SteelSeries GameDAC Gen2 レビュー
SteelSeriesから発売されているDACのGameDAC Gen 2をレビューしていきます。
概要
SteelSeries GameDAC Gen 2は元々同社のフラッグシップヘッドセットNova Proに付属してきたゲーム用DACです。
このDACが非常に人気を博しまして、単体販売を望む声が多かったのですが満を持して2023年4月に遂に単品発売開始となりました。めでてぇのぅ、めでてぇのう。
音の解像度や定位感をぶち上げると定評がある本製品、実際に見ていきたいと思います。が、その前にちょっとDACだけ用語解説しておきましょう。
DACとは
DAC(ダックと呼びます)とはDigital Analog Converterのことで、デジタル信号をアナログ信号に変換する機械です。我々が実際に聞く音というのはアナログです。PCやCDなどに保存されているデジタル信号はアナログ信号に変換されて初めて聞き取ることができるわけです。
なぜこのDACが音質に影響するのか…そのチップや回路によって音の性質が変化したり、歪みやノイズが抑えられてクリアに聞こえるようになるためです。音質の好みは人それぞれなので、実際に聞いてみないとそれが良いのか悪いのかは当人にしか判断できないと思いますケドも。
おざなりなおまけ程度のDACで聞いてたら、専用のものに載せ替えた時に大きな変化を感じるはず。
スペック
カラー | 黒 |
入力端子 | USB-C x 2, LINE IN |
出力端子 | 3.5mm, LINE OUT |
搭載チップ | ESS Sabre 9218PQ40 |
解像度 | 96KHz/24bit |
再生周波数特性 | 5~40,000Hz |
SNR | 111dB |
対応インピーダンス | 120Ω |
Chat Mix |
同梱物
- DAC本体
- USB-C to A ケーブル
購入先
Amazonや公式サイト、量販店で購入可能です。
デザイン
左がディスプレイで、右のやたらとでかいダイヤルで操作します。でかいんで手元を見ないでもゴリゴリ回してボリューム調整できます。無限に回転するタイプでノッチ感はなし。スムーズに回ります。
背面にある端子はUSB-C入力が2つ、Line In/Out。Lineにはスマホなどの音声を入出力できます。
左側面に3.5mm端子があり、ここからヘッドホンやイヤホンへと接続します。横から見ると分かりやすいですが、傾斜がついていてそのまま置いても見やすいし操作しやすいという設計。
底面にはぐるっと一周するように滑り止めバー。
性能
ここからはGameDAC Gen 2の性能について見ていきます。
分離感と定位が高まる音質
96KHz/24-Bitのハイレゾ認定。
LoLとValorantやったんですが、DACを通すと高音域が聞こえやすくなって音の分離感が強まった気がします。細かな音が埋もれずに聞こえるようになったっていうか。
LoLやってるとスキルショットの音とか雪玉で飛ぶ音とかガチャガチャバトルになると全体的に埋もれがちになってよく分からん音の塊…って感じになるんですが、それらを判別できるようになりました。これSpatial Audioも組み合わせるとなかなかの没入感になります。
ValorantはDACに繋げるとより方向が分かるようになったと思います。平べったい音が立体的になるというか、音に厚みが増すというか。
音の好みは人それぞれですし、感じ方も違いますから難しいですけどね、私は使った時の方が音質は良くなると思いましたし何より好きです。
2つの機器を常時接続可能
USB-Cポートが2つあるため、PCとPS5、SwitchとPS5などのように2つの機器をDACに常時接続しておけます。
これらは同時に聴くことは叶いません。単純にボタン1つで切り替えられるセレクターみたいなものですね。ケーブルをさしなおさなくて良くなるので手間が省けて幸せになります。
後はこのUSB間をもっと簡単に切り替えられたら良かったのにな。現状は長押ししてメニューに入り、USB INPUTを押してからUSB切り替えを選択しますから3手間必要なんです。
Chat Mix対応
Sonarを起動しておくとChat Mix機能が利用できます。SonarというのはSteelSeriesのPC用ソフトウェアの一部である音声アプリです。
SteelSeries Nova 7 Wirelessの場合は本体にChat Mixダイヤルがついていますが、それがついていないヘッドセットを使う場合は助かるかもしれません。Sonar起動必須だと思われますのでPCユーザー以外は恩恵がなさそうです。
スマホの音を3.5mmで入出力
3.5mmのLINE IN・LINE OUTを活用するとスマホの音をDACに混ぜることができます。
スマホで流している音楽を聞いたり、Discordなどで通話ができたりしますが、ケーブルをいくつか用意する必要があります。
ライトニングから3.5mmへ変換し、そこから4極ケーブルを延長し、分岐ケーブルに入れてLINE INとOUTにさしていきます。最初はTRRS-デュアルTRSで1本で済まないかなと思って探したんですが見つかりませんでした。
LINE OUTにマイクを入れて、LINE INにオーディオを入力することを覚えておきましょう。普段からスマホで通話している人にはありがたい機能です。
もしマイクが認識しない!ってなった場合、正しいケーブルを使っているか確認してください。プラグのところに黒い絶縁バンドが何本か入ってると思いますが、ざっくり言うとこの黒バンドが2本だと3極、3本だと4極になります。4極じゃないとマイク信号が送れません。
イコライザー機能搭載
メニューに入っていくとDACで独自のイコライザー設定ができます。
- フラット: デフォルト設定
- ベースブースト: 重低音強め
- フォーカス: 中高域上げて低音下げ
- スマイリー: ドンシャリ
それと自分でカスタムできるCUSTOM EQ。
全部で周波数帯域が10段階に分かれています。1つごとに-10~+10まで調整幅があり、ダイヤルを使って調整していきます。
これは全てのプロファイルに設定されるので、Sonarの時のようにゲームや音楽でイコライザーを分けることはできません。全部同じ音になります。カスタムEQセットが3つくらいあったらゲームによって分けられたんですけどね。
ちなみにですが、PCでSonarを起動しているとそちらに設定が引っ張られるのでDACのイコライザー設定は無効化されます。
有線だとマイク音質が向上
DACのおかげかと思ったんですけど、有線接続しても同等の音質向上があったのでワイヤレスマイクは帯域が絞られているのかなと思います。ただスルーで有線接続よりもDAC経由の方が電子ノイズが少なくなります。
ではNova 7 Wirelessでワイヤレス接続した状態と、DACで有線接続した状態の音質を比較してみます。まずはワイヤレス接続をチェック。
次にDAC経由で有線接続。圧倒的に音質が向上していることがわかります。
DACを経由せずに有線接続。これもワイヤレスと比べると音質が良くなります。
SonarのAIノイキャンを組み合わせるとやかましかったノイズが全部切れて非常にクリアに聞こえます。
いずれも歯擦音がけっこう刺さりますね。これはマイク特性の問題かな。
マイクミュート可能
メニューに入ってマイクミュート機能をオンにすると、ホーム画面で戻るボタンを押すことでマイクミュートのオフオンが可能になります。
ヘッドセットにマイクミュート機能がないとか、わざわざヘッドセットの見えない部分を手で探って押し込むのが面倒…といった時に手元で1発ミュートできるのは魅力的です。
傷つきやすいディスプレイ
これは色んなところでも言及されていることですが、画面が傷つきやすいです。何なら箱から新品で出した時点で小さな擦り傷みたいなのが点在してました。
そのうちボロボロになりそうな気もするけど…Gen 1でも言われていたらしいので改善して欲しかったポイントですね。
ケーブル挿入口が狭い
私が持っているfumo TRUTHでは太さがありすぎて奥まではいけてなさそうです。ただし音は普通に聞こえるのでギリギリ問題ないかと思います。もうちょっと差込口を広くしておいて欲しかった。
まとめ
- 高まる分離感と高音域
- マイク音質向上
- USBで機器を2つ接続
- スマホの音声を入出力可能
- イコライザー設定あり
- マイクミュート機能
- 斜めで見やすい大画面
- 直感的に回せる巨大ダイヤル
- 傷つきやすいディスプレイ
- USBは1発で切り替えたかった
- Sonarを使うとイコライザー無効化
- ケーブル挿入口がやや狭い
以上「SteelSeries GameDAC Gen 2」のレビューでした。
不満点がないわけではないですが、これ手元に置いておけば音質良いままPCとPS5切り替えられるんで正直最高だと思ってます。少し遠くに置いたとてボリュームダイヤルがでかすぎるんで普通に操作性良いです。
音質や定位感の向上が見込まれますし、細やかな音が聞き取れるようになってとても良い。スマホでの通話を混ぜられるのも普段スマホで通話してる人からするとめちゃ良い機能ですよね。
今まではヘッドセットと一緒に買うしかなかったのですが単体販売開始されたことによってGameDAC Gen 2ユーザーが爆増しそうです。