radius HP-P100BT レビュー。ANC+低遅延接続のゲーム向け完全ワイヤレスイヤホン
radiusから発売されている完全ワイヤレスイヤホン「radius HP-P100BT」をレビューしてきます。
概要とスペック
「radius HP-P100BT」はANC(アクティブノイズキャンセリング)とローレイテンシー(低遅延)モードを搭載したゲーム向けの完全ワイヤレスイヤホン。
Bluetooth接続タイプでゲームをプレイしたり映画を見たりすると気になるのが遅延による音ズレ。この遅延を極力抑え込んでくれるため、映像と音のズレによる不快感がなくなり快適になります。
今回はこの遅延をガチ検証してみたので、そちらを是非チェックしてほしいです。
音質良し、遮音性よしですが、それに加えてANCをオンにすればかなり静かに。しっかりと必要な機能の揃った低遅延TWSです。
カラー | 黒 / 白 / 青 |
接続 | Bluetooth 5.1 |
最大通信距離 | 見通し約10m |
対応プロファイル | A2DP、AVRCP、HFP |
対応コーデック | AAC、SBC |
オーディオ | ステレオ |
タイプ | カナル型 |
重さ | 46.8g |
スピーカー周波数特性 | 20Hz – 20kHz |
スピーカーサイズ | ダイナミック φ10mm |
音圧レベル | 102dB±3dB |
マイク | あり |
バッテリー | 最大約6時間 |
接続端子 | USB-C |
防水規格 | IPX5 |
同梱物
小型な外箱。マウスの箱よりも小さいくらい。
- イヤホン
- イヤホンケース
- サイズ違いのイヤーチップ2組
- USB-Cケーブル
- 取扱説明書
デザイン
「radius HP-P100BT」はデザイン性の高い近未来的な形状をしていて、フィット感はかなり良いです。
IPX5対応の防滴仕様となっていて、完全防水ではないものの雨や汗に強く、ランニングなどで問題なく使えます。
汚れは目立たず、サラサラとしたさわり心地。
先細りしている部分がつまみやすくなっていますが、滑りやすいので注意。どの完全ワイヤレスイヤホンでもあるあるですが、落としやすいです。
もう何回も落としましたが、壊れてない。どころか傷もついてない。セーフ。
下水道、電車のホームの隙間、エスカレーター、この辺は鬼門なのでゆめゆめ気をつけなされ…。
ケースのサイズは 63.5 x 43.5 x 29.8mm(横幅x高さx奥行き)。高さが少しあるけど平均的なサイズですね。
素材はプラスチックって感じで、高級感はあまりないです。
フロントの4つのLEDで充電残量を確認できます。
ケースは素材的に脂汚れが目立ってしまいます。布で拭いてあげればすぐに綺麗になりますが、気づいたらテカってるって感じ。
充電端子のマグネット部分でくっついていると思うんですが、逆さにして強く振ると落ちます。多少振るくらいなら大丈夫。
重さはイヤホン2つで11.8g、ケース込みで46.8gでした。
radius HP-P100BTの良い点
「radius HP-P100BT」を使ってみて良いなと思った点について挙げていきます。
ドンシャリ気味で遮音性高め
私は普段ソニーのWF-1000XM4を使っているのですが、それに比べると10φのダイナミックドライバーから聞こえてくる音は低音が結構効いていて、ちょっとドンシャリ気味な迫力あるサウンドって印象でした。
少し高音は刺さりますが、中音は人の声が沈んでいるってわけじゃなくて聞きやすいです。
解像度は普通くらいかなと感じましたが、クリアで高音質だと思います。
イヤーチップはシリコンタイプ。有機的な形状が耳にぴったりフィットするからか、遮音性は高めです。なので音が雑音に飲まれずクリアに聞こえます。
長時間ゲームをしていても特に痛くはなりませんでした。
音の定位も損なわれておらず、ValorantやApex Legendsをプレイしてみましたが敵の足音をしっかり拾えますし、方向についても分かりやすかったです。
ただ、Apexはちょっと低音系がゴリゴリ耳にくる感じだったかな。
ANCは低音に対して効果がある
外側と内側にある2つのマイクを使って逆位相を作り出し、外のノイズを打ち消すANC(アクティブノイズキャンセリング)機能を搭載。
これは60Hz辺りにフォーカスしており、電車などの振動音や飛行機の機内音に効果的です。
部屋中でオンにしてみると、エアコンやヒーターの音が静かになりました。
試しに喋りかけてもらったのですが、人の声はそこまで抑制されないため、ちょっと小さくなった程度で割と聞こえます。
外で使ってみたところ、車の低いエンジン音や電車が通り過ぎる時の低い振動音はけっこうカットされました。
しかし人の声などの中音や、電子音的な高音辺りはちょっと小さくなる程度でした。
サーっと静寂に包まれるわけではなく、中くらいの効き目って感じでしょうか。低音がカットされることによって音がよりクリアに聞こえるようになります。
アンビエントサウンドモード(外音取り込み)は自然で聞きやすいです。
やや空気感みたいなものが強調される感じはありますが、人の声などは自然で違和感なく使えます。
低遅延モードでゲームが快適に
本イヤホンで最も重要なのがこの低遅延モード。
ゲームをする上でワイヤレスイヤホンが敬遠される理由として、遅延が最も大きな理由ではないでしょうか。
低遅延モードをオンにすることによって、遅延量を40ms(0.04秒)まで抑えてくれます。
40msだと私くらいのカジュアルなプレイヤーでは分かりませんが、プロレベルだと違いに気づくかもしれません。
この低遅延モードの強みとしては、apt-Xのようなコーデックに頼らないためどんな端末でも遅延低減の効果が認められるところ。
しかし、接続する端末によっても左右されるはずなので、持っている端末に色々繋いで試してみることにしました。
遅延量
端末 | 低遅延オフ | 低遅延オン |
---|---|---|
PC | 14フレ / 234ms | 0.3フレ / 5ms |
Mac Book Pro | 21フレ / 351ms | 10フレ / 167ms |
Switch | 18フレ / 301ms | 5フレ / 84ms |
iPhone XR | 21フレ / 351ms | 9フレ / 150ms |
これをグラフにしてみます。
基本的に低遅延モードをオンにするとかなり遅延が抑えられることが分かりました。しかしその数値は端末によってまばらです。また、遅延処理にも波がありそうな気がしてます。
私の計測結果では、ローレイテンシーモードをオンにするとPCはほぼ有線レベルの無遅延状態に。そして、スイッチはかなり遅延が気にならないレベルになりました。
一方、MacとiPhoneはまだ遅延が残ります。低遅延オンでだいぶ改善されますけどね。
ちなみにPS5でも試してみましたが、Bluetooth音声機器はサポートされていませんと一蹴されました。
他のイヤホンとの比較
「SONY WF-1000XM4」でも計測してみましたので表で比較してみます。
端末 | radius HP-P100BT | SONY WF-1000XM4 |
---|---|---|
PC | 0.3フレ / 5ms | 9フレ / 150ms |
Mac Book Pro | 10フレ / 167ms | 18フレ / 301ms |
Switch | 5フレ / 84ms | 14フレ / 234ms |
iPhone XR | 9フレ / 150ms | 24フレ / 401ms |
radius HP-P100BTの低遅延オフ時よりもズレは少なかったのですが、低遅延オン時と比べると圧倒的な差となりました。
遅延モードの結論
低遅延モードをオンにすれば、PCでゲームする分には遅延は気にならないかと思います。
PCの0.3フレってさすがにマジかと自分も疑いましたが、VALORANTでオペレーターの発射音とスコープ切り替えの瞬間を比べたところ、せいぜいズレて1フレームいかないくらいだったので合ってると思います。
スイッチはかなりいい線いっていて、普通にゲームする分には全く問題ないでしょう。
Mac、iPhoneは0.15~0.17秒のズレがあるのでまだ遅延は感じると思いますが、低遅延モード非搭載のイヤホンに比べたら桁違いに快適なのは間違いありません。
SONYのWF-1000XM4、音は好きですが遅延がキツイので中々ゲームや映画には使えないんですよね。radius HP-P100BTのほうが使用頻度上がりそうです。
動画の視聴について
1つ捕捉として、この低遅延モードはゲーム用とされていて、動画の視聴などでは上手く機能しないことがあるそうです。
私の経験からでは、Macでのみ低遅延をオンにしていると左右のイヤホンで音ズレが発生し、ダブって聞こえることがありました。しかし、PCやiPhoneなど他の端末では問題ありませんでした。
ただし、iPhoneのYouTubeアプリなどは自動で遅延を同期するため、低遅延モードをオンにするとむしろ映像よりも先に音が聞こえるような現象になります。
電波の強さについて
ローレイテンシーモードにすると電波が途切れやすくなるという旨説明書にかかれていました。
試しにローレイテンシーにしたまま、音楽を聞きながら人混みの多い超繁華街や地下道を練り歩いてみましたが、特に切断するといった状況にはなりませんでした。
片耳ずつでも使用可能
私が気に入っているのは、左でも右でも、片方だけで起動するところ。左だけ使っておいて、左の充電が切れたら右に付け替えるといった循環ができます。
ゲームする上ではあまりそのような使い方はしませんが、家事をしながらとか、なにか作業をしながらといった時に役立ちます。
バッテリーはそれなりに長い
サウンドコントロール | オン | オフ |
---|---|---|
イヤホン | 最大6時間 | 最大6.5時間 |
充電ケース使用時 | 最大21時間 | 最大22時間 |
本体の連続使用時間はサウンドコントロールオンで6時間。オフだと6.5時間です。
ケース込みの充電だとサウンドコントロールオンで21時間、オフで22時間となっています。大体3.5回分ですね。
ワイヤレスイヤホンの電池量としては平均的かなとは思います。
USB-C端子。スペック上だと、イヤホンは約2時間、ケースは約3時間でフル充電状態可能です。
ちなみに付属してくるケーブルはめちゃくちゃ短いので注意。アダプターもありません。さらに、ワイヤレス充電に非対応なのは残念。
radius HP-P100BTの気になる点
「radius HP-P100BT」を気になった点について挙げていきます。
着脱センサーがない
着脱センサーがないため、ケースから取り出すと自動で電源がオンになります。
耳から外しても、ケースに戻さないと電源は自動でオフにならないため、バッテリーを消耗し続けます。
タッチセンサーを10秒長押しでオフにできますが、手間なのでケースに入れる方が簡単です。
マイクはいまひとつ
通話・受話も可能なマイクがついていますが、録音して聞いてみたり、通話で使ってもらったりしてみたところ、音質は微妙でした。また、インプット音量は小さめです。
正直な話、TWSに音質の良いマイクを求めるのは難しい部分。少なくとも、本イヤホンの2倍の値段がするWF-1000XM4もマイクはダメなので基本的に期待しない方が良いでしょう。
個人的には、最初からコンデンサーマイクを別立てで用意するのが正解だと思っているので、マイクがダメだったからといってマイナス評価にはなりません。
ただし、ゲーム用イヤホンとなるとしっかり喋れた方が嬉しい人は多いのかなと思うので今後に期待というところでしょうか。
操作タッチパネルが扱いにくい
操作タッチパネルの部分はちょうどマイクとLEDランプの間にあるロゴ付近。
タッチの範囲が狭く、耳につけている状態だとタップをミスる可能性が高いです。
これにはコツがあって、点ではなく面で、つまり指の腹全体で押すようにするとそこそこ高い精度でタップできました。
指の先端でタップしようとすると高確率でミスりますので、面で押すようにしましょう。
1回タップなら全く問題ないのですが、ANCやレイテンシーの切り替えみたいに3回タップだと頻発にミスしてストレスでした。
最たるものは5回タップでのペアリング。かなりミスしやすいので、長押しとかできたらなぁと。
ちなみに操作の詳細は以下のようになっています。
タッチ操作方法 | L | R |
---|---|---|
再生・停止 | ● | ● |
曲送り | ●● | |
曲戻し | ●● | |
受話 | ● | ● |
着信拒否 | ●● | ●● |
終話 | ● | ● |
ANC 外音取り込み | ●●● | |
ローレイテンシー | ●●● | |
音声アシスト | ●●●● | ●●●● |
ペアリング | ●●●●● | ●●●●● |
ソフトウェアがない
ソフトウェアがないため、イコライザーがいじれません。なので音質を自分好みに変化させることができません。
さらに、タップ操作の順番を入れ替えられないのも残念な部分です。
私は結構ANCのオフ・オンをよく使い分けるので、他のイヤホンだと左耳1タップに割り当ててるんですよね。本イヤホンだと毎回右耳を3タップしなきゃいけません。これ地味にストレスです。
さらに、起動時や切断時、モード変更時に音声アナウンスが入るのですが、ずっと使っているとそのアナウンスの1秒が鬱陶しく感じます。これはなくせるか、電子音に変更できるようにして欲しかったですね。
後、最終的なANCやレイテンシーモードの状態を記憶してくれたら嬉しかった。大体みんなも気に入ったセッティングがあると思うんですけど、本イヤホンは電源をオフすると設定が初期化されてしまいます。
radius HP-P100BTの魅力
主に操作面でストレスがたまることはありますが、その他はかなりよく出来ているイヤホン。
端末によるとはいえ、低遅延モードによる音ズレの緩和は結構効き目があって、特にPCで使うなら有線に近いレベルで遊べました。これはPCの構成によるかもしれませんけど…私の構成はココで見られます。
PCなら音ゲーも良いですが、iPhoneやスイッチなどと兼用しようと考えているならそこでは遅延が発生する見込みです。Androidは持ってないので試せていません…。
接続は安定してますし、遮音性は高め、そこそこ効くANCもついてるし、音質はクリアで迫力もある。
価格以上の価値はあると思います。低遅延機能付きのTWSが欲しいならおすすめです。