Finalmouse ULX レビュー。軽くて良い。ビルドクオリティが微妙だけど
Finalmouseから発売されているゲーミングマウスUltralightX(ULX)をレビューしていきます。
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概要
Finalmouse UltralightX(以降ULX)はブランド初となる常時生産型のマウス。
今まで売られてきたStarlightシリーズは常にカラーが変わって毎回1万個とか2万個の限定販売商法だったので、購入がとにかく狭き門でした。カラーによっては30秒でカートに入れても間に合わないくらいのヤバさ。
そんな常軌を逸した購入戦争に終止符が打たれようとしている、それが今回のマウスなわけです。とは言ってもまだ供給が足りておらず、すぐ買えるようになるまではしばらく時間がかかりそうですけど…。
2023/12/18のバッチ3ではSが8000個、Lが12000個販売されましたが、Sは1時間で売り切れ、Lは長い間売れ残る不人気サイズとなりました。着実に購入のハードルは下がってきています。
今回紹介するULXはLion Guadian。「Lion」とはミディアムサイズのこと、「Guardian」は金色アクセントのカラーリングのことをさします。
スペック
マウス | ULX |
---|---|
カラー | Phantom / Guardian |
接続 | 2.4GHz 無線 |
シェイプ | 左右対称 |
センサー | PixArt PAW 3395 |
DPI | 26,000 |
ポーリングレート | ~8,000Hz |
寸法 | 121.3 x 56.8 x 37 mm |
重さ | 38g |
ボタン数 | 5 |
メインスイッチ | Omron D2F-F-7N(20M) |
サイドスイッチ | Omron Blue Dot |
ホイールスイッチ | TTC Purple Dot |
エンコーダー | Kailh |
ライティング | |
バッテリー | 250-280mAh |
ソフトウェア | XPANEL(ウェブベース) |
同梱物
- マウス本体
- USBレシーバー
- USB-Cケーブル
- クイックガイド
マウスの購入先
Finalmouse公式サイトから購入できます。
現状売り切れてしまうため定期的にドロップする方式なので
。性能
デザイン
ベースカラーは黒色で、マウスボタンに刻まれている紋様の色が2種類存在します。
私が持っている金色タイプはGuardianというモデル名。もう1つは水色タイプのPhantomです。
Finalmouseのデザインはいつも美しくて感嘆します。自社ロゴをでかでかをプリントしないのが好き。
ULXは以前使っていたマグネシウム素材をスッパリやめて、新しく調合したカーボンファイバーコンポジット、日本語だと炭素繊維複合材を採用。
ここ最近マグネシウムを使ったマウスが乱立してきてるので、次の素材に移行するのは賢いなと思います。
Finalmouseからハニカム構造がなくなることはない…!と思うほど毎回絶対に穴が空いてます。究極の軽量化を目指しているっぽいのでたぶん穴がなくなることはないでしょう。
カーボンファイバー複合材良いですが、マグネシウムのようなプレミアム感と頑丈さはないですよね。やっぱ金属は金属の良さがあります。
もちろんカーボンファイバー複合材がチープという意味ではありません。また、明らかにマグネシウムの方が重いです。
ついにmicroUSBからUSB-Cへと端子の形状が変更。長かった…。いつまでコネクタの上下気にしなきゃいけないんだよと思ってましたがついに解消されました。
ビルドクオリティ
今回は気になるビルドクオリティから先に説明しておきます。
ULXはシェルが薄すぎてシェル後方はピンポイントで押し込むと凹みます。最初壊れないかちょっと不安だったんですが、普通に使ってる分にはまず平気。凹みはするけどそんなに柔くもないです。
なので基本構造としては大丈夫。ただし、力を込めたり体重を載せたりすると操作中に変形してるのが分かります。これはマウスの持ち方とか操作の仕方によるので人によりけりだとは思いますが、つまみ持ちが最適なんだろうなってのは間違いなくて、デスグリップするような人はたぶんダメだと思います。
話題に上がったバッチ1初期ロットのサイドの歪み。これはベースプレートとサイドの噛み合わせが悪く隙間があることから発生した問題で、私のバッチ1後期ユニットでは直されているはず…。
なのですが、それでもフロント側に隙間ができてしまっていて、押し込むとギィギィかなり不快な音を発しました。また、強めに握り込んで前後に擦り合わせるように動かすとサイド部分が動いていたのですが、これはかなり気になります。
そこで、分解してアルミテープを貼り付けて改善しました。細かい調整はここで語り始めると長文になってしまうため、機会があれば別記事でまとめようと思います。需要があればなのでもしかしたら書かないかもだけど。
上の写真は参考程度。この辺りは全部剥がしてフロントのみにしました。
それと見た目的に話題に上がった点としてマウスボタンの凹みみたいのがありますが、これは私的には全く気になりません。
もう1つ結構気になったのが左マウスボタンの横方向へのかくっとしたブレ。また、押し込んだ後にホールドしてるとズズっと動くため、押しっぱなしにするゲームでは気になります。
これもなんとかアルミテープで気にならない範囲まで修正しようとしましたが、ここはやりすぎるとポストトラベルがなくなるなどクリック感に影響するので調整がかなり難しいです。妥協…しなければならないのだ…。
後、あまりにネジ回しすぎると受け皿が削れて締まりきらなくなるのでこれも注意です。私のはネジ2箇所逝きました。
というかこんな微調整ユーザーがしなきゃいけない時点でビルドクオリティぼろぼろ。レビューする身としてはかなり神経質になって見てたんで、普通の人からしたら全然気にならない可能性もありますが…うーん。
新しいカーボンファイバー複合材を使った野心的な挑戦であること、あまりの軽さと薄さによって今までのマウスでは気にならなかったような細かいズレやたわみが顕在化してしまっているというのもあるかもしれません。
このマウスを大量生産するってだけで相当気合い入ってるとは思います。まぁファーストロットはこんなもんだろうとも思いますけど、ハズレ個体当たったかもしれません。一応フォロワーの皆さんにどんな状況かアンケートとってみたのが以下。
全く問題ない人、うらやましすぎる。
軋みやかたつきの直し方は動画でも紹介しています。
サイズ
Lion(Mサイズ)は121.3 x 56.8 x 37 mmです。他の一般的なMサイズマウスと比べると少し小さめなサイズ。
名称 | サイズ | 寸法 |
---|---|---|
Cheetah | S | 115.6 x 54.1 x 35.2 mm |
Lion | M | 121.3 x 56.8 x 37 mm |
Tiger | L | 126 x 59 x 38.4 mm |
それぞれのサイズの公称値はこの通り。
SとMはスターライトと同じですけど、LはAir58と同じくらいのサイズだそうです。手のサイズに関わらず使えますが、大きすぎると難しいかも。
シェイプ
Finalmouseって基本ずっとシェイプ変えてないんですよ。
左右対称形で、サイドは逆ハのジではなくややフラットめですが、フロントとバックの間もくびれは少なめでグッと握り込みやすい。
トップはなだらかな傾斜を描き、どちらかというと平べったいタイプに属します。なのでかぶせよりもつかみやつまみに適正が強いです。
マウスボタンはくびれていて指が置きやすくなってます。
重さ
重さは実測で38gでした。このサイズのマウスとしては極めて軽い。マジでゲキ軽。
Lionは確かもともと33gくらいで宣伝されてましたが、バッテリーのオーバースペックやペイントの重ね塗りなど色々重なって重くなっちゃったらしいです。これに関しては怒ってる人多数ですが、まぁ怒るのも無理ないよね。
ただ38gでもとっても軽いのは間違いないんですよ。
これはStarlight-12 PhantomのMサイズ。49gとこちらも十分軽量ですが、11gも差があります。この差はほんとにデカくて、明らかに違います。
その他の似たようなサイズのマウスと重さを比べてみるとこんな感じ。
昔はLogicool G Pro X Superlight持ってモックアップみたいって思いましたが、それよりも20g以上軽いんです。普通にすごい進化。
センサー
搭載されているセンサーは記事執筆時点では最新となるPixArt PAW 3395です。
MouseTesterでセンサーテストを行い、特に問題ないことを確認したので割愛します。
センサー位置
センサー位置はほぼセンターとなってます。
マウスボタン
それぞれのマウスボタンについて見ていきます。
メインボタン
Starlightシリーズと比べるとクリックはかなり軽くなってスパムしやすくなりました。だいぶ押しやすくなっていて個人的は好き。ストロークはやや浅め、跳ね返り弱め。
スイッチはオムロンのD2F-F-7N(20M)です。
メインボタンのクリック応答速度
応答速度はオプティカルではないマイクロスイッチにも関わらず、0.446msと超高速でトップクラスです。
平均値 | STdev | サンプル数 |
---|---|---|
446μs (0.446ms) | 84 | 1,000 |
マウススイッチにワイヤー接続して正確な遅延を計測するXLATを使用しました。4Kポーリングレートのモーションシンクオンです。
サイドボタン
サイドボタンはいつものFinalmouseと変わらずクリスピーで上等な押し心地。やや前傾気味の配置なので手前のサイドボタン4を押しにくいと感じる場合もあるかもしれません。
スイッチはオムロンのブルードットです。
スクロールホイール
ホイールはラバーのないタイプで、表面は細かい凹凸となっています。やはりラバーじゃない分防滑性は弱く、汗をかいていると滑ることがあります。
なんでラバーなくしたかって、これは軽量化のためですね。仕方ない。
エンコーダーはKailhのもの。
スイッチはTTCのパープルドットでした。
バッテリー
バッテリーのレーベルには250mAhと書いてありますが、ディスコードでは280mAhのがきちゃってそのせいで重くなったのが1つの原因と言っていたので、たぶんレーベルを250で作っちゃったけど中身は280なんじゃないかな。
Starlightのバッテリーはめちゃくちゃ長持ちで有名でしたが、果たしてULXはどうか。XPANELでバッテリー残量を見られるため、なんとなく測ってみました。
1Kで3時間遊んだところ、バッテリー残量は100%のフルから96%まで下落。これを単純計算すると約75時間もちます。
Starlight-12はめちゃくちゃ長かった印象なのでこのバッテリーの減りスピードだと並って感じですね。ちょっとXPANELのバッテリー残量が増えたり減ったりして胡散臭いのであくまで目安と思ってもらえれば。
もう一度フルまで充電して、4Kポーリングレートに切り替えて2.5時間遊んだところ、バッテリー残量は100%のフルから92%まで下落しました。バッテリーが空になるまでは約31時間ちょっとの計算。
粘着剤は切ってしまえ
バッテリー裏の粘着剤はベースプレートに直接貼られており、下側からでも触ることができます。これはたぶんホコリやらゴミやらを集めていってしまいそうな気がしますね。
一応バッチ2からは見えなくなるようなので、これ以降に買う人は心配ないでしょう。
私はこの粘着剤、全部バッテリーを覆うくらいあったの無駄だと思ったので小さく3つに切って貼り直しました。これだけで0.5gほど軽量化できます。
USBレシーバー
デュアルチップを搭載したUSBレシーバー。Type-Cで接続、中央のFinalmouseロゴがイルミネーションで光ります。
とはいってもRGBとかではなく、バッテリー残量によって多少変化するか、白一色点灯となります。
Xgrip
Xgripというグリップテープを開発したらしく、バッチ1に関しては発送が遅れたおわびということで同梱されてました。本来は別売りです。
これすっごい薄くてペラペラです。測ってみたところ0.3mmちょっとくらいでした。
はりつけてみましたが、薄いのでハニカム構造が透けちゃってる。なので、穴を塞ぐというので使おうとすると満足できないかもしれません。
ただし薄いのでグリップ幅がほぼ変わらないという利点があります。また、グリップ力はツルツルよ表面よりも高くなるため、防滑性が欲しい人には良さそう。
ソフトウェア
Finalmouse公式サイトにあるXPANELにウェブブラウザでアクセスして使用します。PCなどにダウンロードできるアプリバージョンなどは存在しません。
- プロファイル変更
- ボタン割り当て変更
- DPI設定
- ポーリングレート設定
- LOD設定
- Motion Sync
- デバウンスタイム
やはりウェブベースのアプリは使い勝手最高です。
ソフトのように常駐させるというアイデアではないため、毎回設定変更する際にブラウザでXPANELを開かなければなりませんが、余計なリソースを消費しないのが強み。
ちなみに左マウスボタン+右マウスボタン+サイドボタンを長押ししながら電源オンでLODの変更ができました。他の操作もできると嬉しいんだけど、怪しい。
レビューまとめ
- 美しいデザイン
- 超軽量な38g
- カーボンファイバー複合材使用
- 軽量で超高速反応なクリック
- ワイヤレス8Kポーリングレート対応
- 選べる3つのサイズ
- ウェブベースアプリXPANEL
- ビルドクオリティが良くない
- 薄くなったマウスソール
- ハニカム構造で穴だらけ
- ホイールが滑りがち
- 底の粘着剤むき出し
- いまだに買えない
以上Finalmouse ULX Lion Guardianのレビューでした。
やっぱり目下の問題はビルドクオリティと供給量ですね。ずっと生産していくマウスなのでいずれ改善されるは思いますし、日本でふもっふが販売するようになれば不良品の交換もしやすくなるので不安な方は来年あたりまで待った方が良いかもしれません。
構造的な改善はバッチ1の途中でも修正が入りましたし、バッチ2でも様々な微調整が行われています。ロットを重ねるほどクオリティコントロールは高まるはずなので、後期ロットの人はより高い品質のULXを使えるはず。
まぁ今のところはダメだよ。189ドル以上払って何時間も初期修理に奮闘するってなんなん。
とはいえ、他のブランドが実現できない最先端技術で突っ走るのはやはりさすがとしか言えません。マグネシウムもコピーされるまで数年かかりましたし。こういうのってやっぱり最初にやるブランドがすげえと思います。
めちゃくちゃ軽いし。軽すぎて手と一体化してしまうかのような使い心地のULX、常に買えるほどの在庫がストックされるのはだいぶ先だと思います。すぐには買わないでいいです。安定するまで待ちましょう。