious Switchに変更されています。
ビルドクオリティ
ビルドクオリティに関しては以前よりも向上しています。
サイドを強く押しても軋みませんし、シェルトップやボトムもかなり堅牢。
ただし、マウスボタンの下を穴抜きしすぎているせいか、QC問題が発生しがち。
私の個体ではマウスボタンを押すと、戻ってくる時に強い引っ掛かり感がありました。
正直そのまま倉庫の奥深くにしまおうかと悩みましたけど、とりあえず分解してみることにしました。
マウスボタンの分解手順
マウスボタンはマイナス精密ドライバーなどの先端が鋭利で頑丈なものを使います。怪我には注意してほしいのと、やるなら自己責任でお願いします。
本当はクリック部分に何か薄いプレートのようなものを貼るべきか迷ったのですが、一回分解して組み立て直してみたら何故か直ってしまいました。
直ったらメインボタンのクリック感は普通に良かったです。ただし右クリックは少し硬さが残りました。
似たような問題が勃発してるんじゃないかと思ってるので、もし買って同じ問題に直面してしまった人は参考にしてください。
もし組み立て直すだけで直らなければ、薄いテープみたいなものをマウススイッチと接触する部分に貼るなど試してみると良いかも。
センサー
センサーはPixArtとコラボして作られた「Glorious BAMF」を搭載。
最大DPIは19,000で、大元は最新センサーのPAW 3370だという認識です。
センサー位置はほぼセンター。
センサーテスト
ポーリングレート1,000HzでDPIが400、800、1,600の時のセンサーテストを行いました。
テストに使用したマウスパッドは「VAXEE PA Mousepad」です。
400DPI
800DPI
1600DPI
xCounts、xSumの両方で綺麗な波を描いており、動作は良好です。
LOD
LODは 0.9mm でした。短くて優秀な長さです。
ソフトウェアで 1mm か 2mm を選べます。デフォルトでは1mm。
2mmにして測り直してみたところ、特に何も変わりませんでした。ソフトウェア的なバグかもしれません。
マウスフィート
マウスフィートはそれぞれ微妙にサイズの異なるものが4枚貼り付けられています。
厚み0.81mmの100%PTFEで、滑りは良いです。
最初はブルーの保護フィルムが貼られてきますが、「remove」に気迫を感じます。
追加のマウスフィートを貼り付けてみました。
マウスフィートの面積を広くすることで、摩擦がかかる接地面が大きくなります。
コントロール寄りになって沈み込みにくくなるって感じですね。
マウスボタン
それぞれのマウスボタンについて見ていきます。
メインボタン
セパレートタイプのマウスボタンで、Kailhとコラボして作られたグロリアススイッチが採用されています。耐久値は8000万クリック。
スイッチはクリスピーで良いのですが、私の個体ではクリック時にボタンの引っかかりを感じました。戻ってくる時に少しラグがあるというか。
分解したところ直りましたケド・・
クリックはかなり軽めで連打しやすいです。
クリックに必要な押下圧は左が43.8gで、右が41.6gでした。こちらの記事でリスト化して他のマウスと比較しているので参考にしてください。
本マウスのデバウンスタイムは初期値で10mmが設定されています。
これをソフトで0mmに変更してクリック応答速度を測ったところ、数あるマウスの中でも中間くらいに位置する速度でした。
サイドボタン
サイドボタンは結構高めに位置しています。普通に持つとまず触れないであろうってくらい。
かぶせ持ちだとフロント側のボタンは手が大きくないとちょっと押しにくいかも。
平べったくて大きいので押しやすいです。両方ともカチッと歯切れ良いクリック感でした。
スクロールホイール
スクロールホイールはやや重めなフィーリング。良く言えばトロッとした滑らかさ、悪く言えばモッサリ。
ノッチ感はしっかりあるし、回りすぎないのでゲームには良いかなと思います。
クリックは丁度良い軽さで押しやすいです。
DPIボタン
マウスホイールすぐ後ろに位置するDPIボタン。
距離が離れているので、特に誤クリックは発生しないでしょう。
ライティング
ライティングで特徴的なのは両サイドのライン。スクロールホイールも光ります。
発光パターンはいくつか用意されていて、ソフトウェアで切り替えることができます。
ライトをオフにすることも可能です。
ソフトウェア
公式サイトで配布されている「Glorious Core」というソフトウェアをインストールして使います。
ライティング、キーバインド、DPIステージ、LOD、デバウンスタイム、ポーリングレートの変更が可能です。
また、バッテリー残量を%で確認することができます。これけっこう嬉しい。
他のマウスと比較
その他のマウスと簡単に写真で比較してみます。
Razer DeathAdder V2
大型エルゴワイヤレスの「Razer DeathAdder V2 Pro」と比較。
長さはさほど違いがないものの、グリップ幅は圧倒的にRazerの方が太い。また、フロントの幅もRazerは太め。
デスアダーの方が全然大きく感じます。
Pulsar Xlite Wireless
中型サイズですがコスパ的には近しいレベルになる「Pulsar Xlite Wireless」と比較。
長さはXliteの方が短いですが、グリップ幅と高さは同じくらい。
トップシェルはModel D Wirelessの方がほんの少し平べったさを感じます。ほぼ誤差範囲ですが、Model D Wirelessの方がECクローンとしては忠実な形かも。
Model D Wirelessのまとめ
- 良いところ
-
- 大きめエルゴだけど69gと軽い
- 安定した低遅延無線
- Kailhとコラボした新スイッチ
- PixArt PAW 3370搭載
- サイドのライティングが綺麗
- ハニカム部分がちょっと減った
- 価格は安い
- 注意点
-
- QCが甘く、クリックに問題が発生しかねない
- ケーブルの三叉形状が残念
有線版の重量は69gなので、本マウスはワイヤレスなのに全く重さが変わらないという脅威の軽量化。大きめサイズなのに軽くてワイヤレスなのは強みです。
ただ、私の個体ではマウスボタンで引っ掛かりを感じる致命的な問題が発生しました。これが直らなかったら、どんなにマウスが良くてもサポート対応かゴミ箱行きです。
Gloriousの初期生産ロットは問題が発生する可能性が高いと言われていて、特にModel D系はそれを強く感じます。
なので、発売されてしばらく経ってから買うとか、日本に輸入されてから買うのは良いかなと思います。
こんな方におすすめ
以上「Glorious Model D Wireless」のレビューでした。
大型エルゴシェイプのワイヤレスマウスとしてはとても軽く、値段もかなり安め。
予算を抑えながらフラッグシップ級を手にしたい方におすすめです。