Elecom VK600A レビュー
Elecomから発売予定の磁気検知式スイッチを搭載したゲーミングキーボードVK600Aが10月18日に発売されます。
本製品を今回は先行レビューさせていただいたのでそのデザインや性能について詳しく見ていきます。
本製品はレビューサンプルをご提供いただきました
動画で見てみる
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概要とスペック
Elecomが本気でゲーミングデバイス業界に切り込むV Customシリーズに新しい仲間が登場。ラピトリ戦国時代と世間を騒がせているキーリリース検知のラピッドトリガー機能を持つゲーミングキーボードであるElecom VK600Aです。
Realforceに続きエレコムもガチなキーボード出してくれました。WootingやDrunkDeerのような海外通販のみは中々難しいなと足踏みしていた方でも気軽に買えますね。
スペック
カラー | 黒・白 |
接続 | 有線(USB-C) |
フォームファクター | 65% |
寸法 | 322.4 x 124.7 x 36.2mm |
重さ | 662g |
配列 | JP |
トッププレート | アルミニウム |
ケース素材 | プラスチック |
キースイッチ | RAESHA磁気検知式 |
キーキャップ | ダブルインジェクションPBT |
フォーム | 中間と底に2層 / シリコン |
ケーブル | パラコード 2.0m |
ライティング | |
ソフトウェア |
同梱物
先行提供品なので同梱物はキーボードとケーブルのみでした。
製品ページを見るとキーキャッププラー、予備のキーキャップがいくつか、そしてステッカーが付属するようです。
購入先
エレコムダイレクトで予約可能です。現在売り切れてしまいましたので、2次ロットを座して待て!!!
デザイン
サイズは322.4×124.7×36.2mmで、フォームファクターは65%。
60%に矢印キーやDELキーなど使用頻度の高いキーが少し足されたサイズで、普段使いとゲーム向けのややゲームよりっていう大きさ。
そして日本語配列。久しぶりに英語配列じゃないキーボード触りましたが、エンターがでかい。そして右シフトが小さすぎて結構誤爆します。65%と日本語配列が組み合わさった時にココだけ辛い。
キーキャップは交換可能ですが、大体売られてるサードパーティ製ってUS配列が多いじゃないですか。スペースバーが合わないんですよ…ここだけ悲しい部分です。私の持ってるGMK全滅でした。
ケーブルはパラコードの2mタイプ。1.5mだとツンツンになる環境けっこう多いと思うんで、2mあるのは嬉しいですね。
ベゼルは細かいエンボス加工のようなものが施されていて、触り心地はザラザラと独特です。
トップ側にはキャプスロックなどのLEDインジケーター。
底面には滑り止めゴム。後方側にはチルトスタンドがあって、1段階ですが角度を変えることができます。
なんとなく測ってみましたが、すでに傾斜している角度からさらに+8.5度くらいの変化がつきます。ちょっと傾斜急な気がするので、もう1段階調整できたらよかったかも。
後ろ側にはUSB-C端子があって、ここにパソコンからのケーブルを繋ぎます。
反対側にはUSB-A端子。このUSBポートは3.0ではなく電波干渉を防ぐためあえて2.0となっていて、マウスのレシーバーをさすのにぴったりです。
ちなみにキーボードのポーリングレートは1,000hzですが、このポートは8,000hzでも使用可能です。Razer DeathAdder V3の有線を接続して8Kポーリングレートで見てみましたが問題なく動きそうでした。
パソコン直つなぎに比べてクリック応答速度もほとんど変わらなかったので気にせず使って良さそうです。
このポートの影響か、1番上のベゼルがやや広くとられてるんですが、個人的にはキーボードで邪魔になるのって横方向の長さだと思ってるのであんまり気になりません。
キーキャップ
キーキャップはかな文字のないネオクラッチキーキャップ。触り心地はサラサラとしていて、ダブルインジェクションPBTなので摩耗による劣化も少ないです。
光らないのかなと思ったらしっかり透過していて光るタイプでした。
文字は部分的に切れ込みが入っていたゴシック体で、ゲーミングって感じかも。
ちょっとだけ奥側が高くてそこから手前にくだっているというか、指の形に縁取られているのがユニーク。列によって形状に変化が加えられているようで、縁取りの形も微妙に違いました。けっこう考えられてますね。
キースイッチ
スイッチはボックスタイプのステムで、RAESHA製。DrunkDeerが採用しているのと同じようです。軸はシルバーっぽい色をしていて、LEDは北向き、ピンがありません。
スタートの押下圧は30g、底で60g、赤軸より初動が軽いのが特徴です。リニアでスッと降りていき、軸ブレは少なめ。Wootingが採用しているGateron式よりもブレに関しては優秀です。
スイッチオープナーを使って分解していきます。MXとかGateronとかと互換性はないKailhのボックスタイプです。
左からボトムハウジング、スプリング、ステム、トップハウジング。スプリングはwootingみたいに太いやつじゃなくて細いタイプです。
ルブは一応されているみたいですが、支柱部分しかされていないようなので、ステムが擦れる部分も塗ってあげるとより良くなると思いますが、何もしなくても擦れ感は少なめで打鍵感は良いです。
軸 | RAESHA |
---|---|
クリック感 | なし |
アクチュエーションポイント | 0.1 – 3.8mm |
押下圧 | 30g – 60g |
キーストローク | 4.0mm |
- アクチュエーションポイント:キーを押した時にどのポイントで信号が送られるかの接点
- 押下圧:キーを押すのに必要な力
- キーストローク:キーを押した時に沈む距離
スタビライザー
スタビライザーはスペース、左シフト、エンターの3箇所。プレートマウントタイプ。
このうち左シフトとエンターは簡単に外れましたが、スペースは中間フォームが邪魔をして外せませんでした。プレートと基板を分離できればいけそうですが、結構がっちりめにくっついてたので壊すのが怖くてやめました。
ワイヤーは軽くルブされていますが、お気持ち程度。
スペースバーに関してはルブするなら隙間から塗るしかないと思ったんですが、効果は薄めというか、ややブレと音がうるさいのが心残りです。
2つの外れたスタビライザーに関してはルブを塗りたくって絆創膏によるHolee modを行ったのでかなりトコトコ感は出てきました。
打鍵感について
反響音は抑えられていて、強く叩いてもあまり嫌な音はしません。自分でルブしなおしていない状態でも打鍵感けっこう良くて、特に軸ブレがWootingのGateronスイッチに比べて少ないし、擦れも感じにくいです。
リニアなのでスッとまっすぐ抵抗なく下に降りていくのと、押下圧はやや軽めなので軽やかなキータッチでタイピングできます。
打鍵感にはこだわった…と聞いていますが、他のラピトリキーボードと比較しても箱から出した状態の打鍵感は良いです。カスタマイズとかめんどくせぇ!って方におすすめしたい。
ライティング
EG Toolにてライティングを変更可能。
求めすぎかもしれませんが、ベースカラーと打鍵時の反応カラーを別々にして組み合わせられるようになると可能性が無限大に広がるのでぜひとも検討してもらいたいところ。
VK600Aの性能・機能
本キーボードの最大の注目ポイント、それはキーをオンする感度を可変できること。
LEDモードはキーの入力検知に反応して色が変わる「アクチュエーションに連動」モードが分かりやすいのでそれで見ていきます。押し込み始めると赤ですが、入力が検知されると緑になります。
ソフトではキーオン感度とキーオフ感度の2つを0.1mm単位で設定可能で、最小単位は0.1mmで最大単位は3.8mmです。
キーオン感度
この辺は動画じゃないと挙動がわかりにくいので、わかんねぇな…?と思ったらぜひ本記事冒頭にリンクしている動画を見て下さい!
まずはキーオン感度について実際に見ていきます。
ソフトで最大感度の3.8mmに設定したものを押し込むとこのようになります。底打ちまで押し込んでようやく検知します。
次に設定を0.1mmに変更しましたが、赤くなる瞬間はなく一瞬で検知されます。
キーオフ最大感度
もう1つの目玉はキーオフ感度の調整、いわゆる巷でラピッドトリガーとよばれるものです。
これはキーを離してから何mm戻ると入力がリセットされるかのこと。0.1mmに設定するとキーを話し始めてすぐに検知がオフになります。
逆に2.0mmにするとキーを戻し始めてもしばらく入力されたままです。これは底打ちしなくても、途中でキーを戻してもリセットされますので、追従式と言えます。
タクティカルFPSではストッピングという体を止める動作が必須とされるタクティカルFPS系ではリリースが速くなれば速くなるほど有利に働きます。
誤作動防止について
他のブランドにはない機能として、誤作動防止機能というものがあります。
これをソフトウェアでオンにすると、0.0-0.2mmでオンにならないように、そして3.6-4.0mmでオフにならないようにします。
こうすると0.1mmみたいに接点検知をめちゃくちゃ浅くしても誤爆が少なくなるし、底打ち状態で押し込み続けた時にキーオフになって入力キレちゃうなんてことがなくなる…ということですね。
その代わり、キーオンを0.1mmにしてても誤作動防止がオンなら実質0.3mmからしか反応しません。また、キーオフを0.1mmにしてても底打ち4.0mmからは0.4mm以上戻らないとリリースになりません。
その辺の設定による違いが生まれるので注意です。
マイクロメーターで雑検証
VK600Aでの挙動をもう少しわかりやすく視覚的に表現できないかなと思って、雑ではありますがマイクロメーターを机にクランプしてキーの押下距離を測ってみました。
設定はキーオン感度が1.0mmで、キーオフ感度が0.1mmです。雑なセットアップなので細かい数値はあまり気にしないで下さい。
右上のオンオフ、時系列は上からです。最初は1.072mmでオンになり、そこから0.056mm戻すとオフ。さらに2.078mmまで押し込むとオンになり、0.114mm戻るとオフになりました。
これやってて初めて気づいたんですが、キーオン感度ってアクチュエーションポイントが移動してますね。つまり、1.0mm押し込んだ後で0.1mm戻ってオフにするとするじゃないですか。そうすると、そこからさらに1.0mm押し込まないとキーがオンになりません。つまりトータルでは1.9mm押し込む必要が出てくるわけです。
キーオン感度というよりもアクチュエーションポイントは絶対値の方が使いやすいと思うんですが、色々と難しい問題があるとかないとか。じゃあこれが実際にFPSで顕著に違いがでるかというと、私くらいのカジュアルゲーマーではそこまで気にする必要なさそうでした。
底打ちせずにめちゃくちゃ小刻みに動いた場合、たまに動かない瞬間が発生するくらいかな。Osu!プレイヤーには問題かもしれません。
感度はキーごとに設定可能
これらの感度設定はキーごとにも設定できます。移動キーだけ浅く、ウルトキーなどは誤爆を防ぐためにもう少し深めの感度設定にしておくことが可能です。
ここではGの感度を1.0mm、そしてHのみ3.0mmと設定してみました。
同時に押し込んでみると明らかにGの方が早く反応してますね。
ラピトリに関しては基本0.1mmでいいんじゃないかと思いますが、これも設定可能ですのでお好みで。
2ndアクション機能
キーを浅く押した時と底打ちの時で異なるキー設定が可能です。これは2ndアクション機能と名付けられています。
例えば押し始めでW、底打ちするとSHIFT+Wにすれば、浅く押せば歩き、底打ちしたら走りみたいに変化させる使い方が可能です。が、ちょっと試してみた結果ですが、キーオン感度が追従するとキーを底打ちした後一旦全戻ししないと接点が追従して反応しなくなるため、ずっと押し続けることが前提となる移動キーとはあまり相性が良いとは言えませんでした。
スキル系がやたらあるゲームで浅い時と深い時で別々のスキルを設定すれば1キーにつき2つのスキルが使えるようになるかも。若干クセのある機能ですので、慣れたり面白い使い道を見つけられれば活用できると思います。
キーバインドの設定
キーバインドも個別に変えられるんですが、Fnレイヤーが変更できないのだけ、今後ソフトでアップデートしてくれないかなと思ってます。ゲームモードのオフ・オンとか、表じゃなくて裏に入れておきたいんですよね。
分解してみた
色々見たいので中を分解してみました。分解すると保証が無効になるのでやるなら自己責任です!
これがキーキャップをすべて外したところ。
これがキースイッチと外せるスタビライザーをすべて外したところ。
底から見ていくと、1番下には消音フォームが1枚で、これはシリコン製でした。
基板の裏は割とシンプルで、はんだ付けやソケットがないことが分かります。
中間フォームも底のやつと同じようなシリコン素材です。がっしり固まってます。消音フォームに関しては中間層と底の2枚体制ですね。
トッププレートは白色のアルミ製。
価格について
価格は定価22,980円で、2023年10月18日発売。
2023年9月19日~2023年10月12日まで予約可能で先行予約すると3,000円引きの19,980円でゲットできましたが、即日売り切れとなりました。
購入後30日間返品キャンペーンも合わせて実施されるため、お試しで合わなかったという場合も返品できるので気軽に購入可能だったのも決め手でしょう。
値段は良心的で安いと思いますし、このキャンペーン、かなりおすすめできたのですが、売り切れなんじゃあな…というところ。
初期ロット販売まで再販はないので、ぜひ2次ロットでの購入をご検討ください。
レビューまとめ
- 日本発の磁気スイッチキーボード
- 質感とデザインは良い
- 使いやすいゲーム向け65%サイズ
- 日本語配列
- USBポートあり
- ダブルインジェクションPBTキーキャップ
- 軸ブレの少ないRAESHAスイッチ
- スタビライザーのワイヤー曲がりはなし
- 打鍵感は箱から出した状態でもそれなり
- キー感度の誤作動防止機能
- キー個別に感度設定可能
- 2ndアクション機能搭載
- 価格はリーズナブルだと思う
- Fnレイヤーが編集できない
- 配列的にキャップ交換がしにくい
- キーON感度が絶対値にならない
- ソフトの機能はさらに増やしてほしい
- チルトスタンドはもう1段階調整したい
- スペースのスタビライザーが取り外せない
以上「Elecom VK600A」のレビューでした。
日本発だからマジ応援してます。ただ色眼鏡抜きにしてもかなりクオリティの高いキーボードだと思います。
一方で、キーオン感度が追従すると、底打ちせずに浅くキーを押すのがうまく行かない可能性があります。私はOsu!下手なのであれですが、Osu!プレイヤーではアクチュエーションポイントをめちゃくちゃ浅くする人もいるとか。
値段も22,980円と、これだけの機能を持つキーボードとしては安いと言えるでしょう。先行予約なら3,000円引きの19,980円なので今すぐ買うしかない!!
と言いつつすでに初日で生産予定数が売り切れてしまいました。予想以上の人気ぶりのようで、みんなの期待値の高さが伺えます。ぜひ2次ロットでの購入を検討してください!