Xtrfy MZ1 Zy’s Rail レビュー。RJNが手がけたフラットシェイプのゲーミングマウス
Xtrfyから発売されるゲーミングマウス「MZ1 Zy’s Rail」のレビューをしていきます。
本製品はレビュー用サンプルをご提供いただきました
概要とスペック
「Xtrfy MZ1」は有名なマウスレビュアーであるRJN(Rocket Jump Ninja)氏がデザインしており、クローンではない新しいシェイプのゲーミングマウスです。
マウスの第一印象は「ちっさ!」だったのですが、持ってみるとこれがどうにも使いやすい。穴あき構造ですが、マウスを持つ指の部分はソリッドシェルのままにしてあります。
イヤだなこれ・・と感じる部分が少ない、完成度の高いマウスです。しかし、シェイプが特殊なので手放しでおすすめできるかというと難しい。私は好きですが、これは手のサイズや持ち方にかなり依存するので試してみるしかないって感じですね。
カラー | 黒(スケルトン) |
接続 | 有線 |
シェイプ | 左右対称 |
センサー | PixArt PMW 3389 |
DPI | 16,000 |
ポーリングレート | ~1,000Hz |
寸法 | 111 x 52.5 x 36.5 mm |
重さ | 56g |
ボタン数 | 6 |
ボタン | Kailh GM 8.0 |
ライティング | あり |
ケーブル | EZcord Pro |
オンボードメモリ | プロファイル x 1 |
ソフトウェア | なし |
同梱物
小型だけどしっかりと硬い外箱。中を開けるとマウス本体がお目見え。
- マウス本体
- 予備のマウスフィート
- クイックガイドやステッカーなど
同梱物は以上です。
クイックガイドの表と裏。スイッチとDPIボタンを組み合わせて様々な設定ができるため、この説明書は持っていた方が無難です。
Xtrfyシリーズはよく「Xtrfy」とか「GG」みたいなプリントの入ったキーキャップが付属してくるのですが、本マウスではありませんでした。
デザインと性能
「Xtrfy MZ1」はRJNによってデザインされている有線ゲーミングマウス。コラボ製品というだけあって、ベースはしっかりとXtrfyです。
厳密に言うと左は少し窪んで、右は外側に少し飛び出しているのですが、エルゴってわけでもないしほとんど左右対称かなという感じ。
けっこう穴があいてるので気になるかもなと思っていたのですが、よく見ると指が触れる部分は穴抜きされていません。
右サイドも薬指と小指の部分は穴抜きされていません。
RJNはきっとここに指が来るんだろうな〜とか漠然と思っていたのですが、無意識に持ってもなんとなくこの穴のない部分に指が落ち着くんですよね。不思議。
スケルトンハウジングで、ややスルスルっと滑るタイプ。ですがグリップ力がないかと言うとほどほどあります。穴は円形タイプ。
サイズは実測で 111(長さ)x 52.5(グリップ幅)x 36(高さ)mm です。公称値と全く同じでした。分類的にはSサイズです。
重量は実測で 59.6g です。公称値は56gですが、それよりもちょっと重い結果になりました。ゲーミングマウスとしてはかなり軽い方です。
各サイドからの見た目です。サイドから見ると本マウスのシェイプの面白さがよく分かります。トップのピークはかなり後方にきており、お尻は勢いよくストンと切り落とされたような形。フロントからトップまではまっすぐに傾斜しています。
また、マウスボタンはかなり反り返っていて、指を置くとフィット感がかなりあります。なんかクセになる形なんですよねコレ。
ビルドクオリティ
ビルドクオリティは最高峰です。どこを押しても歪んだり軋んだりすることは全くありません。また、マウスを強く振ってもラトル音などは一切ありません。
素晴らしいの一言です!
センサー
センサー位置は潔くどセンター。
センサーは「PixArt PMW 3389」で、最大DPIは16,000です。
センサーテスト
ポーリングレート1,000Hzで、それぞれDPIが400、800、1,600の時のセンサーテストを行いました。
400DPI
800DPI
1600DPI
xCounts、xSum両方ともに波形は良好です。
LOD
金属板を使ってLODを0.1mm単位で調べます。「Artisan ヒエン SOFT」の上で計測しました。LODはマウスパッドによっても変わることがあります。
結果は 1mm でした。短くて優秀です。
本マウスはLODの設定を2段階で変更することができます。初期設定は「低」で1mm。「高」にすると2.5mmとなります。
高で測ったところ 3mm となりました。これは長すぎるので、基本的には低がおすすめ。
マウスフィート
マウスフィートは小さめなものがフロントに1枚、後方に2枚貼られています。100%PTFEで滑りは良く、エッジの丸め処理も丁寧です。けっこうぶ厚め。
センサー周りにはマウスフィートが貼られていません。しかし、予備のマウスフィートにはセンサー用のものが付属してきますので、貼り付けることが可能です。
マウスボタン
それぞれのボタンについて見ていきます。
メインボタン
セパレートタイプのメインボタンは非常に縦長。メカニカルスイッチには人気のある「Kailh GM 8.0」が採用されています。
中央が大きく窪んだ反り返りの強いシェイプをしています。ここに指を置くとすごいフィット感があってクセになります。
カチッとかなりクリスピーな音と感覚。硬さも跳ね返りも普通くらいで、プリトラベル・ポストトラベルともにかなり少ないです。歯切れのよい確かな押し心地。
サイドボタン
サイドボタンはメインボタンに比べるとマイルドな音と押し心地です。サイズはかなり小型。
押し心地とはね返りは普通くらい。プリトラベルとポストトラベルはほどほどあります。
スクロールホイール
非常に静かで軽い回し心地のスクロールホイール。スルスル回転します。ノッチ感は弱めです。
クリックの硬さは普通くらいで、つまったりするようなこともなく押しやすいです。
トップボタン
この四角いボタンはセオリーでいくとDPIボタンになるのですが、このマウスでは違います。
底にあるスライダースイッチに連動したファンクションボタンとなっています。
底のスライダースイッチ。
- RGB:ライティング
- PR:ポーリングレート
- LOD:リフト・オフ・ディスタンス
- F11:キーボードのF11
このようになっています。
どういうことかというと、このスイッチを「RGB」にしたままトップボタンを押すと、ライティングのパターンや輝度の調整が可能です。
PR(ポーリングレート)
ポーリングレートがサイクルしていきます。
それぞれの色は「125Hz(赤)/ 500Hz(緑)/ 1,000Hz(青)」です。
デフォルトは1,000Hzで、センサーの挙動次第では500Hzにするのも良いでしょう。
LOD(リフト・オフ・ディスタンス)
低と高の2パターンで調節可能。低だと1mm(赤)、高だと2.5mm(緑)です。
デフォルトでは低になっていますので、そのままで大丈夫。
F11
いわゆるキーボードのF11ボタン。ゲームでF11にコマンドを割り当てることによって、このボタンを活用できるというわけです。
Xtrfyシリーズは元来このトップボタンに何もアサインできないのがデメリットの1つでした。しかし、これで完全に改善されました。
デバウンスタイム
デバウンスタイムも変更可能になっています。
サイドボタン2つ、左マウスボタン、右マウスボタンの計4つを全部同時に長押しします。
3秒ほど立つとライトが点滅。この点滅した色でデバウンスタイムを判断します。
「2ms(赤)/ 4ms(青)/ 8ms(緑)/ 12ms(紫)」となっています。
DPIボタン
底のセンサーすぐ左にあるのがDPIボタン。すぐ上にあるLEDインジケーターの色によって現在DPIを確認することができます。
選択できるDPIの種類は全部で8つ。「400 / 800 / 1,200 / 1,600 / 3,200 / 4,000 / 7,200 / 16,000」となっています。それぞれ色分けされています。詳しい色味はクイックガイドに乗っています。
ケーブル
EZcord Proという新しいケーブルが採用されています。
これがめちゃくちゃ柔らかくてしなやか。一瞬ガチのパラコードケーブルかと思いました。品質的にはかなり近いものを感じます。
従来のEZcordケーブルと比べると、素材的には同じ布巻きですが太さが一回り違います。
ブッシュはかなり上向きに設置されています。そのため、マウスパッドとの干渉は少ないです。
ライティング
なぜ真っ黒ではなくスケルトンなのか?それはもちろん光らせるためですよ・・。たぶんRJNの趣味でしょう。ぼんやりとライトが中で反射しているのが見えますね。
左サイドのフロント側にRJNのロゴ。
マウスボタンのエッジが光ります。ライティングにはプリセットがいくつか用意されていて、底のボタンをRGBにしてトップボタンを押すことでサイクルしていきます。
ライティングパターン | 挙動 |
---|---|
オフ | 消灯 |
カラーウェーブ | RGBで波打つ |
ブリージング(単色) | 単色でゆっくりフェードする |
常時発光 | 同じ色で発光し続ける |
スペクトラムサイクル | 一色ずつゆっくり変わっていく |
スワイプ(単色) | 単色でムチのように光る |
スワイプ(スペクトラム) | スワイプの色が変わる |
スワイプ(RGB) | 虹色のスワイプ |
リアクティブ | ボタンを押すとスワイプで光る |
ハートビート | 単色で鼓動のように光る |
トップボタンと他のボタンを組み合わせて押すことで、ライティングを変更できます。
- 左マウスボタンを押す:スピードの調整
- 右マウスボタンを押す:色の変更
- サイドボタンを押す:輝度の上げ下げ
後方にはXtrfyのロゴ。
持ち方と使用感
一般的な持ち方とされる「かぶせ持ち」「つかみ持ち」「つまみ持ち」の3つで持った使用感について見ていきます。
いずれの持ち方でもやや浅めに持つことになると思うので、必然的にフロントセンサーっぽくなります。
かぶせ持ち | つかみ持ち | つまみ持ち |
---|---|---|
◯ | ◎ | ◯ |
かぶせ持ち
小型だし、ぱっと見にはつかみ持ち向けシェイプに見えます。なのでかぶせ持ちは微妙かなと踏んでいたのですが、思っていたほど悪くないです。
指がマウスボタンのくぼみに沿うようフィットするのがいい感じ。
全長が短くて、お尻部分がストンと落ちているので浅く持つことになります。また、背丈も低いため、手が大きい人には向いていないかも。
つかみ持ち
マウスボタン側が低めで、つかみ持ちにとても適したシェイプです。
マウス後方は傾斜がきついため、マウスの上に手が乗っかる感じにはなりません。つまみ持ちとのハイブリッドっぽい持ち方になると思います。
後ろのコブが手のひらにしっかりぶつかって安定します。
つまみ持ち
小型で背丈も低いため、つまみ持ちすると可動域が広くとれます。やや逆台形っぽいシェイプですので、持ち上げやすくなっています。
マウスボタンの穴はだいぶ手前なので、浅く持っても指が穴に干渉することはありません。ただし、右サイドに関しては、指と穴が干渉する可能性は高めです。
レビューまとめ
- 良いところ
-
- 小型だけど多様な持ち方に対応
- 60g未満と軽量
- 指が触れる部分は穴なし
- Kailh GM 8.0スイッチ
- PixArt PMW 3389センサー
- クリック感はとても良い
- 最高に柔らかいケーブル
- 完全ドライバーレス
- トップボタンをF11にバインド可能
- 光が透過するスケルトンシェル
- ビルドクオリティは最高峰
- イマイチなところ
-
- 見た目はダサめ
- 万人にフィットする形ではない
- 有線にしては高い
以上「Xtrfy MZ1 Zy’s Rail」のレビューでした。
正直なところ、見た目はイマイチ。でも、めちゃくちゃ握りやすいんだコレが・・。小さいなと思いましたが、つかみ持ちでかなりフィット感があります。
さらにマウスボタンの反り返りが指になじんで、ミスクリックも減ったように感じます。万人にフィットするシェイプではないですが、個人的にはとても良い。手が小さい人~普通の人には触ってみてもらいたい。
サイドボタンは普通ですが、定評のあるKailh GM 8.0を採用したマウスボタンはかなり押し心地が良いです。穴あきですがビルドクオリティは半端なく良いし、指が触れると思われる部分は穴抜きされていません。
かなり感動したのが、今回が初出なはずのEZcord Pro。これまでのEZcordはなんだったんだと思うくらい超進化を遂げています。今までのマウスもこのケーブルにアップデートして再販してほしいくらい。
今まではマウスの設定しかできなかったトップボタンにF11をアサインできるようになるなど、色んなかゆいところに手が届く洗練されたマウスです。
万人に勧められる全対象向けマウスではありませんが、ハマる人にはめちゃくちゃハマるシェイプだと思います。