
SYNTECH Chronos 68 レビュー

SYNTECHから発売している磁気スイッチキーボード Chronos 68 をレビューします。
まず名前がかっこいいな、クロノスですよ。時間の神様。響きがスタリッシュだし。クロノトリガーリメイク出ないかなとかふと思っちゃった。
タップできるもくじ
概要とスペック
スペック
基本仕様
カラー | Black, White, Yellow |
配列 | ANSI |
フォームファクター | 65% |
接点方式 | 磁気 |
寸法 | 310 x 107 x 28 mm |
重さ | 871 g |
ケース | アルミニウム |
トッププレート | アルミニウム |
マウント方法 | |
端子 | USB-C |
端子位置 | 中央やや左 |
キーキャップ・スイッチ
キャップ材質 | PBTダブルショット |
厚み | mm |
キースイッチ | Outemu Sealed / Gateron Jade Pro |
イニシャル押下圧 | 30±5gf / 36±5gf |
エンド押下圧 | 55±10gf / 50±10gf |
ストローク | 3.5mm |
性能
ポーリングレート | 8000Hz |
アクチュエーションポイント | 0.1 – 3.5mm |
ラピッドトリガー | 0.01mm |
精度 | 0.01mm |
ソフトウェア | インストールタイプ |
Mod Tap | |
DKS | |
Toggle Key | |
Snap Tap | |
プロファイル切替 |
購入先
価格に関しては記事投稿時点のものになります。
カラーバリエーションは3種類。中でもYellowはキーキャップの一部が黄色にペイントされているだけで、基本的には白ベースです。
同梱物
- キーボード
- リストレスト
- USB-Cケーブル
- キープラー
- クリーニングブラシ
- 予備のスイッチ x 4
- クイックガイド
デザイン

今回レビューするのはWhiteカラー。68キーをもつ65%フォームファクターのコンパクトサイズキーボードで、60%に比べてdelキーや矢印キーがあるのが特徴です。

WhiteとYellowはスペースバーやエンターキー、そしてESCキーにデザインが施されています。一方でBlackに関してはそういった装飾を控えた至ってノーマルな見た目です。キーキャップの話ですけどね。

右上に3つのLEDインジケーターがあります。基本はシンプルでミニマル。ベゼルの細さと印字が透過するキーキャップが相まって、どこか懐かしさを感じさせる少しオールドスクールな風合いです。

このタイプのケースはプラスチック素材だとチープに感じてしまうことが多いので、フルアルミニウムなら質感が担保されるかな?と思っていたのですが、コーティングがイマイチというか、ただペイントされたかのように感じてしまいました。

USB-C端子は左側に位置しており、コイルケーブルなども使いやすい構造。

しかし、口がかなり狭いのでケーブルを流用すると入らない可能性が高いです。付属のケーブルの使用がおすすめ。

トッププレートはケースと同じくアルミニウム製。PCBとの間にポロンフォームが挟まれていて、さらにPCBの下にはPETフィルム、ボトムケースとの間にもポロンフォームやPVCが敷かれています。
これが功を奏してか、打鍵感・打鍵音ともに結構良いです。

ただこのキーボード、若干気になったのはケースの両サイドが少し反り返っているっぽいんですよね。上の写真、右側のボトムが机から離れていて、キーキャップの下の平行線が斜めになっているように見えますね。なんか若干不格好。頑張れSyntech、君はもっとできるハズだ!
キーキャップ

PBTダブルショットで、表面はさらっとした手触りです。プロファイルはやや薄型のCherryタイプ。

印字が透過されているタイプです。裏面はノーマルなCherry MX5互換。

フォントは特徴がないけどクセが少なくて読みやすいサンセリフタイプかな。

65%キーボードはスペースバー右のALT, FN, CTRLあたりが小さい1Uサイズとなっています。矢印キーを詰め込むために小型化した工夫の形ですね。
キースイッチ
2種類から選ぶことができます。

まずOutemu Magnetic Sealed Switch。Outemuは以前使ったとき、打鍵音・打鍵感ともにホロウな反響音がして微妙だと感じましたが、このMagnetic Sealed Switchはだいぶ良くなっています。
もう1つがGateron Magnetic Jade Pro。打鍵音に定評のあるJadeですので、タイピングに拘りたいならこちらのスイッチを選ぶことを推奨します。ただし価格はやや高くなります。
軸色 | Gateron | Outemu |
---|---|---|
クリック感 | リニア | リニア |
キーストローク | 3.5±0.2mm | 3.5±0.1mm |
初期押下圧 | 36±5gf | 30±5gf |
最終押下圧 | 50±10gf | 55±10gf |
用語解説
- アクチュエーションポイント:キーを押した時にどのポイントで信号が送られるかの接点
- 押下圧:キーを押すのに必要な力
- キーストローク:キーを押した時に沈む距離


私のキーボードに搭載されているのはOutemuのSealedスイッチ。初期押下圧は30gfと軽いはずなのですが、エンドの押下圧は55gfとやや重く、確かに押し込んでみると反発力が強いと思いました。ボトムアウトに近づくにつれ急速に重くなります。やっぱりこのスイッチ、一筋縄ではいかないぜ。
指に多少の負荷をかけたい方というか、押し込んだ感が強めに欲しい人には向いているスイッチかもしれませんが、軽やかなタイピング感を求めているのであればやはりGateronにするべきかと。
ただ、少し前のOutemuとは違って軸ブレやホロウな反響音は減っていて改善されているのは確かです。
スタビライザー

プレートマウントタイプのスタビライザー。可もなく不可もなく。ルブがたっぷりしてあるので比較的トコトコした音です。若干塗りすぎてヌチャっていう音がするときもあるけど、個人的にはガチャガチャしてるよりは遥かに良い。
リストレストつき

無料でリストレストがついてくるのはポイント高め。
作りとしては薄くて粗めなスポンジが入っているだけで、押し込むとジョリジョリといったスポンジ感が感じられる、そのあたり微妙といえば微妙。ハッキリ言えば安物っぽいのですが、まぁ無料だしね。
普段リストレスト使っていない人にとっては良い入り口になるのではないでしょうか。
性能について
ラピッドトリガー
ラピッドトリガーは0.01mm単位で設定可能です。

ソフトウェアが分かりにくい・使いにくいのはとりあえず置いておいて、Outemuのキースイッチも0.01mm精度に耐えられるようになったのかとちょっと驚き。実際にどれくらい精度が高いのか、マイクロメーターを使ってざっくり測ってみました。あくまでざっくりね。
スイッチを押し込んだ状態でメモリをゼロにリセットし、そこから少しずつマイクロメーターを回してキーをゆっくり戻していきます。入力がオフになる瞬間までの距離を記録しています。

このような結果になっています。クリックすると拡大してみられます。
10回計測した感触として、かなり精度は高いです。0.01mmに近い数値できちんと推移しています。
さらにボトムアウトさせてからラピトリが起動するまで…つまりデッドゾーンですが、数多ある他のキーボードと比べても短めに設定されていると感じました。
性能は良いのでなおのこと設定が分かりにくいソフトウェアが悔やまれますね。
その他の磁気スイッチならではの機能

磁気スイッチを活用したDKS 、Mod Tap、Toggle Key、SOCDといった機能は網羅されています。呼び方は多少違いますが内容的には一緒。
たまにこの機能が付属していない磁気スイッチキーボードもありますので、よく使っている人はこれらの機能が完備されているか確認するのは大事ですね。
ポーリングレート
ポーリングレートは8,000Hz。
本キーボードは巷でレイテンシが非常に速く優秀とされています。が、私は正確にキーボードのレイテンシを測るツールを持ち合わせていないので見送りました。
導電テープとOSLTTという計測機器を使ってタップ計測する方法もあるのですが、一定のスピードでキーを押し続けないと数値が大きくバラけます。ですのでソレノイドコイルを使って押下を一定にすればデータとしてもう少し信憑性が増しそうですが、導電テープに電圧を渡すのが上手くいかず頓挫しています。
ソフトウェア

SynHubドライバーというオリジナルソフトウェアをインストールして使用しますが、正直使いにくいソフトウェアです。
今はWebドライバーが主流になっていますので、開発に時間がかかるとは思いますがいずれWEBで集約する方向性で発展していって欲しい。
特にラピトリ設定が分かりにくいのは致命的です。設定方法がよく分かっていない初心者のことも考慮した方が良いでしょう。

なぜかFnレイヤーのスペースやENTERといったキーが赤くなっていて、システムキーは変更できませんと一蹴されてしまいました。いや、変更させてくれ。
SYNTECH Chronos 68のレビューまとめ
以上「SYNTECH Chronos 68」のレビューでした。

価格は22,800円となります。
ケースの曲がり、イマイチなソフトウェア、ケースコーティングの安っぽさなど、今後に向けての課題は山積みかと思いますが、レイテンシの速さや0.01mmの高い精度、デッドゾーンの少なさなど性能的な面ではかなり強めな一級品です。
ケース的なハードウェア周りはすぐに改善されていくだろうなと感じています。気になったら手にとってみてください。超高速レイテンシに魅力を感じたなら買いです。
購入は以下から。