SteelSeries Arctis Nova 7 Wireless レビュー
SteelSeriesから発売されているワイヤレスゲーミングヘッドセット「SteelSeries Arctis Nova 7 Wireless」をレビューしていきます。
概要
SteelSeries Arctis Nova 7 Wirelessは2.4GHz帯低遅延とBluetoothのデュアル接続に対応した密閉型ワイヤレスゲーミングヘッドセットです。
アルミパーツもあり全体的な重量はちょっと重めですが、ヘアバンドやイヤークッションで荷重を分散させており着け心地は良好です。サイズ感も大きめで良し。
重低音がやや効いたサウンドで、抜群の定位感で敵の足音を聞き分けます。Sonarソフトウェアと組み合わせるとさらにSpatial Audioによって没入感のあるゲームプレイが可能です。
取り替えできるサイドプレートとヘッドバンドで自分なりの色に変更できるのも魅力的。交換用パーツが軒並み小売されているのもSteelSeriesの強みで、長い間使っていけるヘッドセットとなっています。
スペック
カラー | 黒 |
接続 | 2.4GHz / Bluetooth |
オーディオ | ステレオ |
タイプ | 密閉型 |
重さ | 330g |
スピーカー周波数特性 | 20Hz – 22kHz |
スピーカーサイズ | 40mm |
感度 | 93dB/SPL |
インピーダンス | 36Ω |
マイク | 格納式マイク |
指向性 | 双方向 |
マイクノイズキャンセリング | |
バッテリー | 38時間/26時間(デュアル接続) |
ライティング | |
接続端子 | 3.5mm/USB-C |
同梱物
- ヘッドセット
- USB-Cドングル
- 3.5mmオーディオケーブル
- USB-C to Aケーブル
- USB-C to A延長ケーブル
おまけっぽい感じでマイクラのキャラクターみたいなのが作れる厚紙が付属。
各エディションについて
Arctis Nova 7 Wirelessには全部で3つのエディションが存在し、それぞれの違いは以下の通りとなります。
モデル | Nova 7 | Nova 7P | Nova 7X |
---|---|---|---|
コンソール | PC / PS / Switch / スマホ | PC / PS / Switch / スマホ | PC / PS / Xbox / Switch / スマホ |
ダイヤル | Chat Mix | Sidetone | Chat Mix |
バンド | 黒 | 青 | 緑 |
Xboxを使いたい場合は7Xを購入する必要があるようです。PSバージョンはChat Mix機能が使えないためダイヤルがChat Mixからサイドトーンのものへ変更されています。
購入先
Amazonや公式サイト、量販店で購入できます。
デザイン
全体的に黒とグレーを基調にした落ち着いた見た目のヘッドセットで、マイクが格納可能なことも含めてゲーミング感は少なくなっています。
アルミヘッドバンドやイヤープレートなどそれなりに高級感のあるビジュアルで、持った感じも密度が高くどっしりとしています。
約324gは重めと言えますが、柔らかいインナーヘッドバンドが伸縮して頭頂部への負荷を分散させるため使い心地は良いです。ただし長時間の使用はやや疲れるかも。
インナーヘッドバンドは取り外し可能で、丸い突起物にはめこんで使うタイプなので長さの調整がある程度可能です。汚くなったら外して洗っちゃえば良いと思います。
気に入ってるのはヒンジ部分。ここはプラスチックで出来ていますが、長さ調整がとてもしやすいのが特徴です。押し引きすると強めの粘り気を感じ、ノッチ感はありませんが好きな位置で自在に固定可能です。
サイズ感はゆったりで、頭が大きくても全く問題なく使えるはずです。最大まで長さを伸ばさないでも十分ゆったりフィットで心地よく遊べるでしょう。側圧はややゆるめですがヘッドセットが吹っ飛んでいくほど緩くはなく、眼鏡をかけた方にも優しい設計です。
ハウジングは90度横向きになるためイヤーパッド側を下に向けて首かけできますが、絞められているかのように感じるくらい圧迫感があるので私はまず使わないです。首が細い人なら問題ないかもしれません。
電源がオンの状態でこのようにして置くとLEDの点滅が非常に鬱陶しいため、もはや90度回転せずに普通に置いてます。
イヤーパッド
イヤーパッドは通気性の良いファブリック素材が採用されています。レザー系と比べて蒸れにくく肌触りが良いですが音は逃げやすい…といった特徴があります。
Nova Proではレザーが使われているようですが、Nova 7ではコストカットのためか、もしくはユーザーの意見を取り入れたのかファブリックになっています。私はファブリックの方が蒸れないので好きですし、海外レビュアーもファブリック推しが多かった印象です。
AirWeaveメモリーフォームクッションはとても柔らかい低反発ウレタンで、耳周りを優しく包み込みます。
イヤーパッドはNova Proのようにパカっと取り外しできるタイプではありませんが、縁に切れ込みがあり、そこにイヤーパッドを引っ掛けて回転させていくとぴっちりはまる…という神仕様になっています。これは全てのヘッドセットで採用すべき構造。
操作ボタン
左右のハウジングにボタンやダイヤルがひしめいていますが、使い始めると直感的で分かりやすく容易に役割を覚えられます。
- マイクミュートボタン
- 音量調整ダイヤル
マイクミュートボタンは押し込みで飛び出たり沈んだりして触っただけでも分かるようになっています。
音量調整ダイヤルはPCの音量ではなくヘッドセット独自のボリューム調整です。初期段階ではボリュームリミットがオンになっているため、音量がどうしても小さいと感じたらソフトで設定を確認しましょう。
- Bluetoothペアリング
- 電源
- ChatMixダイヤル
Bluetoothボタンと電源ボタンは1秒長押しで電源オンオフ。Bluetoothは長押し4秒でペアリング。
それぞれLEDがあって点滅します。これら2つの電源ボタンは音楽再生などのメディアコントロールボタンも兼ねています。
ChatMixダイヤルとはゲームとチャットの音量バランスを変更できるダイヤルのこと。通話などが聞き取りにくい場合は調整できます。
ケーブルと端子
付属してくるケーブルは3本です。
- USB-C to Aケーブル
- 3.5mmケーブル
- USB-C(♀) to Aケーブル
端子は右側ハウジングにあります。
USB-Cは充電のみで有線接続機能はありません。有線で接続するなら3.5mmケーブルで繋げる必要があります。3.5mm端子は左ハウジングにあります。
ブースターパック
別売りで色違いのイヤープレートとインナーヘッドバンドセットが4種類あります。
最初どれも全部一緒の箱で焦ったんですが、箱の底に小さくカラーが書いてありました。店頭で購入する際はよく見ておきましょう。
- チェリーレッド
- ローズクォーツ
- ミント
- ライラック
いずれもメタリックな質感で、Nova 7標準のマット系の黒色プレートとは毛色が違います。個人的にはデフォルトのマットもかなり好きですが、赤やミントなど取り付けると差し色が入ってカスタム感が出て良いです。
マグネットでくっつくタイプなので、積み上げたら気持ち良い感じになりました。
インナーヘッドバンドは片側が黒色ですがもう片側の色が変わってます。柔らかさは同じです。
値段は1セットあたり5,000円弱と安くはありませんが、カスタマイズ用兼予備としては1つ買っておくのは手だと思います。
性能
本製品の性能について紹介していきます。
デュアル接続対応
本製品の大きな特徴の1つは2.4GHz低遅延無線とBluetoothの同時接続に対応していることです。これによってパソコンでゲームしながらスマホで通話、PS5やSwitchでゲームしながらパソコンで通話…といったことが可能になります。
Bluetoothは5.0なのでゲームするには遅延が気になるかと思います。やはり2.4GHzがゲームで、Bluetoothはそれ以外の用途ってところ。
私の場合パソコンで全部完結してしまうことがほとんどですが、たまにゲーム試合の合間にスマホいじってて見たい動画とかあると音が聞きやすくて助かります。それまでは無音で見るとかわざわざヘッドセット外してたので。
2.4GHzは専用のUSBドングルで接続し、Bluetoothはそのままペアリングを行います。このドングルがやたらでかいことと、USB-Cというのは注意点ですね。ちなみにPS5はBluetoothでの接続に対応していませんので常にUSBドングルを使う必要があります。
2つの機能は独立していて、2.4GHzのみ、Bluetoothのみでの使用も可能です。2.4GHzはタイマーでオフできますがBluetoothは消すの忘れたらつきっぱになります。
Chat Mix機能
Chat Mixダイヤルを回すとゲーム音とチャット音のバランスを調整できます。これを使うにはソフトウェアで各音声が正しい場所から流れるようにルーティングする必要があります。
Windowsのシステム音声はSonarのGamingから。Discord(または通話アプリ)はSonarのChatを選択します。この状態でChat Mixダイヤルを回すと2者間の音量バランスを調整できるというわけです。
PC(2.4GHz)+スマホ(Bluetooth)のデュアル接続で試してみましたが、Bluetooth側のボリュームは可変せず、PCの音量だけが上下します。BluetoothがSonarのルーティングに入ってこないからですね。これはこれで多少のバランス調整にはなりますが、基本的に大元で音量変えるのが良さそうですね。
PS5はChat Mix機能を利用できなくて、PS5側で設定を行う必要があります。
サウンド
40mmのドライバーが鳴らす低音がやや効いた迫力あるサウンド。少し高音が刺さるかな?この辺はイコライザー使えばいいんですが、箱から出して何も設定変えずに使いたい場合やコンソールユーザーはそんな感じです。
DAC経由の有線には敵いませんが、値段相応でワイヤレスとしてはそれなりに良いと思います。ゲームをプレイする上で満足できる音質でしょう。
定位感は良く、敵の位置や方向がしっかり分かりました。足音の聞き分けはしやすく、EQ設定すればさらに分かりやすくできます。また、360 Spatial Audioを使うことで位置の特定がさらにしやすくなります。
360 Spatial Audio
360 Spatial Audioは音を立体的にする機能で、Sonarというソフトに備わっています。距離などのスライダーをいじれるのに加えて、左のスピーカーマークをドラッグすることで音の出どころをカスタマイズできます。
空間が広がった感覚があり、LoLをプレイした時はなかなか臨場感があって驚きました。Valorantでは距離や音量を調整したら定位が抜群に良くなったように感じました。距離感がはっきり分かって、どっちの方向…ではなくそこの曲がり角すぐ…といった具体的な索敵ができます。普段はステレオ派でしたがSpatial Audioアリかも。
パフォーマンスと没入感のスライダーがあり、パフォーマンスの方が確かに音の方向が分かりやすく、没入感に振り切るとやや方向が大味になりました。
Parametric EQ
周波数帯域ごとに細かく正確な調整ができるパラメトリックイコライザー。ソフト上での設定を見ると、単純に周波数ごとにスライダーがあるものに比べると格段に見やすいビジュアルで直感的な調整ができます。
こういったイコライザーは慣れ親しんでいない人からすると一見して難易度が高すぎるため敬遠されがちですが、特筆すべきは各ゲームに用意されたEQプロファイルです。これを選択することで簡単にそのゲーム向けの特性に切り替わるので、よく分からんって人でもお試しできます。
AIノイキャン搭載マイク
マイクはAIノイズキャンセリングを搭載した格納式マイクです。使わない時はヘッドセットの中に収納しておけるので取り外しタイプと違ってなくす心配がありません。
自分他の取り外し式ヘッドセットで何本かなくしてるんですよね…。このマイクは結構ブームも長くてしっかり口元まで届くのも良いところ。最初は音量小さいかもと思ったんですが、Sonarを通したらちょっとブーストされて心配なくなりました。
音質はワイヤレスヘッドセットの微妙な感じで、通話には問題ない音質ですが、配信や動画収録にはおすすめしません。スペクトル周波数を見てみたら高域がゴッソリカットされていました。ポップガードは内蔵されているのか分かりませんが、稀にふかれて破裂音がのることがありました。
音質については上記を再生して聞いてみてください。イヤホンかヘッドホン推奨です。
次に有線接続した時のマイク音質です。
有線接続すると明らかに音質が向上するので、マイクというよりはワイヤレス接続時にマイクの帯域を絞っているって言った方が正しいのかな?
SonarのマイクタブでCLEARCAST AI NOISE CANCELLATIONをオンにするとAIによるノイズ除去が入ります。優秀なノイキャンですが、ロボット声のように自分の声が変調してしまう可能性があることだけ注意。そのため、これも通話には良いですが配信や動画収録にはおすすめしません。
スライダーが真ん中あたりだとキーボードやマウスの音は抑えられているもののやや拾います。
これが最大に振り切れるとほぼ聞こえなくなりましたが、その分ロボット声になる確率が高まります。中くらいで使っているのが良さそうです。
正直RTX VOICEがあればそっちの方がいいかなとは思いますが、Sonarをそのまま使おうと思ってる人やNvidiaのグラフィックボードを持っていない人にとっては嬉しい機能。
マイクミュートすると赤色に点灯するため、視界の端でとらえることができます。そのままゲームしようとすると若干鬱陶しいため、しばらく使わないなら格納した方が良いです。もしくはソフトでランプの明るさを変更または完全にオフできます。
ちなみに格納してもマイクは生きたままですのでミュートを忘れずに。サイドトーン機能があって自分の声を耳に返せるため、これをオンにしていればマイクオンになってたの忘れてた…って事故は減ると思います。サイドトーンの音量はソフトで調整でき、必要なければオフにもできます。
バッテリーと充電時間
バッテリーは最大連続使用が38時間となっています。これは2.4GHz接続のみの話で、Bluetoothも同時接続する場合26時間となります。
残量はヘッドセットの電源ボタンにあるLEDが対応する色に点滅する他、ソフトウェアでも%でみることができます。しかしこれは25%刻みになっているため大味な数字でしか分かりません。
急速充電に対応しているらしいですが、私が計測した範疇では2.5Wが確認できた最大値でした。スペック上は15分の充電で6時間使用可能となっているため、超ザックリ言うと95分で充電マックスの予定。
ソフトウェア
- イコライザー
- マイク音量
- マイク・サイドトーン音量
- 音量リミッター(オフ推奨)
- 電源オフまでの時間
- Bluetooth起動設定
- Bluetoothコール設定
- マイク消音時のLED設定
音質的な部分にかかわる設定は全てSonarで行います。
Sonar
それぞれの音量バランスを調整できる他、これまでに説明したパラメトリックEQやSpatial Audio、マイクのAIノイキャンなどはここで設定を行います。
ゲーミングやチャットなどスロットが分かれており、ここにそれぞれ音声出力を割り当てることでChat Mix機能を使ったりイコライザー設定を分けたりできます。
Sonarはインストールするとサウンドデバイスリストに5つほど追加されてしまうため、音声デバイスを切り替える時に面倒なことになりますが、これはもう仕方ない。
レビューまとめ
- 2.4GHz/Bluetoothデュアル接続対応
- ゲーム向けの迫力あるサウンド
- 定位感は良い
- スタイリッシュな見た目
- 大きめサイズで着け心地良し
- 簡単に交換できるインナーヘッドバンド
- イヤーパッドも付け替えが簡単
- ファブリックイヤーパッドで通気性良し
- 操作性は直感的でわかりやすい
- ブースターパックで付け替え可能
- SonarでEQやSpatial Audio対応
- やや重め
- 首掛けは圧迫感あり
- マイクは微妙、AIノイキャンも普通
- Sonarはシステムに入り込んで邪魔っぽい
- Bluetooth5.0
以上「SteelSeries Nova 7 Wireless」のレビューでした。
デュアル接続機能めちゃ便利ですし、PCで使うならSonarのEQやSpatial Soundでカスタマイズ幅も広いです。見た目も良く、マイクは微妙だと思いますが、ゲームする上では音質的にも満足できるヘッドセットだと思います。