神キーボードがでっかくなった。Wooting 80HE レビュー
ついにきたーーー。
待ち望んでいたWooting 80HEが手元に届きました。
Wootingは元祖ラピトリキーボードとも言える、今よく見かけるようになった磁気スイッチキーボードブームの火付け役です。
今まではWooting 60HEという60%サイズが主流でしたが、ついに80%というテンキーレスサイズが発売されました。
提供: Wooting
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Wooting 80HEでの進化点
Wooting 80HEは単純に60HEがデカくなっただけでしょ?と思われるかもしれません。
まぁ実際のところそうではあるんですが、色々とアップグレードはありまして。
- 独特なキーボードケース
- ガスケットマウント仕様
- ライトバーの登場
- 8Kポーリングレート
- Wootility Web v5
- Lekker V2スイッチ
ちゃんと進化はしているのです。
でも気付いた人は気付いてると思うんだけどさ…ストラップないの?
ストラップ、どこいっちゃったの?
スペック比較紹介
80HEと60HE+をざっくり比較。
Wooting 80HE | Wooting 60HE+ | |
---|---|---|
フォームファクター | 80% | 60% |
配列 | ANSI, ISO, JIS | ANSI, ISO |
プレート | PC | スチール |
中間層 | シリコン | ポロン |
底敷き | EPDMフォーム | EPDMフォーム |
ケース | プラスチック, Zinc Alloy | プラスチック *1 |
キーキャップ | PBT, ABS, Dye sub | PBT, ABS, Dye sub |
キースイッチ | Lekker V2 | Lekker V1 |
スタビライザー | スクリューイン | プレートマウント *2 |
ポーリングレート | 8K | 1K |
スキャン | 8K | 1.5K |
LEDバー | ||
アングル変更 | ||
Tape MOD | ||
ストラップ | ||
Wootility Web | V5 | V4 |
保証期間 | 4年 | 4年 |
- 1. 別途Alumaze60を購入すればアルミケースに変更可能
- 2. スクリューインスタビライザーの利用も可能
60HEでもPCプレートや中間フォームは別途購入で付け替え可能。
APやラピッドトリガーの性能に関しては同等。
スペックは記事投稿時点の情報です。
付属品
これと、写真撮り忘れたけどポストカードが付属します。
なんだこのごろごろしたのは?と思ったら角度つけるためのチルトスタンド用ゴム足だった。
ケーブルはやや硬めの模様付きタイプ。Wootingは電圧が足らないとバグる可能性があるので、素直にこれを使うのがおすすめ。
USB-C to Cですが、CからAに変換するコネクタが付属してきます。
予備のLekker V2 L60のキースイッチが3個、お試しなのかL45が1個ついてきました。
プラスチックのキーキャップ・キースイッチプラーも付属。
基本的にプラスチックのプラーは扱いが難しいので、頻繁にキーボードいじるならFILCO キーキャッププラーやWuque スイッチプラーを購入するのがおすすめ。
替えのキーキャップですが、A1・A2・A3はアナログプロファイル切り替えをキーに登録したい人は使えそう。
それとスクリュー。袋から取り出してすらいないけど…。
Zinc Alloyを購入すると専用トラベルケースが最初からついてきます。
これ単体で買うと4,400円前後なので意外とお得かもしれない…。
80HEのデザイン
80HEのデザインについて見ましょう。
私はプラスチックと亜鉛合金両方のモデルを持っていますが、価格が安くて手が出しやすいプラスチックをメインに紹介していきます。
ケースは2種類
まず80%はケースが2種類あります。
- ABSプラスチック
- Zinc Alloy
それぞれ3種類ずつのデザインで、トータル6種類から選択できます。
PCR ABSプラスチック
PCRとはPost-Consumer Recycledのことで、再生品を利用したプラスチックケースとなっています。要するにエコ。
プラスチックにはBlackというノーマルモデル、Ghostというハーフスケルトンタイプがあります。
もう1つFrostというモデルもありますが、これはModule用のケースなのでプリビルドタイプでは選択できません。
ザ・プラスチックという感触で高級感からは程遠いですが、プラスチックケースにそこまで求めてもね。
軽めの818gとなっています。
サイドあたりのデザインが独特ですね。
Zinc Alloy
Zinc Alloyは亜鉛とアルミの複合素材で作られた亜鉛合金ケースなので、一般的なアルミケースよりも重くなっています。
カラーはBlackとWhiteを選べ、Module用にはRAWというものも選べます。
ちなみにWhiteはペイントの性質上すぐに傷ついてしまうことが判明し、現在返品対応中となっています。
プラスチックよりも遥かに重い。
これにトラベルケースがつくのやっぱおもろい。持ち運ばないでしょ!
重厚感たっぷりです。
このまま手元に置いておくか迷うけど、プラスチック版も持ってるしZinc Alloyの方はレビューしたら送り返そうかな…。
ライトバーとは
矢印キーすぐ上にライトバーというギミックが搭載されていて、プロフィールによって色を変えたり、キーの押し込み具合を表示したりできます。
今後CPUとRAMの使用率やら音量ボリュームやらを選択できるように開発を進めるらしいです。
しかしその場合はバックグラウンドで常駐させるソフトが必要になるかもという話で、そこまでするのもなというところ。
サイズ感は最高
Wooting 60HE+って小さくて取り回しがいいんだけど、物理的にキーが少ないのでデメリットも存在しました。
ゲームでは全く問題ないけど、実際には矢印キーがないとか、delキーがないと日常作業で不便なことがあります。
Mod Tapを使ってキーの数を増やすことは出来たんだけど、たまにタイプミスしちゃうんですよね。
80%では基本的にテンキー以外のキーが揃っているので、サイズは大きくなるもののゲーム用だけでなくオフィスワークや日常使いでもかなり便利なんです。
底面側と角度調整
ボトム側はこのようになってます。
通常のキーボードではよく備え付けのチルトスタンドがありますが、80HEでは後ろ側のゴム足を付け替えることによって調整します。
ツールなどは必要なく、手で簡単に取り外せます。
ミドルサイズを取り付けた状態です。見た目はちょっとダサいね。
オリジナルの状態が2.8度、さらに6度の脚と10度の脚があります。
分解して内部構造チェック
ケースを分解して内部をみてみます。
底面にあるネジを7本外し、トップケースを外しています。
トップケースとボトムケースは爪で引っかかるように止まっていて、押し込みながら引っ張る…という外し方をしないとケースが割れる可能性がありますので注意が必要です。
トッププレートはポリカーボネート。略してPCなんて呼ばれてますけどね。
アルミやスチールに比べて高い反響音がせず、柔らかい打鍵感が特徴で、いわゆるソックサウンドに寄ります。
基板に直接ねじ止めするスクリューインスタビライザー。
プレートマウントと違って隙間が出来にくく、カタカタとしたうるさいラトル音が減ります。
中間パッドはやや硬めなシリコンタイプ。
基板のすぐ下にはPETフィルムによるテープMODがされています。
これがまた遊び心があっていいんだ。
基板のパーツにどんな役割があるのか解説してくれてます。こういうの楽しいよね。
さらにその下、底にはEPDMフォームが敷かれています。これは60HE+と変わらないかな。
ガスケットマウントについて
80HEではガスケットマウントを採用していて、キーを押し込むと基板ごと沈み込むような構造になっています。
打鍵感がソフトになり、余計なノイズも減ってタイピングが良くなりますが、80HEのものは結構硬めなタイプ。
どうやら中間層のシリコンパッドと一体化されている模様。
ここはもっと柔らかいのに変えられるモジュラースタイルだと最高だったんですけどね。
プラスチック版に比べて、Zinc Alloyの方が押し込みが硬く感じます。
ガスケットが硬い分、周りがプラスチックで柔らかい方が打鍵感がソフトになるのかもしれない。
キーキャップ
キーキャップはダブルショットPBTが搭載されています。スルスルした仕上がりで、良くも悪くも普通です。
プロファイルは一般的なOEM。
文字は透過されていて光ります。
購入時にオプションで、Dyesub PBTも選べますがトータル価格が少し高くなります。
お気に入りのキャップがあるなら特に買わなくてもいいかなと。
キースイッチ
80HEでは新しく開発されたLekker V2スイッチが搭載されてますけど、これはスイッチ単体でも販売されていて60HEにも装着できます。
Lekkerの初期スイッチは軸ブレが結構きつくて敬遠されていて節がありますが、このV2スイッチでは大きく改善されました。
打鍵感・音ともに改善した、リニアな押し心地を楽しめます。
v1とv2を分解して比較して見ました。全て左v1、右v2。
ステムの構造に変更があり、さらにはハウジングもちょっと変わってます。
特にトップハウジングは中心の軸を支える部分から細くなっていて分かりやすいかも。
もちろんJadeみたいな打鍵音にもこだわったスイッチにも変えられますから、お気に入りがあるなら付け替えちゃってもOK。
80HEに最初から付属するのはLekker L60 v2という緑色の軸をしたやや押下圧重めのタイプですが、軽いのが好きであれば別途Lekker L45 v2を買うことができます。
とはいえ昔とは違って今はホールエフェクトスイッチもバリエーションが豊かなので、Lekkerにこだわる必要は全くないです。
余談ですがキースイッチを外すと基板にはイラストが描かれています。かわいい。
Wooting 80HEの性能
性能について見ていきます。
基本的には60HE+と同等の性能を持っていると考えてください。
- アクチュエーションポイントは0.1〜4.0mmで0.1mm単位
- ラピッドトリガーは0.15〜2.35mmで0.05mm単位
0.01mmのラピトリもあるけど…
最近では0.01~0.04mmというめちゃくちゃ細かい数値のキーボードも出てきていますよね。
ただし、それらは数値が極めて小さい分、かなり細かい調整が必要になります。
これが厄介で、安定させようとするとアクチュエーションポイントとデッドゾーン調整を0.01mm単位で試行錯誤する、そして度重なるキャリブレーションなど手間がかかります。
Wootingは0.15mmとそこまで小さい数値とは言えませんが、問題が起こることはまずありません。
キーボードに電源が入ると自動でキャリブレーションを行うことも安定した精度の秘密のようです。
軽くラピトリ検証してみた
80HEのラピトリが数値通り動いているのか、マイクロメーターで簡単に検証してみました。
ラピッドトリガー0.15mmで、10回テストした結果はこの通りです。
平均値は0.1609mmで、0.15mmよりも短くなることはありませんでした。
8Kポーリングレートによる低遅延
ポーリングレートは8Kになり、タキオンモードをオンにするとスキャンレートも8Kに。
いわゆるTRUE 8Kというやつです。
1Kに比べると、1msに1回通信していたのが0.125msに1回となり、単純に8倍多い回数データを送ります。
結果としてレイテンシが減って高速反応になると。
ただね、Badseedアニキのレビューだと正直8Kになったからといって体感できるほどの違いがあるかというと、マイクロ秒の話になるのでまず分からんだろうとのことでした。
最強ソフトウェア Wootility Web
ソフトウェアはウェブベースのWootility Web。インストールタイプもあります。
現在80HEを設定できるWootility V5は試験運用中で、10月には正規リリースの見込みです。
アクチュエーションポイントの変更やラピッドトリガーの設定など。
RGBのエフェクト変更やキーリマップなども網羅されています。
正直このウェブベースソフトウェアは神です。
中華製のマジで見にくいソフトとか、使いまわしソフトとか、もう勘弁してくれって感じ。
磁気スイッチの性能を活かした機能
Mod Tap、DKS、トグルキー、スナッピー・タッピーなどWooting60HEからある機能は健在です。
Mod Tap
Mod Tapは短くタップしたときと少しだけ長めにホールドした時でキーの挙動を切り替えられる設定。これはめちゃくちゃ便利です。
80HEでは使ってませんが、60HEの時はこんな感じで矢印キーを設定して使ってました。
DKS
DKSはおしてアクチュエーションポイントに到達したとき、底打ち、底打ちからのリリース、またアクチュエーションポイントに到達した時…この4段階でそれぞれ異なるキー機能を持たせられます。
簡易マクロ的な形ですが、場合によっては底打ちさせずに2段階目の入力をしない…という臨機応変に対応できるところです。
トグルキー
トグルキーはおすとキーを押しっぱなし状態にできるキーです。
私はこれもあまり使わないけど活用方法はありそうですね。
スナッピー・タッピー
そして世の中を騒がせたSnap Tapと同等の機能となるSnappy Tappyや、Rappy Snappyも搭載。
ただし、CS2では明確にバン対象となっていますので使用しないことをおすすめします。
設定したことを忘れてて1試合で垢BANとかきついですし、最初から使わない方が安心かなと。
それって一体何なの?ということでSOCDについて詳しく知りたい方は動画で解説しています。
価格について
- プラスチックケースが29,000円前後
- Zinc Alloyケースが42,000円前後
為替変動で前後するとは思いますが、それなりに悪くない価格設定じゃないかなと。
人によっては高いよ!って思うだろうし、お?そんなもんかと思う方もいるでしょう。
最近はラピトリ搭載キーボードが非常に増えてきて、中華製のアルミケースタイプがめちゃくちゃ安い値段で販売されていることもあるので、その辺りを比べるとコスパは悪いと言わざるを得ません。
Wootingはカスタマーサポートやユーザー目線の開発方針、そして古いキーボードもアップデートし続けるという非常に信頼できるブランドです。
Wootingの保証は4年ですからね!保証や安心感という面でもコスパを考えることは重要かなと。
ただZinc Alloyの方はかなり高いので、もはやハイエンドクラスと考えてエンドゲーム狙いで買うべきかもしれません。
まとめ
さて、しばらく使った感想…私は60HE+から乗り換えて良かったなと素直に思ってます。
ややサイズ感は大きくなったものの全く問題なし…というかむしろタイプミスとかなくなってめちゃくちゃ快適。
ガスケットマウントやテープMOD、Lekker V2スイッチによる打鍵感の向上も強い。
ラピトリがせいぜい0.15mmなので、正直他の0.01~0.04mmラピトリと比べると弱いなとは思ってしまうのもあります。
ただし私の今までの経験から言って安定して動作させるためには調整が結構めんどいので、私は手軽さと安定性をとって0.15mmでいいです。
願わくば0.1mmまで設定できるようにしてほしいですけど。
ガチプレイヤーなら苦労しても0.01mm~0.04mmをトライする価値はあります。ほんとに短いので。
私が今までにレビューしたのだとHM66やVarmilo Muse65、Backspace OASIS 75などがあたります。
ラピトリキーボードが増えまくった昨今、競合相手もかなり多くなりました。
Wootingこそ至高と言えるかというと、当時60HEを使い始めたころほどではありません。
それでも今回も個人的には買って大正解でした。
すぐには買えなくて、予約注文して待たなきゃいけないのが少しハードル高いけど。